宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。第6回のテーマは、前回に引き続き「投資信託の選び方」。口座を開設してから、投資信託を買うまでの具体的なステップを提案します。

投資用の口座を持っている人は多いけれど……

前回は「投資信託」をベースにして、「投資が初めての方は事前に勉強したうえで口座を開設しましょう」という話をしました。

口座を開設したものの、「そもそも投資って何から始めればいいの?」と、多くの方が思っているのではないでしょうか?
商品がたくさんある中から選ぶのは難しいですし、商品を買う、売るという手続きも慣れないと難しいものです。商品を買うときや運用しているときには「かかるお金」があります。投資信託などの金融商品を買う前に、事前に知っておくべきことは決して少なくありません。

最近ではNISAやつみたてNISAなど、投資で得た利益が非課税になる国の制度による後押しもあって、「かかるお金」を安くする運用会社も多く見受けられます。
つみたてNISAといえば、従来は2037年末までが制度の期限で、2020年から始めた場合は18年しか運用できなかったのが、いつから始めても20年間は非課税で運用できるよう、国がつみたてNISAの制度を改正する方針を固めているという朗報も入ってきました。

さて、投資信託にもいろいろなタイプがあり、それぞれのタイプに合った買い方、売り方があります。
今回は、証券会社や銀行などに投資用の口座を開設してからの「投資信託」の選び方と注意点を考えてみることにしましょう。

【質問】
投資信託をいくらか持っているけど、勧められて持っているだけ。「交付運用報告書」が送られてきてもわからんし、またまた今度は「NISA口座を作りませんか?」と、ある金融機関窓口で言ってきました。実際のところ、投資信託って何のことか? 投資って何から始めたらいいのか? わからんです。助けて!

このように多くの方が、何かしら投資信託を持っているけど、金融機関の人から勧められ、長く持っていたらそのうちお金が増えるからと言われ、あまり深く考えずに投資信託を持っていると思います。

「リスク」を理解できる投資信託を選ぶ

そもそも投資でお金が増えるのは、少なからず「リスク」をとっているからです。
リスクというと「危険」「怖い」という印象を持たれるかもしれませんが、資産運用の世界における「リスク」の意味は少し違います。言い替えるなら、「お金の動きが思い通りにならない可能性」という表現になるでしょうか。
例えば、日本の株価が明日上がるか下がるかは、誰も正確には予測できません。中国の株価になると、なおさらわかりません。この思い通りにならない度合い、わからない度合いの大きさをリスクと呼びます。

定期預金にしても、預金を使えない期間が定められ、その対価として金利が付けられます。この金利が、何十年も前であれば年5%ほど付いたこともありましたが、今は年0.01%など非常に少ないので、多くの方が頭を悩ませています。「一定期間預金を使えない」というくらいのリスクではお金が増えないので、それとは別の方法でリスクを受け入れて、お金を増やしていくことを考える必要があります。
その方法のひとつが、投資信託というわけです。

というわけで、皆さんはご自身が引き受けられるリスクの度合いによって、「投資信託の商品」を考えていかなければなりません。
とはいえ、投資信託といわれる商品だけでも、全部で6000本以上あります。その中身も、投資先が日本か日本以外の国なのか、債券か、株式か、不動産か、はたまた為替などか? など幅が広すぎて、いざ選ぼうと思っても困惑してしまいます。このままでは、初心者の方にはどれを選べば良いかなんてわかるわけがありません。

投資が初めての方は、まずは「大雑把であっても、どんな商品なのか理解できるもの」を選びましょう。投資のリスクが、自分で想像できる範囲内にあることが大切だからです。
そのための具体的な方法について、話をしていきたいと思います。

① マネー情報誌の投資信託ランキングから、国内で運用している投資信託を探す

私でしたら、まずは本屋さんに直行します。どこの本屋さんでも「資産運用」コーナーがありますので、そこでマネー情報誌を手にとって、「投資信託」のランキングを探してみてください。
ここで上位の「投資信託」の中から選んで、調べてみる。
できれば、国内で運用しているものがいいでしょう。

