現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第100回は、ゆったりくつろげる内装とボリュームたっぷりの軽食が人気の喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」を全国展開する、コメダホールディングス(3543)をご紹介します。
- 名古屋で開業したコメダ珈琲店は2003年の関東進出以降、業容を拡大
- フルサービス型の喫茶店チェーンでは店舗数トップ。加盟店との共存共栄を重視
- 今期決算は過去最高の収益を見込む。株価の長期上昇トレンドは崩れていない
コメダホールディングス(3543)はどんな会社?
コメダホールディングス(3543)は、フルサービス型の喫茶店チェーン「コメダ珈琲店」をフランチャイズで手がけています。名物デザートの「シロノワール」や、ボリューム多めのスナック軽食が人気で利用されたことのある方も多いのではないでしょうか?
その他にも和喫茶の「おかげ庵」、大判焼きテイクアウト専門の「大餡吉日」なども運営しています。
同社は1968年に創業者の加藤太郎氏が名古屋市西区にコメダ珈琲店を開業し、スタートしました。「コメダ」の名称は加藤氏の実家が米屋を営んでいることから、「米屋(コメ)の太郎(ダ)」に由来しています。
その後、1977年に初のロードサイド店舗の本店を開店しました。当時の喫茶店は個人経営が多かった時代に、駐車スペースの多い大型の喫茶店は異色の存在でした。
その後は2003年に関東に、2016年には中国上海に進出し、業容を拡大していきました。

コメダ珈琲店の名物といえば「シロノワール」。このほかにもメニュー写真以上のボリュームを誇るサンドイッチやバーガーも人気
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くつろぎの提供と独自のフランチャイズシステム
コメダホールディングスは「心にもっとくつろぎを」をミッションとしています。
店内のインテリアや座席配置は居心地の良さを追求したデザインです。また他のカフェチェーンがセルフサービス方式とする中、コメダは店員が席でオーダーを受け、商品を運ぶフルサービスにこだわっています。座り心地の良い椅子や新聞・雑誌の提供もくつろぎ空間の演出に一役買っています。
国内では1055店舗を運営し、フルサービス型の喫茶店チェーンとしては店舗数トップです(2025年2月末時点)。同時に公式アプリによるモバイルオーダーも可能で、省力化も両輪で進めています。
また、店舗のフランチャイズ運営にあたり、加盟店との「共存共栄」を重視しています。例えば加盟店から受け取るロイヤリティーを定額制としており、加盟店の収益性を重視することで加盟しやすくなり、安定した店舗網の拡大につながっています。
さらに加盟店に対して開業前の研修や継続的な経営支援を行っているほか、品質管理にもこだわっており、ブランドの価値を保っています。

「くつろぎ」を演出する広い店内。来店者の滞在時間が長いのも特徴
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コメダホールディングス(3543)の業績や株価は?
コメダホールディングスの今期2026年2月期決算は、売上収益が前期比17%増の548億円、営業利益が13%増の100億円と、増収増益かつ過去最高を見込んでいます。
直近発表した2026年3~8月期決算は売上収益が23%増の285億円と大幅増収も、営業利益が6%増と伸び悩みました。値上げなどによる増収効果があったものの、原材料価格の上昇で原価率が悪化したのが響きました。
下半期に向けては「ドデカメンチバーガー」や「お月見シロノワール キャラメルマロン」などの新商品の発売や、駅チカや商業ビル内での出店を計画しており、挽回を図るとしています。

10月10日の終値は3005円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約31万円です。予想配当利回りは2.0%で、株主優待として2月末と8月末に100株以上を保有する株主に、店舗で使えるプリペイドカード「コメカ」の1000円分チャージの権利を付与しています。
また、3年以上にわたり300株以上を保有する株主には長期保有特典として、チャージ額に1000円分を上乗せしています。
株価は上場来高値圏で推移しています。業績も安定的に増収増益基調にあることから、長期の株価も右肩上がりのきれいなチャートとなっています。
3月にはシンガポールの外食企業を買収するなど、海外市場への展開も本格化しています。個人株主はコメダ珈琲店のファンも多いことから長期保有の安定株主としての側面もあり、株式の需給も良好と考えられます。直近では9月26日の3230円から下落し、押し目を形成していますが、長期での上昇トレンドは崩れていないと考えています。