接客業のホスピタリティから育まれたラグジュアリー精神

会社で重責を担っている斎藤さんですが、実は自身が1984年生まれのミレニアル世代。まだ30代の斎藤さん自身の「ラグジュアリー観」がどうやって養われてきたかについても大変興味がわきました。

「10代の頃は人と話す接客仕事が自分に向いていると思って、具体的にはホテルマンをめざしました」という斎藤さんは、ホテルのベルマンからキャリアをスタートさせました。

ベルマンは、ホテルに到着した客の荷物を預かって客室まで運び、客室の設備や館内の案内・説明もする仕事です。
石ノ森章太郎の原作で『HOTEL』という人気ドラマが1990年代にTBSテレビでシリーズ化され、主演のベルマンを俳優・高嶋政伸が演じて好評を博しました。
ケピ帽と呼ばれる円錐形の帽子を被った制服姿が特徴のベルマンは、ホテルの正面玄関で到着客を迎えるドアマンと並んで、ホテルの第一印象を担う役目。
特に、チェックインから客室に案内されるまで、ベルマンとは会話することも多く、その爽やかな接客が、ホテルライフの楽しい幕開けとなります。

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ベルボーイのイメージ
斎藤さんは、ホテルのベルマンからキャリアをスタートさせた

斎藤さんは、その後、フロント担当を経て、スイートルームの専属バトラーの仕事もされました。
バトラーとは執事と訳され、究極の接客をこなすホテルマンです。
「いわゆるVIPの接客で、海外からの国賓、ハリウッドスター、高名なアーティストの宿泊を担当しました。二度目の来日時にまた、バトラーにと指名されることもあり、とても嬉しく、やりがいを感じました」という斎藤さん。
世界一流の富裕層に接することで、本物のラグジュアリーを身に着け、キャリアを積み上げていったのです。

その際、キーとなったのは英語力。話すのが好きで始めたホテルマンの仕事ですが、ホテルの宿泊客は国籍も様々で、斎藤さんは世界各国の都市で共通語である英語にも磨きをかけました。

「ホテルの表で使う英語は、ホテル学校時代から勉強してきて自信もあったのですが、いわゆるネイティブの日常会話にはなかなかついていけなくて。でも、海外のホテルでは《社食》での会話が一番の勉強になりました。日本人の僕だけ理解できてなくて、会話についてこれてないとわかった仲間が、僕を会話に入れてくれて、話せるようにサポートしてくれたんです。だんだん自信がついてきて、今度は、日本からのお客様がお困りのときに通訳をして感謝されたりするまでに変わってきました」と、かつての自分を振り返る斎藤さんは、かなりの努力家と見ました。

「目指すところはトップ!」と公言してはばからない潔さも!
それは、世界一流のラグジュアリーホテルで、本物の富裕層を接客してきた経験に裏打ちされたものでしょうし、また、ホテル業界で培ったホスピタリティを活かして外資系クレジットカード業界に転職するというチャレンジ精神にも繋がっています。
斎藤さんは「私に限らず、外資系で働く人は、なりたいゴールを決めて、そこに行くには、どうやってアップグレードしていくかがちゃんと描けていて、そこには当然転職もあって……それを実現していく先輩に刺激を受けてきました」といいます。

そんな斎藤さんが座右の銘にしているのが、アメリカの経営コンサルタント、ジェイ・エイブラハムの言葉で「限界はあなたの頭の中にしかない(The limit is only in your brain)」。これは、ジェイ・エイブラハムの著作のタイトルとしても知られていますが、要は、自分からダメだ、無理だとハナから諦めないこと。
自分に秘めた可能性を最大限に引き出せるように背中を押してくれる言葉だと斎藤さんはいいます。

筆者は、すでに熟年層ですが、年齢に関係なく「The limit is only in my brain!」
と、念じ続けて己を鼓舞させようと思いました!

単に「俺が、俺が」というワンマンな上昇指向ではなく、未来を創るアクティブな次世代の富裕層を開拓するために、一緒に上を目指すという斎藤さんの意識はとても頼もしく感じます。
長い間、停滞しているといわれる日本経済ですが、ミレニアル世代のラグジュアリー観が醸成されることで、新たなパラダイムシフトを生み出すのではないかと、その可能性に大いに期待したいところです。

斎藤さんの現在のお仕事は、ラグジュアリーなカードホルダー同士の人と人をつなぐ創造にも活かされています。
「具体的にはカード会員様同士が交流するイベントなどを企画しています。交流から新たなビジネスが生まれ、社会が活性化していくのを見ていくのが楽しみです」という斎藤さん。

それは、まさに人との出会いに投資すること。
アフター・コロナに求められるのは、自身の未来を拓くラグジュアリーな出会いといえます。

ラグジュアリーな出会い
未来を拓くラグジュアリーな出会いを求めて!

付加価値に込められたラグジュアリーのお値段

かくいう筆者も長いステイホームの期間に、いろいろと人生を見直しています。
しかし、ステイホームを促す「不要不急のモノやコトを控える」を促す世の流れに沿って、前述した通り、ラグジュアリーな文化が消えてなくなるのでは? と危惧しています。

加えて、コロナ前からですが、ライフスタイルの「ダウングレード感覚」が、主流になりつつある傾向が見られます。
一流ブランドのセカンドラインに代表されるような、誰でも手が届くように敷居を低くしたり、同様に星付きレストランがセカンド店を出店したり、また、パーティのドレスコードも、フォーマルではなく、スマートカジュアルが主流になりつつあります。

その傾向は、とてもセンスのいいもので、うっかりすると、「昔ながらのクラス感覚」がとてもダサく感じてしまことにもなります。
ここでいうクラスとは階級、等級、格のことで、一流指向、高級志向を体現する感覚です。

しかし、正しくいえば、センスのいいダウングレードとは、昔ながらのクラス感覚を土台にしたアレンジであって、培われてきた歴史や文化を無視したり、ぶち壊したりすることではないと思うのです。
付加価値にお金を払うとは、まさに、先人たちから受け継がれきた伝統や歴史であり、そのモノやコトが形になるまでに要した膨大な時間とさまざまな人の手間に対する敬意の対価だと思うのです。

そういう意味で、普段の生活の対極にラグジュアリーが存在し、時折、晴れのライフスタイルに身を置くことができたらと思います。
それが、ラグジュアリーホテルであり、ラグジュアリーなレストランであり、ラグジュアリーな人と出会える時間を共有であると……。
それを実現させてくれるのが、斎藤さんのお仕事なんだなと思いました。

ラグジュアリーな生活のイメージ
普段の生活の対極にラグジュアリーが存在し、時折、晴れのライフスタイルに身を置きたい

斎藤さん自身も、付加価値の探求に余念が無く、最近のヒットは噂に名高い招待制・会員制の某レストランを堪能されたことだと知って、好奇心旺盛だなと感心しました。

筆者も、一見さんお断りの東京・日本橋のステーキ「誠」のおろしわさびで食べるラグジュアリーなステーキを思い出しました。

斎藤さんが携わっているラグジュアリーカードは、2008年に米国で創業。
現在3種のプレミアム クレジットカードを提供。
2016年から、海外事業拠点1か国目として日本で展開をスタート。
詳しくはホームページ(www.luxurycard.co.jp)で。

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