2023年に、東京証券取引所は上場企業(プライム市場、スタンダード市場)に対して、PBR(株価純資産倍率)への対処を要請しました。その結果、自社株買いや配当を増やす企業が増えてきました。これに伴い、株式の配当収益に関心を持たれる投資家の方も増加傾向です。
この記事では、高配当株式で構成された日本と米国の3つの指数について見ていきます。
- TOPIX高配当40指数は成熟した業種の、比較的社歴の古い企業が多い
- 日経平均高配当50指数は、中型株や小型株も対象としている
- S&P500配当貴族指数は「25年以上連続増配」など採用の条件が厳しい
日本の高配当株式を対象にした代表的な指数
日本の高配当株式を対象にした代表的な指数には、以下の2つがあります。
- TOPIX高配当40指数
- 日経平均高配当株50指数
TOPIX高配当40指数とは
「TOPIX高配当40指数」は、TOPIX100の構成銘柄から直近の実績配当利回りが相対的に高い40銘柄を選んで構成された指数です。
TOPIX100は、TOPIX(東証株価指数)の採用銘柄の中で、時価総額と売買代金(流動性)が特に高い上位100銘柄で構成された指数です。
2024年6月21日時点のTOPIX高配当40指数の構成銘柄を見ますと、成熟した業種の、比較的社歴の古い企業が多いのがわかります。
たとえば自動車では、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、SUBARU。銀行では、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループの3メガバンク。商社では、三菱商事、三井物産などの5大商社。情報・通信では、NTT、KDDI、ソフトバンク。それ以外では、JT(日本たばこ産業)や日本郵船などが採用されています。
(参考資料:JPX総研「TOPIX高配当40指数」の定期選定(2024年6月28日実施)結果及び構成銘柄一覧)
TOPIX高配当40指数の定期的な銘柄入れ替えは、毎年1回(6月最終営業日)に実施されます。
基準日は2017年8月25日で、基準値1,000からスタートし、2024年7月4日に2.111.18を付け、現在(2024年8月9日)は1,800前後で推移しています。
(出所:JPX(日本証券所グループ)株価指数ヒストリカルグラフ -TOPIX高配当40指数-)
日経平均高配当50指数とは
「日経平均高配当50指数」は、日経平均株価に採用されている225銘柄の中から、配当利回りの高い50銘柄から構成される配当利回りウェート方式の指数です。ウェートの決定は、売買代金(流動性)を加味して行われます。
上記のTOPIX 高配当40が大型株100銘柄の中から銘柄構成を選ぶのに対して、日経平均高配当50指数は中型株(時価総額101~500位)、小型株(時価総額501位~)からも銘柄を選びます。
2024年7月のファクトシートを確認しますと、大型株22銘柄、中型株27銘柄、小型株1銘柄の合計50銘柄で構成されています。そのため、構成銘柄はTOPIX高配当40と大きく異なります。
また、日経平均プロフィルで銘柄を確認(2024年8月14日現在)しますと、中型株の銘柄としては、建設で長谷工コーポレーション、電気機器でセイコーエプソン、カシオ計算機、海運で商船三井などが採用されています。
日経平均高配当50指数の定期的な銘柄入れ替えは、毎年1回、6月になります。
基準日は、2001年12月28日に10,000ポイントになりますが、指数の公表開始日は2017年1月10日になっています。現在(2024年8月9日)は、63,824.09ポイントです。
米国の高配当株式を対象にした代表的な指数
米国の高配当株式を対象にした代表的な指数としては、「S&P500配当貴族指数」があります。
S&P500配当貴族指数に採用されるには、以下の条件をクリアすることが必要です。
- S&P500の構成銘柄
- 25年以上連続増配していること
- 時価総額が30億米ドル以上
- 1日当たりの平均売買額が500万米ドル以上
S&P500配当貴族指数は、TOPIX高配当40指数や日経平均高配当50指数に比べ条件が厳しいことがわかります。
また、「25年以上連続増配していること」という条件があるので、S&P500の業種内訳とかなり異なった比率になります。S&P500指数の上位3業種は、情報技術が31.4%、金融が13.1%、ヘルスケアが11.9%に対して、S&P500配当貴族の上位3業種は、資本財・サービスが23.4%、生活必需品が23.3%、素材が12.1%になり、情報技術は3.0%にとどまります(2024年7月31日時点)。
まとめ
今回見てきました、3つの指数(TOPIX高配当40、日経平均高配当50指数、S&P500配当貴族)とも連動するETF(上場投資信託)や株式投資信託があります。
最新の構成銘柄については、各指数のホームページなどで確認することができますので、配当利回りの高い個別銘柄を選ぶ際の参考になることでしょう。