ウクライナ情勢の緊迫化などを背景に資源価格が高騰し、インフレが話題になっています。また、アメリカの利上げにより長期的に円安が進行する可能性が高いという見方があり、通貨安もインフレ要因になり得ます。このような情勢を受けて注目されるのが、不動産を投資対象とする、インフレに強いとされているREIT(不動産投資信託)です。

  • REITとは、不動産に投資する投資信託のこと
  • REITがインフレに強い理由1 インフレで資産価値が高まる傾向
  • REITがインフレに強い理由2 インフレで賃料が高まる傾向

REITは不動産に投資する投資信託

REITとは「Real Estate Investment Trust」の頭文字を取った言葉で、不動産に投資する投資信託のことです。REITは投資家から資金を集め、オフィスビルや賃貸住宅などの不動産に投資をします。そして、不動産から得られる賃料を分配金として投資家に支払います。中でも、国内株式市場に上場している日本のREITは「J-REIT」と呼ばれ、株式の個別銘柄と全く同じ手続きで売買できます。

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不動産は、債券などと比べると相対的に高い利回りが得られやすいうえに、J-REITの場合は配当可能利用額の90%超を分配金として配当する特徴があります。不動産の賃料は入居者が定期的に支払うものであり、賃料に基づく収益のほとんどが投資家に分配されるため、REITを保有する投資家も定期的な収益を期待できることが魅力です。

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個人が不動産に投資するにはマンション投資などの方法もありますが、まとまった資金が必要で、一般の人が購入するのは簡単ではありません。一方、REITは比較的少額から投資できます。J-REITの最低購入単位は、最も低い銘柄では数万円程度となっています。

REITが投資する不動産の種類も、住宅やオフィスをはじめ、大型商業施設や工場、ホテル、物流倉庫、データセンター、ヘルスケア施設などさまざまです。豊富な銘柄の中から投資したい分野を選ぶことも可能です。

REITはなぜインフレに強いといわれるのか、その理由を考えてみましょう。

データセンター
企業を中心にクラウドの利用が増えている近年では、データセンターを組み入れるREITも増えている

理由1 不動産はインフレで資産価値が高まる傾向

インフレとはモノの価格が上がるということです。別の見方をすると、通貨の価値が下がっているともいえます。インフレ時には実物資産の価値が相対的に高まる傾向があり、実物資産である不動産に投資するREITも例外ではありません。

理由2 インフレで不動産の賃料が高まる傾向

インフレ時にはモノの価値とともにサービスの価値も上がり、賃料も上昇していく傾向があります。賃料の上昇は、REITの分配金が増加する要因となります。投資家にとって分配金増加は恩恵が大きいため、さらに投資家が増えて資金が流入する可能性が高まります。国内外の投資家から日本の不動産に資金が集まれば値上がりも期待でき、好循環が生まれやすくなります。

中でも商業施設や物流関連の大型施設などは、インフレによって賃料が上昇しやすい不動産とされています。今後の物価や国内景気の動向次第のところもありますが、J-REITの中にもインフレを追い風に大きく成長する銘柄が出てくるかもしれません。

REITファンドに投資する方法も

REITへの投資を検討するなら、投資信託(REITファンド)という選択肢もあります。

REITファンドは複数のREITに投資するため、REITの個別銘柄を持つ場合と比べて、個々の不動産が破たんしてしまうリスクをさらに分散できます。投資信託であれば積立投資も簡単なため、これから少しずつお金を増やしていきたいと考えている人にとっても投資しやすい商品といえるでしょう。REITファンドなら日本のJ-REITだけでなく、アメリカなど海外のREITにも手軽に投資をすることが可能です。

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REITファンドは複数のセクターの不動産に投資するため、セクター特有のリスクを分散できます。例えば、ホテルやオフィスに特化するREITの場合、どうしても景気の動向に左右されやすくなります。一方で、住宅関連に特化するREITは相場の変動を受けにくい特徴があります。最近では新型コロナウイルス感染拡大によって、ホテルなどの観光関連の不動産が大きくダメージを受けた一方で、巣ごもり需要により物流系のREITは堅調に推移したこともありました。

REITファンドを通じて複数のセクターに分散投資をすることで、景気の動向などによって特定のセクターの不動産が大きな損失を被るリスクを抑制できます。

ただし、REITファンドは信託報酬などの手数料が発生します。J-REITの個別銘柄への投資と比べて、コストが高くなりやすい点には注意が必要です。

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