資産運用を始める前にぜひ知っておきたいポイントをわかりやすく紹介する本連載。お金を上手に運用したいけれど、逆に減ってしまうのが心配、という方も少なくありません。そうした投資リスクを抑えるために有効なのが、分散投資です。第2回は、「分散投資の種類と効用」を取り上げます。

  • 分散投資のポイントは、「資産」「地域」「通貨」「時間」を分けること。
  • 平均の購入単価を抑えるには、ドル・コスト平均法が有効。
  • 積立投資の仕組みやバランス型投資信託を上手に活用して。

はじめに~分散投資の方法は4つ

今回はリスク(振れ幅)を抑える方法として「分散投資」という投資スタイルについて見ていきます。分散投資の方法は、「資産分散」「地域分散」「通貨分散」「時間分散」の4つがあります。それでは、それぞれの分散の仕方について見ていきましょう。

資産運用における4つの分散投資

その1 資産分散

資産分散とは、「株式」「債券(国債など)」「リート(不動産投資信託)」など各金融資産に分散して投資をする方法のことです。

アクサ・インベストメント・マネージャーズ 未来の世界を見据えて、持続的な成長が期待される企業に厳選投資

なぜ金融資産を分散するのか。それは、世の中の景気や金利の状況などにより、株式、債券、リートの価格はそれぞれ異なる値動きをするからです。その値動きの違いにより、全体のリスクを抑え安定的なリターンを得る効果が期待できます。

資産分散のイメージ

また、株式などの各金融資産内での分散投資を「銘柄分散」といいます。株投資の場合では、円安時に利益が増える企業、円高時に利益が増える企業へ分散する方法や、好況の時に利益を増大させる企業、不況の時でもあまり利益を減らさない企業に分散する方法などがあります。

その2 地域分散

グローバルに投資先を分散する方法を地域分散といいます。地域分散は、各地域、国ごとに好不況の時期が少しずつ異なることを利用し、リスクを抑えながら安定したリターンを目指す分散投資です。大きく地域を分ける方法として、北米、欧州、日本を除くアジアといった分散や、先進国、新興国といった分散の仕方があります。

その3 通貨分散

通貨分散は、地域分散と関係が深い分散方法です。ドル円の為替変動と同じように各国の通貨も米ドルを基準に日々上がったり下がったりしています。1つの通貨だけに投資をした場合、ドル高やドル安の影響を強く受けることになるため、そのリスクを避けるのが通貨分散の目的です。

トラリピインタビュー

その4 時間分散

上記の3つの分散投資は、複数の資産や地域、通貨に分散投資することでリスクを軽減させる方法です。一方、時間分散は、1つの銘柄や商品の購入時期を分散させる投資方法です。同じ銘柄や商品を日々変動する価格で購入することで、平均の購入単価を抑えることを目的とします。この投資を効果的に行うために「ドル・コスト平均法」という投資方法があります。

ドル・コスト平均法とは?

ドル・コスト平均法とは、定期的に毎回同じ金額の投資を行う投資方法のこと。株価や投資信託の基準価額は日々変動しています。高い時もあれば安い時もあります。定期的に同額投資を行うことで株価が高い時には少なく、安い時には多く購入することできます。

下の表では、同額投資と同数投資の平均購入単価を比較しています。株価が上下に変動している場合の同額投資(ドル・コスト平均法)の効果をお分かりいただけるかと思います。

同額投資(ドル・コスト平均法)と同数投資の比較同額投資(ドル・コスト平均法)と同数投資の比較

ドル・コスト平均法を確実に行うための積立投資

ドル・コスト平均法を使った時間分散を簡単に実行する方法として、「積立投資」があります。この投資方法は、バブル崩壊による暴落などで他の投資家が怖くて買えない時の価格でも機械的に買い付けるため、暴落時の安い価格で多く買うことができます。逆に価格が暴騰しているバブル期には少ししか買えないため、その価格が下落した時のダメージを小さく抑える効果もあります。

ただし、ドル・コスト平均法も万能ではなく、価格が上昇一辺倒、下落一辺倒の場合には効果が期待できない点は覚えておきましょう。

最後に~バランス型投資信託の積立投資で4つの分散ができる

以上、4つの分散投資について見てきました。「資産分散」「地域分散」「通貨分散」の3つの分散方法は、ご自身で複数の銘柄や投資信託を組み合わせることで行うことができますが、グローバルに分散投資を行うバランス型の投資信託を購入するという方法もあります。また、「時間分散」も各金融機関が用意している積立投資を利用することで実現できます。

次回は、投資家心理に大きな影響を与える経済指標について見ていきます。

次回記事「注目すべき経済指標を知ろう」はこちら↓

注目すべき経済指標を知ろう

メルマガ会員募集中

インデックスファンドの次の一手