レポート提供:ニッセイアセットマネジメント(2019年3月27日)

  • 米国REITが史上最高値を記録。3月19日~20日に開催されたFOMCで利上げ観測が大きく後退したことが主要因か。
  • 米国REITは高値警戒感などから調整する局面も想定されるが、利上げ観測の後退に伴い、金利上昇懸念が薄れたことなどの要因から、上昇基調を維持するものと思われる。

米国REIT市場の動向

米国REIT(FTSE NAREIT All-Equity Reit指数、配当除き、米ドルベース)が3月21日、史上最高値を記録しました。

年初から3月21日までの騰落率は+15.5%と、米国株式(S&P500種指数、米ドルベース)の+13.9%を1.6%上回っています。なお、同日配当込み指数も3月14日につけた史上最高値を更新しました(図表1)。

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3月19日~20日に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)で2019年の利上げ観測が大幅に後退し、米国10年国債金利が低下したことが主な要因になったと思われます。

【図表1】米国REITの推移
【図表1】米国REITの推移
出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

景気減速懸念を受けた金利低下

米中貿易摩擦問題などの影響で、現時点では景気拡大から景気減速を意識した相場展開に移行した可能性があります。景気減速懸念を受けた世界的な金利低下に伴い、市場では予想配当利回りの高いセクターに注目が集まり、米国REITに加え公益事業セクターにも資金が流入しているようです。

さらに、景気変動の影響を受けにくいと言われていることから米国REITや公益事業セクターが、将来の成長期待が高いとの見方から情報技術セクターが、現在の相場展開の中では選好されているようです(図表2)。

トラリピインタビュー

また、米国REITに関しては、金利低下でイールド・スプレッド(予想配当利回り-10年国債金利)が1.3%前後の水準を維持していることも支援材料になっているものと思われます(図表3)。

【図表2】米国株・米国REITの推移
【図表2】米国株・米国REITの推移
出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

【図表3】米国REITのイールド・スプレッド
【図表3】米国REITのイールド・スプレッド
出所:ブルームバーグのデータをもとにニッセイアセットマネジメントが作成

米国REIT市場の今後の見通し

米国10年国債金利が2018年1月以来の2.5%割れとなったことを受けて、米国REITは借り入れコストの低下により、業績の改善が見込まれます。一方で、10年国債金利が米国3カ月短期国債金利を下回っていることはやや行き過ぎているとの見方もあり、その反動や高値警戒感などで米国REITが調整する局面も考えられます。

しかし、利上げ観測が後退したことで、金利上昇懸念が薄れたとの見方があることなどから、米国REITは上昇基調を維持するものと思われます。

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