宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、「NISAとiDeCo、どちらを始めればいい?」という若い世代からの疑問に答えるべく、まずは両制度で予定されている制度改正とその狙いを見ていきます。

  • NISAとiDeCoを選ぶには金融リテラシーが必要で、人それぞれ答えは違う
  • 2027年からこどもNISAが創設され、つみたて投資枠の投資対象商品が拡大
  • iDeCoは加入可能年齢の引き上げと拠出限度額の増額が行われる

運用のやり方は人それぞれの考えで変わる

【質問】
小田さ~ん。NISA、iDeCoって、やらんといかんことはわかります。でも、僕たち初心者には、どっちからしたら良いのかわからんです。TV見てたらiDeCoが良いと言ってたんですけど、やっぱりよくわからんです。教えてください。

お金の相談を受けていると、必ずついてくるのがNISAとiDeCoの問題です。
直近にあった相談も、

アート投資を資産形成に!

「僕も社会人になって3年、友人たちとも話していますが、そろそろお金を貯めていきたいと考えてます。預金は銀行に少しありますが、後はまったくありません。結婚のことも考えてますので、僕は、いつでもおろせるNISAがいいと思っていますが、それがベストな選択でしょうか?」

からの始まりでした。
これからお金を運用しようとする若者にとって、何がベストな選択なのか? 自分でわかるはずもありません。ましてや、金融リテラシー教育を受けていない世代にとっては、お金の運用は誰に任せることにもなく、ただ知らず知らずのうちに進められていくことになっていくと思われます。

何をするのかは、個人それぞれの考えで違ってきます。何を基準に考え、そして進めていくか。金融リテラシー知識がなくとも、運用のスタートが切れるのは本当はありがたいことです。NISA活用なのか、iDeCoの活用かは、人それぞれ考えで違ってくるのは当然のことです。

ましてや、今年度12月から金融庁がNISAを、厚生労働省がiDeCoを大幅に改正することとなっています。2027年1月からNISAはつみたて投資枠の拡充など、iDeCoは加入年齢と拠出限度額の引き上げと、資産運用立国を目指したい日本の行き先がはっきりと示されています。

そこで今回から次回に分けて、NISAとiDeCoの改正点から見えてくる方向性と、どちらを選んだらいいのかをフローチャートにまとめて解説をしていきたいと思います。これからお金を運用する人の道しるべとして、参考にしていただきたいと思います。

NISAの制度改正のポイント

改正の詳細については省きますが、金融庁が示している今回の改正の要点だけを説明すると、NISA制度は、2つの柱が重点に行われる予定となっています。
いずれも若年層の拡充を主な目的とした、つみたて投資枠中心の改正です。

①「こどもNISA」の創設

つみたて投資枠の中身を、「こどもNISA」(仮称)を組み入れての2段階とします。
対象年齢0~17歳をこどもNISAとして、年間投資枠60万円まで・非課税保有限度額600万円・決められた投資対象商品で行うことになっています。

払い出し条件として、12歳以降において・子の同意を得た場合のみ、親権者等による払出しも可能となっています。18歳以上の非課税保有限度額は、従来のつみたて投資枠に自動で移行されます。

②投資対象商品の拡充

それに伴い、商品拡充のために、日本市場の日経平均株価、TOPIXなどの指数連動商品にプラスして、読売株価指数(読売333)とJPXプライム150指数の2つを追加。さらに債券中心の投資信託も追加して、リスクを軽減した商品も増やされる予定です。

NISAの制度改正の狙いは?

要は少子化が進む社会に対して、18歳以下の若年層にも投資を早めに普及させたいという国の願望、そして高齢層にも投資を託したいという願望を実現させたい改正となっています。

ただ、①②以外で改正が議論されている高齢者向けの非課税枠(プラチナNISA)構想や、非課税保有限度額における非課税枠の復活が翌年から年内に変更される案は、まだ決定されていなく構想中の段階です。成長投資枠については現状通りで変わりません。

①の改正は、廃止されていた「ジュニアNISA」に代わり、未成年層の非課税投資枠によって子どもたちを支援するものです。0歳から資産形成を非課税で、長期間続けることが可能となります。長く積み立てをすることで複利効果も最大限に発揮できるなど、ライフプラン(教育資金)や子どもたちの夢を実現する後押しもできます。

②の改正によって、リスクをなるべく軽減したい層も安心してNISAが活用できるようになり、商品群の多様化によって、運用する世代の拡大にもつながり、個人のリスク許容度も広がることにもなります。

iDeCoの制度改正のポイント

次にiDeCoです。iDeCoは大幅な改正です。

①加入可能年齢の引き上げ

まずは加入可能年齢の引き上げです。簡単に言うと、最長65歳だったのを70歳まで加入できることになり、老後の資産を5年長く形成できるようになりました。

それに伴い、受給開始できる年齢も60歳~75歳の間に変更されています。対象者は、

❶iDeCo加入者
❷iDeCo運用指図者
❸企業年金からiDeCoに資産を移管する者

に拡大されました。拠出限度額は原則、月額6.2万円になります。また例外として、施行日から3年を経過する日までは、❶❷❸に該当しなくてもiDeCoに加入することができるそうです。

②拠出限度額の引き上げ

拠出限度額の引き上げで、

  • 国民年金第1号加入者「自営業者とその家族、自由業、学生」が、0.7万円増額の月額7.5万円
  • 第2号加入者「会社員や公務員等の厚生年金保険の被保険者」(企業年金あり)が、最大4.2万円増額の月額6.2万円
  • 第2号加入者(企業年金なし)が、3.9万円増額の月額6.2万円
  • 第3号加入者「専業主婦(夫)等、第2号被保険者に扶養されている配偶者」が月額2.3万円と同じ
  • 第4号加入者「国民年金に任意加入している60歳以上65歳未満の方、海外居住者の方」が、0.7万円増額の月額7.5万円

となります。
そして新たに第5号加入者が追加されています。第5号加入者とは、「60歳以上70歳未満の国民年金被保険者以外の者で、iDeCoを活用した老後の資産形成を継続しょうとする者」とあります。拠出限度額は月額6.2万円です。

受給開始できるのが75歳までなので5年間より拠出でき、高齢者も運用できるメリットを増やせます。

iDeCoの制度改正の狙いは?

掛金の増額で、所得控除は間違いなく大きくなります。加入年齢の引き上げは、国にとって「現役として長く働き続けてください」という推進となります。

今回の制度改正は、NISAは少子化、iDeCoは高齢化の対策を講じて練られたものになり、さらなる普及を狙うものです。
この2026年度の制度改正を踏まえて、次回(3月20日公開予定)で、両者のどちらを選択するか、フローチャートを作ってみます。