レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年7月16日)

  • 米国の主要株価指数が連日で過去最高値を更新するなか、市場参加者の不安心理を映すとされるVIX指数は、足もとでは米国の利下げ期待の高まりなどを背景に、およそ2カ月半ぶりの水準へ低下。
  • フェイスブックは個人データ大量流出問題で制裁金の報道も同社株価が上昇するなど、市場の先行きに対する楽観的な見方が高まっている。こうしたなか、米金融大手の決算発表が注目される。

VIX指数はおよそ2カ月半ぶりの水準へ低下

米国の主要株価指数が連日で過去最高値を更新するなか、市場の先行きに対する楽観的な見方が高まっています。

米国の主要株価指数の1つであるS&P500種指数のオプションから算出された変動性(ボラティリティ)で、市場参加者の不安心理を映すとされるVIX指数の過去1年間の推移をみると、米金利上昇や世界的な景気減速を背景に昨年10月から12月下旬にかけて大幅に上昇しました。

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今年に入ると、米国の金融政策が緩和的な姿勢へ変化したことで市場の不安感が後退し、VIX指数は低下基調となりました。5月上旬には米中貿易摩擦が激化するとの懸念から再び上昇しましたが、足もとでは米国の利下げ期待の高まりなどを背景に、同指数はおよそ2カ月半ぶりの水準へ低下しました。

【図表1】VIX指数の推移
【図表1】VIX指数の推移

※期間:2018年7月13日~2019年7月15日(日次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成

制裁金報道もフェイスブックの株価は上昇

市場の楽観的な見方は個別銘柄の株価動向にも表れています。

交流サイト(SNS)最大手フェイスブックが大量の個人データを流出させた問題で、米連邦取引委員会(FTC)は同社に対して50億米ドルの制裁金を科す和解案を承認したと、7月12日に米主要メディアが報道しました。同社の個人データ流出問題は2018年3月に発覚し、FTCが調査を進めていました。

同社株は7月12日の取引開始直後に前日比1%下落する場面がありましたが、その後は持ち直し、同1.8%高で取引を終了しました。同社は今年4月にFTCによる制裁金が最大で50億米ドルになる可能性があるとして、1‐3月期決算で制裁金支払いに備え30億米ドルの引当金を計上しました。

同社株の上昇は、個人データ流出問題の同社業績に対する影響が想定の範囲として、同社株の先行きに対する市場の楽観的な見方を反映したものと思われます。

【図表2】フェイスブック 株価推移
【図表2】フェイスブック 株価推移

※期間:2017年7月14日~2019年7月15日(日次)
出所:ブルームバーグのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
※上記個別銘柄の掲示は、取引の推奨を目的としたものではありません。

今週の米金融大手の決算発表が注目される

米国株式市場で楽観的な見方が高まるなか、今週から4‐6月期の米大手企業の決算発表が金融大手を皮切りに本格化します。金融大手の決算発表は市場全体にも影響を与えると考えられ、注目されます。

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