経済や暮らしにまつわるさまざまな話題を切り口に、日々の生活で「オトク」を実現させるための知恵やテクニックをお届けする連載。今回のテーマは「旅行」。JRの中距離列車や長距離列車をオトクに使って、紅葉シーズンを満喫してみてはいかがでしょうか?

紅葉シーズンが到来しました。秋になったら京都に行こうとか、金沢に行こうとか、さまざまな行楽地へ遊びに出かける企画を考えていた方も多いかと思います。
そんな皆さまに、今回は「オトクな乗車券の買い方」をご紹介いたします。

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中距離電車なら「分割乗車券」

まずは一つ目。JRで中距離電車に乗るなら、「分割乗車券」がお勧めです。
分割乗車券とは、切符を目的地まで買うのではなく、区間ごとに小分けして買うことです。

例えば東京の新宿駅から、中央本線にて山梨の甲府駅まで行こうとしたとします。その際、駅のみどりの窓口や券売機などで1枚の乗車券として買うと、新宿-甲府の切符は2,310円かかります。
しかし、同じ区間を分割して購入すると、新宿-高尾は570円、高尾-藤野は240円、藤野-鳥沢は240円、鳥沢-笹子は330円、笹子-東山梨は330円、東山梨-甲府は240円ということで、合計1,950円となり、360円も安く買うことができます。

この方法は首都圏のJRに限らず全ての鉄道でできますが、短距離や近郊区間で行うと効果が少ないか、全くないこともありますので、中距離がお勧めです。特急や急行、新幹線でも利用できますが、特急券は区間ごとに分割することはできません。分割乗車券が使えるのはあくまで乗車券のみですので、ぜひお試しください。
また、この方法はJRでは効果が大きいのですが、私鉄では難しいようです。

重要なことは、分割乗車券は必ず普通乗車券を買うことです。回数券や企画乗車券などを一緒に利用すると、乗車券の計算方法が変わってしまい、駅員さんに止められたりしてかえって面倒なことになります。

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分割乗車券は、駅が連続した状態で普通乗車券を買うのであれば、法的に問題ありません。
一部の駅の券売機では、乗車券を分割して買うことができない場合もありますが、その場合は、みどりの窓口でメモ書きをした用紙を見せればスムーズに買うことができますので、ご安心ください。

長距離電車なら「一筆書き乗車券」

電車の車窓
車窓から見える風景も、列車で旅行する醍醐味

続いて二つ目、JRにて長距離(片道600キロ以下)を乗る方には、「一筆書き乗車券」がお勧めです。

例えば、東京駅から金沢駅を1泊して往復することとします。金沢といえば、兼六園の紅葉はぜひ見に行きたいですよね。この場合、近距離のように往復乗車券を買いたくても、距離の都合で往復乗車券は買うことができません。その代わりとして、以下のような経路の乗車券を購入します。

〈1枚目〉
東京駅から東海道新幹線にて米原駅(滋賀県)へ行き、
・米原駅からJR北陸本線で福井を回って金沢駅へ行き、
・そのまま、金沢駅から北陸新幹線にて大宮駅(埼玉県)へ行き、
・さらにJRの在来線で大宮駅から川口駅(埼玉県)まで行く乗車券(特急券は別)。
〈2枚目〉
川口駅から東京駅までの乗車券。

東京から金沢へ行くために、行きは東海道新幹線、帰りは北陸新幹線という別々の路線を使って、円を描くように列車で移動するから「一筆書き乗車券」というわけです。

単純に北陸新幹線で東京-金沢間を往復する場合の乗車券(新幹線の特急券を含まない)は、7,480円×2で14,960円となります。
しかし一筆書き乗車券の場合は、東京から米原、金沢を経由して川口に至る乗車券が13,200円、川口から東京が310円ですから、合計で13,510円となり、1,450円安くなります(川口-東京間でSuicaなどのICカードを利用すると308円となり、さらに2円安くなります)。
一筆書き乗車券を利用する場合も、特急券は東海道新幹線と、米原-金沢間の在来線特急と北陸新幹線を普通に買って乗ることができます。

一筆書き乗車券の2つのメリット

一筆書き乗車券を利用するメリットは、料金が安くなること以外にも二つあります。
一つは、東京都区内などの「近郊区間」でない限り途中下車が自由となること。もう一つは、乗車券の有効期間が延びるということです。

途中下車ができるということは、例えばこの東京~米原~金沢~東京というルートなら、名古屋や福井、長野辺りで途中下車をして、金沢以外の観光も同時に楽しめることになります。紅葉スポットでは、名古屋なら香嵐渓、福井は九頭竜峡、長野は戸隠神社などが見頃でしょうか。いずれも駅からはやや遠いですが、レンタカーやカーシェアを使って出かけるのもよさそうです。行楽シーズンなので、渋滞が心配ではありますが……。

また、一筆書き乗車券は通常の乗車券より有効期間が長く、1週間近く利用できます。もし長期休暇などが取れるのであれば、4泊や5泊でもできますから、旅行を十分に満喫できます。

ただし、途中下車を楽しめるメリットを使うということは、特急券をその都度別々に買うこととなりますので、乗換駅以外で特急の途中下車を繰り返すと、特急料金で値段が増すことにもなります。途中下車のしすぎには注意しましょう(新幹線や特急などに乗らず、在来線で移動する分には関係ありません)。

一筆書き乗車券の注意点

一筆書き乗車券を利用する場合、注意すべきことがいくつかあります。

① 本来の目的地までの距離が片道601キロ以上の場合、往復乗車券の方が安くなる可能性があります。
② 必ず一筆書きとなるようにします。乗車する路線が重複してはいけません。
(どうしても重複してしまう場合は、その区間のみ別料金を検討しましょう)
スタートとゴールの駅も重なってはいけません。
(例えば東京駅から出発する場合は「東京発東京行き」はできないので、「東京発~経由地~大宮行き」や「川崎発~経由地~東京行き」などとすること)
④ 東京都区内やJR山手線内の発着駅、または近郊区間内の駅を発着の場合は、その近郊区間内の駅同士も③と同じとされる。
(東京駅や上野駅のような山手線内の駅などを出発駅とする場合、川崎駅や川口駅、戸田公園駅、吉祥寺駅、市川駅、松戸駅のように、出発駅の手前の駅を一筆書き乗車券の到着駅とし、その駅からもう1枚、出発駅(=本来の到着駅)までの乗車券を別料金で買えば構わない)

オトクな料金をネットで調べてみよう

重ねての説明となりますが、上記の「分割乗車券」と「一筆書き乗車券」は普通乗車券で行う必要があります。乗れる列車は、各駅停車となる普通電車や追加料金のいらない快速のみで、料金が別に必要となる特急のような列車には、乗車券以外に特急券などが別途必要です。
また、私鉄の路線はJRと同時に購入しても一筆書きなどの対象にはならないので、必ずJRのみで行ってください。

分割乗車券については、インターネットに自動計算してくれるサイトもあるので、そちらを利用してみると大変便利で、使い勝手がいいです。地図や鉄道の路線図などをにらみながら計算してみると楽しくなりますよ。
中距離路線で分割乗車券を利用する場合、きちんと調べてからでないと、区間を分割してもわずかに安くなるだけか、場合によっては通常の乗車券より高くなってしまうこともあるので、十分注意してください。長距離路線では、区間をうまく選べば意外と大幅なオトクになるかもしれませんので、一度お試しになってはいかがでしょうか。