豊かな人生とは何をもって言うか、その指標はお金だけでしょうか? ビジネスを成功させた人に聞くと「人に恵まれた」エピソードが必ず語られます。コロナ禍を体験し、先が見えない世の中だからこそ「人と繋がる」ことの大切さが身に沁みます。“人”という字が支え合っているように、人と出会って何を学んでいくかは、人生において大切な自己投資になります。この連載では、専門知識や経験に秀でたスペシャリストの視点で、豊かな生き方の極意を語ってもらいます。第11回のテーマは、人生を潤す「ラグジュアリー」について考えてみようと思います。そこで、ホテルやクレジットカード業界で長いキャリアを持つ斎藤裕輔さんにお話を伺いました。(聞き手=さらだたまこ)。

斎藤裕輔さんの写真
斎藤 裕輔(さいとう ゆうすけ)さん
1984年、東京生まれ。ホテル専門学校を卒業後、ペニンシュラやアマンなど、世界5都市(ホノルル、香港、バンコク、上海、東京)のラグジュアリーホテルで延べ15年勤務、その後、外資系大手クレジットカード会社の法人営業を経て、米国で創業され日本では2016年から発行している金属製クレジットカード(Black Card I 株式会社)のダイレクトセールス本部長に。

アフター・コロナに必要なラグジュアリー感覚とは?

コロナ禍のステイホーム中に、断捨離した人は多いと聞いています。
今後は、本当に必要な物を取捨選択し、シンプルにミニマルに生きたいというコンセプトで!

筆者の周りでも……。特に、バブル期に、モノにこだわって、また、ワンランク上の生活を夢見た世代に断捨離傾向が強いように感じます。

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たとえば、殆ど乗らなくなった高級外車、いつも傍に置きながらもう触ることすらなくなった楽器、そして、かつて、誇らしげに身につけていたブランドの服やアクセサリー、バッグや靴などなど……。

それから、星付きのレストランにて、高級ワイン堪能するグルメ会、あるいはバケーションは、海外リゾートの会員制コンドミニアムにて過ごすとか……。
さらにはゴルフ三昧、クルージング、プライベートジェット……とまあ、上を見たらキリがない生活をこの2年間で手放してスッキリしたという人々!

その潔さは、とてもかっこいいと思います。
しかし、世の中から《ラグジュアリー》な愉しみがすっかりなくなってしまうのは、寂しいものです。

どっぷり浸ることはなくても、暮らしの中にアクセントとして、ラグジュアリーを忘れないことも必要ではないかと。

というか、コロナ禍のビフォアとアフターで、ラグジュアリーにどう向き合うか? その本質から考え直し、自分らしく取り入れていくことも大切なのではと思うのです。

そこで、世の中にラグジュアリーな生活提案をする立場で長年お仕事をしてきた斎藤裕輔さんにお話を聞きながら、改めて「ラグジュアリーとは何か?」を深堀りしていきたいと思います。

今回、お目にかかった斎藤さんは、その名もズバリ!「ラグジュアリーカード」というクレジットカードのセールスをお仕事にされています。
ゴールド、ブラック、チタンといった最上位ステータスで、アクティブな富裕層に支持されているクレジットカードです。
しかも、斎藤さんは、元ホテルマンだけあって、とても物腰が柔らかく、そして、周りの空気をも、ラグジュアリー色に染めていくような雰囲気がありました。

驚いたのは、いただいた名刺が今、斎藤さんがお仕事をされているラグジュアリーカードと同じピカピカのメタル仕様。
紙の名刺とも、プラスチックのクレカとも違ってずしりと掌に収まった感は、印象深く、筆者は暫くデスクの傍にオブジェのように飾っておりました。

例えばですが、何か一つだけ、ラグジュアリーにこだわるなら名刺に凝ってもいいかなと思った次第。
印象付けにも優れもので、トークネタにもなる名刺。
営業ツ―ルとしてお金をかけても費用対効果は大きいと踏みました。

名刺交換のイメージ
何か一つだけラグジュアリーにこだわるなら、費用対効果の高い名刺に凝ってみる?

そう! かつてのバブル期みたいに、上から下までラグジュアリー尽くめというのではなく、シンプルでミニマルを標榜するライフスタイルの中で、何か一つ、きらりと光る一点豪華なこだわりとして、「私のラグジュアリーはコレ!」というものを持つことが、シンプルでミニマルな生活とは親和性は高いと見たのですが……。

世代で違うラグジュアリーの価値観

今、ミレニアル世代(※1980年から1995年の間に生まれた世代)やそれに続くデジタルネイティブなZ世代(※1996年から2015年の間に生まれた世代)は、かつてのバブル世代と違って、高級車に憧れはなく(そもそも運転に興味がないともいわれ……)、海外旅行や海外留学、海外移住にも憧れを抱かないといわれています。

かつてラグジュアリーのアイコンのほとんどが欧米発のブランド品で、昔むかしは舶来品と呼んで珍重していました。
そのころは外貨も高く、規制があって手続きも手間がかかり気軽に外国にも行けず、遠い憧れだったのです。
でも、今は、誰もが気軽に海外に行けるし、海を越えなくてもインターネットを通じて覗くことで、遠い海外がうんと身近な存在になってしまいました。
そのせいもあってか、海外ブランドも、ファストファッション系に支持が移ってしまった感があります。

そうした中で、2016年から日本で展開しているラグジュアリーカードのカードホルダーに、若い世代はどれくらいいるのか? ズバリ斎藤さんに聞いてみました。
「カードホルダーの6割以上は、経営者の方々で、他のステータスカードでは、50~60代の層が厚いと言われますが、ラグジュアリーカードは、20代後半から40前後の層が厚いんです」というお答えでした。

おお! それはドンピシャ、ミレニアル世代。
高いステータスカードのホルダーである若い経営者という実像が浮かび上がってきました。そんな彼らは、ライフスタイルにどんなラグジュアリーを求めているのでしょうか?

彼らについて、斎藤さんは「とても、アクティブでポジティブ」と分析しています。そして「自分自身で未来を切り拓くために、常に挑戦を続けている」とも!

なるほど! ラグジュアリーをライフスタイルに取り入れる目的が、高級品を持つことや、贅沢を体験することではないのですね。
モノへのこだわりや、さまざまな経験をアップグレードすることが、自身の未来を創るという手段になっていのです。

なので、若い世代のホルダーは「社会貢献やSDGsに繋がるサービスにもお金を使う」と、斎藤さんはいいます。
単にラグジュアリーなモノを手に入れるのではなく、お金を使うことで、自分ではない、他の何かの役立つことをする=ラグジュアリーという意識が、若い世代に芽生えていることは大変喜ばしいことです。

ノブレス・オブリージュという言葉があります。
欧米の富裕層がチャリティやボランティア活動を積極的に行うのは「高貴さは社会的責任と義務を伴う」という社会規範・道徳観によるものだとされています。
今の若い経営者層が、ノブレス・オブリージュ的な感覚を持って、ラグジュアリーな生き方しようとしているのであれば、とても、志が高く、素晴らしい動きだと思います。

この感覚をもってアクティブに人生を謳歌する人たちこそ、真の富裕層といえるのではないでしょうか? 単に大金を持つというのではない、社会貢献、還元という意識の高さです。

ボランティアをする裕福な人々
「誰かのためになる」のもラグジュアリーな行動という意識が芽生えている

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