新しいNISAの成長投資枠では管理・整理銘柄以外の上場株式への投資ができます。管理銘柄は上場廃止基準に該当する可能性のある銘柄です。整理銘柄は上場廃止が決定した銘柄になります。今回は個別株を長期保有する場合のポイントについて解説していきます。

  • 株式投資で得られる主な利益には、値上がり益と配当の2種類がある
  • 株式の長期投資では、必ずしも値上がり益を得られるとは限らない
  • 株式の配当は現金で受け取ることになり、長期保有すれば投資資金を回収できる

株式への投資で期待できる利益

株式投資で主に期待できる利益は、「値上がり益(キャピタルゲイン)」と「配当(インカムゲイン)」の2つです。
企業によっては「株主優待」として、その企業の商品や割引券などを配布するところもあります。しかし、指定した株数の保有や一定期間以上の保有など、企業ごとに配布基準があり、全ての株主に平等とはいえないので、今回は説明を省きます。

値上がり益(キャピタルゲイン)

値上がり益は、購入した銘柄の株価が上昇し、その銘柄を売却した時に得られる利益です。売る前の値上がり益は「含み益」と呼ばれ、確定した利益ではありません。

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また、購入した銘柄の株価が確実に上昇するわけではなく、値下がりするリスクもあります。値下がりした場合は「含み損」が発生しますが、売却するまで損失(額)は確定しません。

配当(インカムゲイン)

配当は、一般的に当期利益(税引き後利益)から支払われます。利益のうちどれだけ配当に回すか(配当性向)や、そもそも配当を出すか出さないかは、株主総会での議案承認で決まります。
また。配当は株数に応じて支払われますので、その銘柄をいくらで購入したかは関係ありません。

ただし、投資家個々の配当利回りについては購入価額が影響します。
例えば、一株あたり配当金30円の銘柄を株価1,000円で購入した場合、配当利回りは3%(30円÷1,000円)、株価600円で購入した場合は5%(30円÷600円)です。

長期保有で優先して考えたい利益は「値上がり益」、それとも「配当」?

長期保有(バイ&ホールド)の場合の値上がり益は、保有を継続した場合と、途中で売買した場合を比較して説明されることが多いです。

下のグラフ(値動きA)は、株価1,000円で購入した銘柄が変動しながら20年後に3,800円に値上がりしたケースになります。
20年間継続保有すると、値上がり益が2,800円(3,800円-1,000円)です。

株価(値動きA)

次に途中で2回売買したケースを見ていきます。
スタートは同じく1,000円で購入し1,600円の時に売却し、値上がりが続いているので2,400円で再度購入し3,800円まで保有しました。その場合、1回目の値上がり益600円(1,600円-1,000円)、2回目の値上がり益1,400円(3,800円-2,400円)で合計の値上がり益は2,000円です。
20年間継続保有した方が、途中売却・再購入したケースに比べ、800円値上がり益が大きくなります。

しかし、株価は右肩上がりに上昇するとは限りません。下の値動きBのように値下がりするリスクもあります。このケースでは、長期保有するよりも株価が1,300円の時に売却する方が、値上がり益は大きくなります。

株価(値動きB)

将来の株価は予想できません。値動きBのような結果になる場合もあることを覚えておきましょう。

次に配当について見ていきます。
配当は主に当期利益から支払われますので、配当の変動(増配、減配、無配)は企業業績に大きく影響されます。増収増益を続けている企業であれば、今後1株あたりの配当が増えることが期待できますし、逆に赤字が続く場合は減配や無配の心配をすることになります。また、個別株では配当金を再投資するよりも現金で受け取る方が多いので、投資資金を回収するという形になります。

例えば、株価1,000円で購入した銘柄の年間配当が20円だとして、安定的にこの配当が25年続けば500円(20円×25年)となり、25年後には投資資金の半分を回収したことになります。年間配当が50円なら、20年で投資資金を全額回収したことになります。(ただし税金は考慮していません)

まとめ

上記の点から考えると長期保有では、「値上がり益」優先よりも「配当」を優先して銘柄を選んだ方が、運用しながら投資資金の回収ができ、株価変動による損失を抑える効果が期待できます。

また、「配当」を重視した銘柄選びは、業績が堅調な企業(銘柄)を選ぶことになり、それが値上がり益も期待できる銘柄選びにもつながります。

(この記事は、積立投資ではなく一括投資を前提に執筆しています。)

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