ユーザーが商品を「所有」するのではなく、定額料金を支払い一定期間「利用」する“サブスクリプション”と呼ばれるサービスが近年急速に広がりを見せています。サブスクリプションが拡大している背景やサービスを利用するメリット、契約の際の注意点などを一般社団法人日本サブスクリプションビジネス振興会・コミュニケーション理事の上ノ山慎哉さんにうかがいました(取材日:2022年8月2日)。

上ノ山慎哉さん

サブスク振興会 コミュニケーション理事
スタークス株式会社 代表取締役
上ノ山慎哉(うえのやま・しんや)さん

2006年、株式会社ファインドスター入社。インターネット広告事業立ち上げ、営業マネージャー、グループ会社役員を経験。2012年、スタークス株式会社を創業し、代表取締役に就任。サブスクリプションビジネス事業者へのクラウドサービス提供を通じて、これまでに1,000社以上の企業の売上・利益の最大化を支援。

お得に、気軽に試せるのがサブスクのメリット

サブスクリプションサービスが広まっている理由は何でしょうか?

上ノ山さん まず、サブスクリプション(以下、サブスク)とは、定額料金を支払うことでコンテンツやサービスを一定期間利用できるビジネスモデルを指します。SpotifyやNetflixなど、音楽や動画の配信サービスではサブスクを利用するのが一般的になってきていますよね。

サブスクだと、「買う・所有する」よりもお得に商品・サービスを利用できるのがメリットです。

従来だとレンタル屋さんにCDやDVDを借りに行ったり、楽曲などを1つずつダウンロードしたりしていましたが、サブスクの登場で月額数百円から、コンテンツが見放題・聞き放題になりました。
オリジナルコンテンツの提供も見られるなど、高品質のものが安く利用できるようになったことが、サブスクの利用が拡大している大きな理由だと思います。

音楽を聴く人
音楽のサブスクリプションサービスの登場が、ユーザーの音楽との向き合い方のみならず、音楽業界そのものを大きく変えつつある

そのほかにメリットはありますか?

上ノ山さん 商品・サービスを気軽に試せることも、サブスクが支持される理由の1つですね。
例えば服を買うときにイメージと違うと感じても、商品を使用した後であれば基本的に返品できず、買う側にとって購入のリスクは大きいです。

一方で、サブスクは消費者が継続的に利用することを前提としているので、想定通りの便益を得られなかった場合は利用をやめればいい、ということになります。
多くのサブスクは無料または低価格でのお試し期間を設けているので、トライアル期間中自分に合うか、利用し続けたいかを判断できるのは非常に便利だと思います。

逆に、サブスクを利用するデメリットは?

上ノ山さん 利用しないのに契約し続けてしまい、無駄にお金を支払ってしまうケースは多々あると思います。自分が契約しているサービスを都度見直して、使わない場合は解約するなど消費者としてのリテラシーを向上させる必要があります。

また、残念ながら、解約の手続きが分かりにくいなどのトラブルが起きている実態もあります。国も、事業者に対して分かりやすい表記を求めるなど規制を強化する動きはありますが、トラブルを避けるためには、契約前にSNSやインターネットで口コミを調べ、そのサービスが信頼できるかチェックするようにしましょう。

スマホを見て困っている様子
解約手続きをあえて分かりにくくしている場合もある。解約したいときにできるかどうか、利用する前に調べておきたい

キーワードは“パーソナライズ”

特に注目しているサブスクリプションサービスはありますか?

上ノ山さん サブスクだと、長期にわたって商品・サービスを利用してもらうことによりお客様のデータが貯まっていきます。そういった顧客データを活用して“パーソナライズ”なサービスを提供しているものは面白いと思います。音楽配信アプリのSpotifyも、ユーザーの好みに沿ったレコメンド機能が受けてユーザーが増えました。

例えば、パーソナライズヘアケアを提供する「MEDULLA」は、自分好みのシャンプーをカスタマイズでき、サービス利用中も専任スタイリストによる「定期カウンセリング機能」で、顧客に合わせた処方やヘアケアの提案を受けることができます。消費者ニーズに沿ったサービスが提案できれば、利用者の満足度もさらに高まることが期待できるでしょう。

今後は、サブスクリプションサービスの中でも、個々人への“パーソナライズ”が当たり前になっていくのではないでしょうか。

今後のサブスクリプション市場はどうなっていくと思いますか?

上ノ山さん これからは、「購入するか、サブスクリプションを利用するか」をまず選択するようになっていくでしょう。サブスクの登場で、お客様に満足してもらい、長期的に使い続けていただく形に買い物の在り方が変わりつつあります。

プロが選んだコーディネートが届くファッションサブスクの「airCloset」や自宅で本格ビールを愉しめる「キリン ホームタップ」など、デジタルコンテンツ以外でもさまざまなサービスが登場しているので、まずは気軽に試してみてほしいですね。

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