iDeCoは老後に向けた資産形成を応援する制度であるため、原則として60歳になるまで解約できません。原則ということは例外もあり、厳しい条件を満たせばiDeCoを解約できることがあります。しかし、どのような状況になれば解約できるのか分からず、不安な人も多いのではないでしょうか。具体的条件をまとめましたので参考にしてください。
- iDeCoは原則として解約不可だが、例外もある。ただしその条件は厳しい
- 掛金の支払いが厳しくなったら、拠出の一時停止や減額が可能
- 拠出の一時停止や減額をすれば、その分、所得控除のメリットが薄れる
原則ということは例外もある
iDeCoは60歳になるまで原則として受け取りができませんが、例外もあります。加入者が一定の条件を満たした場合には「脱退一時金」などの形でお金を受け取れるのです。ただし、その条件は非常に厳しく、やむにやまれぬ事情があるときだけの例外と考えておきましょう。
iDeCoを例外的に解約できるパターンは主に3つです。順に紹介していきます。
① 脱退一時金を受け取れる場合
以下の5つの条件をすべて満たせば、脱退一時金が受け取れます。
- 国民年金の第1号被保険者のうち、国民年金保険料の全額免除又は一部免除、もしくは納付猶予を受けている方
- 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではないこと
- 通算拠出期間が3年以下、または個人別管理資産が25万円以下であること
- 最後に企業型確定拠出年金又は個人型確定拠出年金(iDeCo)の加入者の資格を喪失した日から2年以内であること
- 企業型確定拠出年金の資格喪失時に脱退一時金を受給していないこと
※1の要件は、日本国の国民年金保険料の免除を受けていることが必要であり、外国籍の方が帰国後に国民年金の加入資格がなくなった場合は、これに該当しません。(出典:iDeCo公式サイト)
② 障害給付金を受け取れる場合
障害給付金は、加入者が70歳になる前に高度障害者になった場合に受け取れます。なお、高度障害者とは、障害基礎年金の年金証書等の所持者。または身体障害者手帳(1級から3級)、療育手帳(重度の者)、精神障害者保健福祉手帳(1級または2級)の所持者のことです。
iDeCoは重大な事故や病気の場合でも受け取れないといわれることがあります。しかし、実際はどのような場合でも受け取れないわけではなく、けがや病気で障害者手帳を持つことになれば、60歳にならなくても受け取りが可能です。
③ 死亡一時金を受け取れる場合
加入者が死亡した場合は、遺族が運営管理機関に請求することで、死亡一時金を受け取れます。
掛金の支払いが厳しくなったら停止、減額が可能
iDeCoは途中で自由に解約・引き出しはできませんが、毎回の拠出をいったん止めることはできます。手続き方法は、加入している金融機関宛てに「加入資格喪失届」を提出するだけです。加入者資格喪失届はiDeCo公式サイトからダウンロードできます。
書類の書き方については、家計の都合から拠出が難しくなった場合は「運用指図者となるため」の項目を選択すればOKです。もし家計に余裕が出てきて再度拠出が可能になった場合には、加入している金融機関あてに再開の手続きをすればいつでも再開できます。
また、拠出金額の減額も可能です。拠出を完全に止めなくても、金額を減らせば問題ない場合はこの手続きを選びましょう。拠出額減額手続きも、停止の際と同様に、加入している金融機関宛てに「加入者掛金額変更届」を提出するだけです。加入者掛金額変更届もiDeCo公式サイトからダウンロードできます。
ただし、拠出額の変更は年に1回しかできません。毎月の収支に波がある場合は、厳しい月でも余裕をもって拠出できる金額に設定しておきましょう。
拠出をやめると所得控除の適用がなくなる
iDeCoは拠出額がそのまま所得控除になる節税効果が大きなメリットです。拠出をストップすると所得控除の適用がなくなることに注意しましょう。減額の場合は、減額した分だけ所得控除の適用額が減ってしまいます。
拠出の停止や再開、拠出額の変更を短期的に繰り返していては、節税メリットを十分に享受できません。無理のないマネープランを立てて、しっかりと実行していくことが大切です。