現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第25回は、首都圏を中心にリサイクルショップを展開するトレジャー・ファクトリー(3039)を取り上げます。

  • リサイクルショップの大手チェーン。国内外で10業態・220店舗を展開
  • 衣料・服飾雑貨・電化製品・家具など商材は多岐にわたる
  • 2023年2月期の業績見通しを上方修正。今期20~25店程度の新規出店を予定

トレジャー・ファクトリーはどんな会社?

トレジャー・ファクトリーは首都圏を中心に全国展開しているリサイクルショップの大手チェーンです。「人々に喜び・発見・感動を提供する」を経営理念としてリユースを軸とした事業を複合的に展開しています。

社名の「トレジャー・ファクトリー」は「宝物の工場」「価値の再生工場」に由来し、そこでしか買えない一品ものを豊富に取り揃え、買う喜びと売る喜び、他にない一品もの商品を発見する楽しさを提供することを目指しています。

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創業社長の野坂英吾氏は、学生時代にまだ使えるのに買い手がいないだけの理由で毎日大量に捨てられる家具や家電を見て、「ものを再活用する社会を創りたい」との思いで1995年に神奈川県横浜市に有限会社トレジャー・ファクトリーを設立しました。

その後同年に東京都足立区に「トレジャーファクトリー足立本店」を開店し、総合リサイクルショップからスタートしました。まだリユースは一般的でない時代に、当時では珍しかった単品管理や価格の明確化、商品の保証など現在のリユース業態では広く採用されている商習慣をいち早く取り入れ、消費者に受け入れられました

さらに服飾、スポーツ、アウトドア、ゴルフなどのさまざまな業態の専門店を開始し、22年2月末時点で国内外で10業態・220店舗に事業を拡大しています。


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トレジャー・ファクトリーの強みは?

トレジャー・ファクトリーの強みは「多様な商材の販売・買い取り」です。

同社の商材は衣料・服飾雑貨・電化製品・家具など多岐にわたります。例えば衣料の分野では低価格帯・ハイブランドなど価格帯ごとに別ブランドの業態を手がけています。スポーツ・ゴルフ・家電・インテリアなど商材ごとに専門の業態を展開することにより、商品知識・販売ノウハウを蓄積し、より付加価値の高い商品を取り扱うことで単価の向上を実現しています。

また、仕入れに関しても店舗での買い取りのほか、出張買い取りや引っ越し時の一括買い取り、宅配買い取りなどのチャネルを多様化し、法人からも大口での仕入れを行うなど拡充に努めています。

さらに独自開発したPOSシステムにより過度な値引きの防止、バイヤーの査定や育成の支援、売れ筋・死に筋商品の把握を可能としています。

トレジャー・ファクトリーの業績や株価は?

トレジャー・ファクトリーの2023年2月期は、売上高が前期比12%増の260億円、営業利益が41%増の14億円を見込んでいます。

コロナ感染拡大一服で外出機会の増加による衣料の需要が伸びているほか、円安・半導体不足でエアコンなど新品の家電が値上がり・品薄となっていることで生活家電の販売も伸びています

7月13日に発表した2023年3~5月期第一四半期決算(1Q)は、売上高が前年同期比19%増、仕入れ高が20%増と販売・買い取りともに好調でした。1Qの好調を受け、通期の業績見通しを上方修正しています。

8月19日の終値は1692円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約17万円です。

トレジャー・ファクトリー(3039)の株価(2021年1月~、月足、終値)

SDGs(持続可能な開発目標)、物価高でリユースへの注目度が高まっています。メルカリなどのフリマアプリの普及でリユース品の認知度も広まっていることも追い風となっています。

猛暑による中古エアコン需要、外出機会の増加による衣服需要、物価上昇によるリユース市場への追い風を受けて、株価は上場来高値圏で推移しています。

業績は前述の好材料に加えて、今期も20~25店程度の新規出店を予定しており成長基調が続きそうなことから株価についても上昇トレンドの継続に期待しています。

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