現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第20回は、ネット会議システムやセミナー、イベントのオンライン配信などを手掛けるブイキューブ(3681)を取り上げます。

  • ブイキューブは、ネット会議システムやイベントのオンライン配信などを手掛ける
  • イベント開催で培った運営ノウハウを武器に、オンラインイベントが好調
  • 株価は高値から5分の1以下まで売られたが、足元では出直りの気配

ブイキューブはどんな会社?

ブイキューブは、ネット会議システムやセミナー、イベントのオンライン配信などを手掛けています。

社名は「V-cube provides Visual Communication Vehicle.」の3つのVに由来し、映像や音声によるビジュアルコミュニケーションの公共通信プラットフォームになることを目指すビジョンを掲げています。

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事業のきっかけは、創業者の間下直晃会長が学生時代に企業のサイト制作を手がけていた際のことでした。米ロサンゼルスで子会社の立ち上げのため、現地社員との遠距離でのやりとりに四苦八苦していました。当時のテレビ会議システムは導入に1千万円近くかかってしまうため、とてもそんな余裕はなかったのでネット回線を利用したウェブ会議システムを自社で開発したことが始まりでした。

ウェブ会議システムは新型コロナによる非対面のコミュニケーションツールとして企業でも導入が進んでいます。ご自身の仕事でも利用されたことのある方も多いのではないでしょうか?

また、2017年から取り扱いを開始した公衆電話をさらに大きくしたようなサイズのプライベート空間のブースでウェブ会議やテレワークができるテレキューブも設置が進んでいます。サブスクリプション形式で利用でき、防音性や安全性に優れていることからオフィスやショッピングモール、学校、駅などで活用されており同社の新たな成長分野となっています。

ブイキューブの強みは?

ブイキューブの強みは、企業や団体のイベントのオンライン、ハイブリッド開催を支援するイベントDX事業です。

ウェブ会議システムはマイクロソフトの「チームズ」、「ZOOM」など海外サービスとの競争が激しくなっています。こうした中で、ブイキューブはこれまでイベント開催で培った運営ノウハウを武器にしています。具体的には、企業の就職説明会、決算説明会、バーチャル株主総会、製薬業界向けのオンライン講演会など様々な場面で利用が増えています


コロナ禍で定着したオンラインイベント支援を手掛ける

こうしたオンラインイベントは、映像の切り替え、質疑応答、配信トラブルの対応などの運営がイベントの成否に関わるケースも多いことが、企業などの利用促進につながっています。

ブイキューブの業績や株価は?

ブイキューブの今期2022年12月期は売上高が前期比20%増の139億円、営業利益が48%増の20億円と大幅増収増益を見込んでいます。

働き方改革の推進やテレビCMの効果でブース型のテレキューブの設置ペースがさらに伸びています。イベントDX事業ではコロナ禍で伸びた製薬業界向けが踊り場となっていますが、その他のさまざまな業界でのハイブリッドのイベント開催や最近話題の大型の仮想空間のメタバースのイベントなど裾野が広がっています。

5月20日の終値は979円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約10万円です。

ブイキューブ(3681)の株価(2020年10月~、月足、終値)

米国の金融引き締めで世界的に成長株が売られていたこともあり、株価は2020年12月の3785円から2022年2月には720円と5分の1以下まで売られました。しかし足元では下値を固めて出直りの気配となっています。

テレワークなどコロナ禍で普及した新たな行動様式でオンラインとリアルのハイブリッドのコミュニケーションツールはさらに需要が増しています。また、新型コロナによる行動制限なども徐々に撤廃の方向に進んでおり、イベントDXやテレキューブなど成長の余地は大きいと見ています。

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