「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、シリーズ「見せてもらおうか!積立投資の実力とやらを」の番外編と題して、毎月分配型(毎月決算型)の投資信託の使い方を考察します。

  • つみたてNISAの対象から外されながらも、今も根強い人気の毎月分配型ファンド
  • 投資信託の分配金は、受け取る「一般口」と、受け取らない「累投口」を選べる
  • 分配金をファンドの買い増しに充てれば、毎月分配型でも資産の成長が期待できる

皆さん、こんにちは。依然として、新型コロナウイルス感染症の陽性者が増えているようですね。罹患された方と、そのご家族様にお見舞い申し上げます。

さて、本稿では「毎月分配型(毎月決算型)のファンド」について、少しだけ考えてみたいと思います。
毎月分配型、または毎月決算型の投資信託とは、その名の通り、毎月1回「分配金」が支払われるタイプのファンドです。運用状況が悪いときには分配金が出ない場合もありますが、多くの毎月分配型ファンドは、分配金を毎月ほぼ必ず投資家に支払っています。投資家にとって分配金は「利益」ではなく、あくまで「運用資金の一部の払い出し」である点には注意が必要です。

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毎月分配型ファンドというと、FP(ファイナンシャルプランナー)などの専門家から揶揄され、そして金融庁からも指摘があった、評判が微妙なファンドです。が、やり方によっては、毎月分配型ファンドでもパフォーマンスを挙げられることをお伝えしたいと思います。

「毎月分配型ファンド」の沿革

まず、毎月分配型ファンドの沿革について、筆者の記憶を辿ってみたいと思います。
毎月分配型ファンドは、その昔……リーマン・ショック以前の2000ヒト桁代の時代に、数兆円の資金を集めたファンドもあり、まさに一世を風靡しました。投資資金に充てられたのは、主に退職金だったとか。「(今よりは未だマシだったけど)低金利への、運用による不満解消」と「毎月の分配金による運用資金の計画的な取り崩し」がセールストークだったような記憶があります。

しかし、リーマン・ショックの前後から、FPなどの専門家から「タコ足ファンド」と揶揄されるようになり、2010年代半ばには、当局から「運用の成果に関わらず、長期運用の点から観ても、毎月、分配金を出すのは好ましからず」という「指摘」がなされました。

その「指摘」が活かされている(?)のが、やはり、2010年代の半ばに登場した「つみたてNISA」の対象商品の要件だと考えらえます。「分配頻度が毎月でないこと」という要件が、しっかりと明記されていますからね。

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毎月決まった日に分配金が支払われるのが毎月分配型ファンドの仕組み。退職金の運用手段として人気を集めた

「毎月分配型のファンド」の魅力? 魔力?

ということで、かつて一世を風靡したファンドも、今は昔という印象が拭えなくもありません。しかし、ある金融機関(=投資信託の販売会社)の販売件数ランキングのページを見ると、直近1か月で、上位10本のうち、「毎月分配型のファンド」が2本、ランクインしています。
評判はともかく、「毎月分配型のファンド」は根強い人気を誇っているようにも感じます。

筆者は毎月分配型ファンドについて、ベストな選択ではないにしても、(=いや、むしろ、パフォーマンスさえきちんと挙げることができれば、結果さえ良ければ)悪いファンドだと思ったことはありません。

ところで、毎月分配型ファンドは、積立投資というよりも、退職金のようなまとまった資金による一括投資の場合がほとんどだと思われます。
まとまった資金で「毎月分配型のファンド」に投資し、そして、毎月決算がありますから、お約束(=保証)ではないにしても、毎月、分配金を受け取ることができるようになっています。

「タコ足ファンド」と揶揄されているのも知らずに、「この分配金が楽しみなんですよね♪」と語る人の、何と多いことか。

預金通帳に分配金が振り込まれている旨の記帳があると、「安心する」とか「お給料と同じ感覚になる」と言う言葉が、いまだに筆者の耳に焼き付いています。
お勤めをリタイアされ、年金生活に入った人にとっては、国の年金は2カ月に1度ですし、企業年金は3か月に1回という規約もあったりしますから。「毎月」というのは魅力なんでしょうね。

しかし、この分配金を「受け取らない」という選択肢があるのをご存知でしょうか?

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