なぜか?
投資する対象が私たちにとって身近でわかりやすいもので、調べることが容易であるのが理由です。
投資対象が外国の株式などであれば、急な値動きがあったときに、その要因や影響について即座に調べることが困難になります。

② 運用期間が長い投資信託を探す。できれば10年以上

そして、運用期間が5年以上あること。10年以上あればなおベスト。
理由は、経済(景気)は良いときもあれば悪いときもあり、運用期間の長さは、投資信託が過去の不景気を上手く切り抜けて生き残っているかを見るバロメーターにもなるからです。

③ 運用報告書で組み入れ資産の内容を確認する

金融機関の人に言われるがままに投資信託を買ったという方でも、運用会社から定期的に「交付運用報告書」が送られてくるかと思います。
この交付運用報告書は、投資信託の年間の通信簿とでもいうべき資料です。金融機関から勧められたから投資信託を買ったという方の多くは、興味がないからと、報告書などの書類は封も開けずに放置状態だと思います。これはもったいない。

運用報告書では、投資信託の基準価額や分配金の推移、市場動向と運用実績の説明、今後の方針、組み入れ資産の内容(ポートフォリオ)などが詳細に報告されています。
運用報告書は、運用会社のホームページで誰でも見ることができます。購入前でしたら、前年度の運用報告書をネット検索して見てみましょう。

特に「組み入れ資産の内容」は重要度が大きいと感じます。
日本株式を中心とした投資信託を購入する方からの相談の多くは、「○○○自動車は自動運転技術がすごいですね」「○○銀行は大丈夫ですか?」など、組み入れ銘柄についての質問です。投資信託を通じて個別企業の取り組みなどを勉強する、一株主となっているのです。
運用報告書を調べて、気になっている企業が組み入れられている投資信託を探すのもありだと思います。日本企業に投資する投資信託を買えば、あなたも立派な株主です。何も株式市場で個別の株式を待たなくても、投資信託を運用する会社を介して、企業を応援できます。特定の企業を応援するために投資信託を保有していると考えれば、たとえ一時的に価格が下がったとしても、長い期間じっくり待つことも、買ってしばらくほったらかしても大丈夫です。

NISA口座の開設は投資にある程度慣れてから

投資信託はこんな感じで始めてみて、投資に慣れてきたら徐々に不動産や外国株式を組み入れていくなど、投資先を広く分散していくという姿勢でいいと思います。

ただ、冒頭の相談にもあった「NISA専用口座」ですが、投資に慣れないうちは安易に口座を開設しない方がいいでしょう。
NISAではない、投資の利益が課税される一般口座であれば複数の金融機関に口座を持つことはできますが、NISA口座は一つの金融機関でしか作れません。さらにはつみたてNISAとダブって作れず、一般NISAかつみたてNISAのいずれかを選ばなければいけないなど、決まりがあります。
NISAかつみたてNISA、どっちを選ぶか? 取引金融機関も、本当にそこでいいのか? 商品の数や種類などそろっているか? NISA口座を作るときは、慎重に検討して決めた方がいいでしょう。まずは一般口座で投資を始めてみて、少しずつ経験を積んでいくというスタンスでいいのかと思います。

そんなことを書いていたら、11月26日朝のニュースでまたまたNISAの規制緩和に関する発表がありました。一般NISAとつみたてNISAが将来一本化することが検討されているそうです。もし本当に2つのNISAの一本化が実現されれば、私としても使い勝手が良くなるのでうれしい限りです。

次回は、投資信託を運用するいろいろな手法について考えていきましょう。

(次回は12月20日の更新を予定しています)

【特集】アクティブファンドの挑戦─今こそ、投資の“原点”に立ち返る

メルマガ会員募集中