資産運用に興味があっても、初心者にとって株式投資のハードルは高いもの。本連載では、現役の証券アナリストが株式投資の魅力や付き合い方をやさしく伝えます。

  • 各社それぞれが特色のある株主優待を実施している
  • 必ずもらえるわけではなく、業績悪化などで廃止されることも
  • 身近に利用している上場企業の株主優待を調べてみよう

割引券、商品詰め合わせなど各社に特色

今回は株主優待についてのお話です。

株式投資の魅力の一つに株主優待があります。配当金と違いすべての企業が実施しているわけではありませんが、各社それぞれが株主に対して魅力を提供するために特色のある株主優待を実施しています。

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例えば、JALやANAといった航空会社、JRや私鉄各社など交通機関であれば自社交通の優待割引券、オリエンタルランドなどテーマパークのサービス業であれば入園パスなどです。食品メーカーや飲料メーカーであれば自社商品の詰め合わせなどを株主優待としている企業も多いです。製造業やその他BtoBの企業でもQUOカードカタログギフトなどがもらえる企業もあります。

株主優待と配当を同時に実施している企業も多いため、値上がり益とあわせると低金利の昨今では定期預金の利回りを大きく超えることも多いでしょう。ただし、注意したいのは株主優待は配当のように必ずもらえるものではないということ。企業の業績が悪化すると廃止されるリスクもあります。

株主優待をもらうためには、株式を買い、株主になる必要があります。通常は企業の決算月の最終営業日時点の株主に対して実施されることが多いです。株式の受け渡しは2営業日かかるため、最終営業日の2営業日前が権利付きの最終日となります。

おすすめ① イオン(8267)

イオンの株主優待は日々のイオンでの買い物に対してキャッシュバックを受け取れるオーナーズカードです。100株以上を保有している株主に対して、保有の株数に応じて3~7%のキャッシュバックが受けられるオーナーズカードが発行されます。イオン系列店舗で毎月20日、30日に実施している5%割引と併用できます。さらに3年以上の長期保有の株主に対しては持ち株数に応じてイオンギフトカードが進呈されます。

トラリピインタビュー

イオンやマックスバリュなど系列店舗を日々利用する方であればメリットが大きく、ぜひ株主優待を活用したいところです。

2020年3月18日のイオン(8267)は終値2167円で単元株式数は100株なので、約22万円から投資できます。決算月は2月・8月です。

イオン 株主優待制度

イオンショッピングモールオーナーズカードで日々の買い物をオトクに

おすすめ② オリックス(8591)

オリックスの株主優待はオリックスグループ各店舗で利用できる株主カードカタログギフトのふるさと優待です。

株主カードの優待内容

株主カードは系列・提携ホテルや旅館などの宿泊料・飲食料、レンタカーの利用料、プロ野球オリックスのホームゲーム入場料など各種サービスを割引価格で利用できます。

オリックス 株主カードによる優待のご案内

ふるさと優待

ふるさと優待はオリックスグループの取引先など全国の名産品を選べるカタログギフトです。AコースとBコースがあり、3年以上継続している長期株主はよりグレードの高いAコースのカタログギフトがもらえます。

オリックス ふるさと優待

2020年3月18日のオリックス(8591)は終値1293円で単元株式数は100株なので、約13万円から投資できます。決算月は3月・9月です。ふるさと優待がもらえるのは3月末時点の株主のみです。

※2024年3月31日時点の株主への優待をもって、株主カードの優待およびふるさと優待は終了となります。

おすすめ③ ヤマダホールディングス(9831)

ヤマダホールディングスの株主優待はグループ各店の買い物で使える株主優待券です。保有する株式数によってもらえる金額が変わります。

例えば最低投資単元の100株~500株未満の株主には3月末で1000円分、9月末で2000円分の株主優待券が進呈されます。また、保有期間によって優待券の金額を増額する優遇制度もあります。

2020年3月18日のヤマダ電機(9831)の終値は482円となっており(※)、約5万円から投資できます。もらえる株主優待券の金額から計算した株主優待の利回りも6%を超えており、ヤマダ電機を利用する方はぜひ活用したいところです。

ヤマダホールディングス 株主優待制度

※ヤマダ電機は会社分割による持株会社への移行により、2020年10月1日からヤマダホールディングスへ移行しました。

おすすめ④ カゴメ(2811)

カゴメの株主優待は自社商品の詰め合わせです。「野菜生活」「トマトジュース」「トマトケチャップ」などカゴメの商品を使っている方であればお馴染みのものです。定番品のほか新商品がもらえることもあります。

決算月は6月末と12月末です。半年以上保有の株主を対象としています。

2020年3月20日のカゴメ(2811)の終値は2429円となっており、単元株式数は100株なので約25万円から投資できます。1000株未満の株主には2000円相当、1000株以上の6000円相当の自社商品の詰め合わせがもらえます。

カゴメ 株主優待制度

トマトジュース年1回、新商品や注力商品などの詰め合わせを株主に贈呈
※画像はイメージです
yoshi0511 / Shutterstock.com

魅力的な株主優待はほかにもある

株主優待の概要とおすすめ4銘柄を紹介しました。ここに挙げた銘柄はほんの一例で、魅力的な株主優待を実施している企業はほかにもたくさんあります。

身近に利用している上場企業が株主優待を実施していないかどうか、興味があればぜひ調べてみてください。

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