投資信託には、販売手数料(購入時手数料)や信託報酬などの独自コストがあります。今回は、投資信託にかかるコストの種類と内容、投資信託を選ぶ際のポイントなどを解説します。商品によってコストは異なるので、ぜひ本記事を参考にしながら自分が納得できる投資信託を選んでください。

  • 投資信託には独自のコストがある。信託報酬は、元本割れしていても取られるコスト
  • 低コストを重視して投資信託を選ぶならインデックスファンド
  • いくら低コストでも運用がイマイチでは意味がない。リターンとのバランスで考える

買う前に知っておきたい投資信託のコスト

株式や投資信託などに投資するときには、必ず何らかのコストを支払うことになります。

例えば、証券会社で株式を売買するときに支払うコストとして「売買手数料」があります。具体的な手数料水準は証券会社によって異なりますが、一般的に株式投資のコストは売買手数料だけであり、株式を保有している間にはコストが発生することはありません。

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一方で投資信託には、株式投資にはない独自のコストが存在します。株式と違って投資信託は保有期間中も継続的にコストがかかってくるため、特にこれから投資信託を買おうと考えている方は知っておいたほうがいいでしょう。

投資信託にかかるコストは、おもに販売手数料(購入時手数料)・信託報酬・信託財産留保額の3つです。

投資信託にかかる3つのコスト(手数料)
手数料の種類 支払う時期 手数料率の目安
販売手数料
(購入時手数料)
購入するとき 0~3.3%
信託報酬 保有している間 年率0.2~3%程度
信託財産留保額 売却するとき 0~0.3%

販売手数料(購入時手数料)

販売手数料とは、「購入時手数料」と呼ばれることもあります。投資信託を購入する際に発生する手数料で、投資家が申込価額の数%を支払うものです。

個別の投資信託によって、販売手数料の割合は異なります。販売手数料がかからない「ノーロード」と呼ばれる投資信託もあります。また、同じ商品でもどこの販売会社で購入するかによって、購入時手数料が異なることがあるので、投資信託を選ぶ際は銀行や証券会社などのホームページで購入時手数料を確認しましょう。

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信託報酬

信託報酬とは、個人投資家の代わりに投資・運用を行う運用会社に、運用管理費用として支払うコストのことです。投資信託で継続的なリターンを得るためには、運用実績が良いことだけでなく、できるだけ信託報酬が低い投資信託を選ぶことも重要になります。

この信託報酬は、投資信託の運用成績が振るわないときでも徴収されてしまいます。元本割れしていても引かれてしまうのです。元本割れしているのに、コストを引かれるなんて投資家にとってはダブルパンチです。だからこそ、運用成績が良く、信託報酬のできるだけ低い商品を選びたいものです。

信託財産留保額

信託財産留保額は投資信託を換金・解約するときに発生する手数料で、資産(基準額)の0.1〜0.3%程度を解約時に支払いますが、信託財産留保額がゼロの投資信託も多く設定されています。なお、信託財産留保額は換金・解約時に、売却代金(解約代金)から自動的に差し引かれるため、追加で支払うものではありません。

投資信託には以上のようなコストがあり、販売会社や商品によって手数料体系は異なります。販売手数料がかからないノーロードの投資信託などもありますが、いくらコストが低くても、投資信託で最も重要なのはトータルリターンや騰落率などの数字で示される運用実績です。コストだけでなく運用実績も確認してから投資信託を選びましょう

安いものを探すイメージ
いくらコストが低くても、運用実績が伴わなければ意味がない

低コストで選ぶなら、アクティブ型よりインデックス型

投資信託には、運用タイプによってアクティブ型とインデックス型の2種類があります。少しでもコストが安い投資信託を選ぶなら、アクティブ型よりもインデックス型の投資信託を利用するのがいいでしょう。

アクティブ型は、市場平均、つまり日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)などを上回るリターンを目指して運用するタイプの投資信託です。一方、インデックス型は、市場平均に連動する、つまり同じような値動きになるように運用する投資信託です。

どちらにもメリット・デメリットがあります。アクティブ型は、市場平均に勝つ時もありますが、負ける時もあります。ずっと市場平均に勝ち続けるアクティブファンドは少ないという指摘もあります。一方、インデックス型は市場平均との連動を目指して運用するため、アクティブ型に比べれば値動きは安定的といえるかもしれません。

ただし、インデックス型は日経平均株価などの市場平均が下落しているときであっても、投資信託の値動きが市場平均に近ければ近いほど、運用としては望ましいとされるのは、インデックス型のユニークな点でもあり、納得しにくい点でもあります。

コスト面で比較すると、アクティブ型よりもインデックス型の方が企業調査など運用会社の手間がかからないため、低コストで運用できます。

以下の表は、全世界の株式に投資する、信託報酬の安い代表的なインデックスファンドをまとめたものです。

投資信託名 信託報酬
(年率・税込)
運用会社
SBI・全世界株式
インデックスファンド
(愛称:雪だるま(全世界株式))
0.1102%程度 SBIアセット
マネジメント
eMAXIS Slim
全世界株式(オールカントリー)
0.1144%以内 三菱UFJ国際投信
eMAXIS Slim
全世界株式(除く日本)
0.1144%以内 三菱UFJ国際投信
<購入・換金手数料なし>
ニッセイ世界株式ファンド
(GDP型バスケット)
0.1144%以内 ニッセイアセット
マネジメント
たわらノーロード 全世界株式 0.132%以内 アセット
マネジメントOne

※データは2022年3月4日時点

近年、インデックスファンドのコスト競争が激化しています。2022年2月には、三菱UFJフィナンシャル・グループが年内にも店頭で販売するインデックス型投資信託の手数料を引き下げると発表しました。現状では商品によって異なるインデックスファンドの信託報酬を、国内資産は運用残高の0.5%、海外資産は0.75%に統一し、資産形成の入り口商品としてわかりやすさを優先するようです。

コスト意識は必要だけど、やっぱりリターンが大切!

投資をする際にコストを重視することはとても大切なことです。なぜならコストの多寡によって手にする収益が変わってくるからです。しかし、いくらコストが安くても、そもそもリターンが少なければ意味がありません。インデックス型ほどコストは低くないものの、中長期的に大きなリターンを期待できる商品のほうがいいという場合は、アクティブ型を検討するのがいいかもしれません。

期待できるリターンとコストのバランスを確認して、自分なりに納得できる投資信託を選ぶようにしましょう。

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