最近では環境問題への関心の高まりから、環境問題に特化した投資信託が多く生まれています。投資する人の利益と環境問題の解決を両立できれば、社会全体にとっても大きな意義が生まれます。本記事では環境問題に関する投資信託について解説します。

  • 環境問題を解決できる企業に投資をすることは、個人の資産形成にも有効といえる
  • 環境に配慮した企業への投資は、環境問題をテーマにした投資信託が有力な選択肢
  • 純資産総額や運用期間などを基準に、環境問題関連の投資信託を5本ご紹介

環境問題の解決には企業の協力が不可欠

環境問題は世界的に最も重要な課題の一つです。特に脱炭素は近年重要なテーマとして取り上げられています。石炭や石油などの、二酸化炭素を多く輩出するエネルギーの消費を減らし、太陽光などの再生可能エネルギーにシフトすることで、地球温暖化を食い止めることを目指すものです。

しかし、地球上の人々が生産と消費を繰り返す限り、エネルギーの消費は避けられません。現在捻出できている再生可能エネルギーだけでは、今のままでは電力不足に陥ってしまいます。そのため、エネルギー関連企業はできるだけ低炭素で効率的に発電できる技術を開発したり、各企業も電力の利用料を減らしたりと、社会全体で省エネへの取り組みを進めています。

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投資信託で環境問題の解決と資産形成を目指す

環境問題は社会的に関心が高く、環境問題を解決するための技術開発の資金が集まりやすい状況にあります。新しい技術が開発されれば、多くの企業が環境に配慮しながら持続的に利益を得られるようになります。環境問題を解決できる企業に投資をすることは、個人の資産形成にも有効といえそうです。

地球環境に配慮した企業に投資するには、環境問題をテーマにした投資信託が有力な選択肢となるでしょう。そこで今回は、純資産総額や運用期間、販売している金融機関の多さなどを基準に、編集部が選んだ環境問題関連の投資信託を5本ご紹介します。

投資信託名 投資対象 純資産総額 1年
リターン
3年
リターン
信託報酬
(年率・税込み)
設定日 運用会社
日興エコファンド 国内株式 71.1億円 5.3% 22.4% 1.65% 1999/8/20 日興アセット
マネジメント
損保ジャパン・
グリーン・オープン
(愛称:ぶなの森)
国内株式 277.3億円 9.5% 15.3% 1.65% 1999/9/30 SOMPOアセット
マネジメント
エコ・パートナーズ
(愛称:みどりの翼)
国内株式 11.0億円 5.5% 36.2% 1.65% 2000/1/28 三菱UFJ国際投信
ピクテ・エコディスカバリー・
アロケーション・ファンド
(年2回決算型)為替ヘッジなし
国内外の
株式
339.5億円 2.4% 65.1% 1.804% 2009/11/27 ピクテ投信
投資顧問
野村環境リーダーズ
戦略ファンド
Bコース(為替ヘッジなし)
海外の
株式
990.6億円 8.6% 実質
1.86%程度
2020/10/26 野村アセット
マネジメント

※データは2022年2月28日時点、以下同様

日興エコファンド

日興エコファンド』は設定が1999年8月と古く、運用実績は比較的安定している投資信託です。環境面での問題を解決できる企業や、環境面への配慮が優れている日本の企業に投資を行います。

トラリピインタビュー

2022年2月時点での組み入れ上位銘柄は、トヨタ自動車や三井物産、ダイキン工業など、日本を代表する大企業への投資が中心でした。設定来の運用実績は+28.9%ということで、TOPIX全体の27.9%を上回っています。

『日興エコファンド』はSMBC日興証券やSBI証券、三菱UFJ銀行、その他全国のさまざまな地方銀行などで販売されています。

損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)

損保ジャパン・グリーン・オープン(愛称:ぶなの森)』は1999年9月に設定された投資信託で、地球温暖化対策の対策が優れている日本の企業を中心に投資をしています。

2022年2月時点での組み入れ上位銘柄は、トヨタ自動車やNTT、三菱UFJフィナンシャル・グループなど、『日興エコファンド』と同様に大企業を中心に組み入れられています。設定来のパフォーマンスは+89.0%で、ベンチマークであるTOPIXの+25.2%を大きく上回っていることがわかります。

『ぶなの森』を取り扱う金融機関はSBI証券、楽天証券、マネックス証券などのネット証券や、みずほ銀行などの大手銀行のほか、地銀、信金での扱いが多く、今回紹介する投資信託の中では取り扱う金融機関が最多です。そのため、自分が取引している金融機関で購入しやすいファンドといえるでしょう。

エコ・パートナーズ(愛称:みどりの翼)

エコ・パートナーズ(愛称:みどりの翼)』は三菱UFJ国際投信が運用する2000年1月に設定された投資信託です。

運用会社の三菱UFJ国際投信と同じグループ企業である三菱UFJリサーチ&コンサルティングの協力を得て、環境問題に配慮している日本企業を選別して投資を行っています。2022年2月時点での組み入れ上位銘柄は、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニーグループなどです。

『みどりの翼』の過去3年のリターンは+21.7%ということで、参考指数であるTOPIXの+11.9%を大きく上回っています。三菱UFJフィナンシャル・グループの三菱UFJ銀行、三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券のほか、ネット証券のSBI証券、楽天証券などで販売されています。

ピクテ・エコディスカバリー・アロケーション・ファンド

ピクテ・エコディスカバリー・アロケーションファンド』は、環境関連ビジネスに影響をおよぼす世界の企業を中心に投資を行う投資信託です。全体の9割以上が海外の株式で、組み入れ上位銘柄にはアメリカのエネルギー関連企業が並びます。

アメリカを中心とする世界的な環境関連企業の成長の恩恵を受けることに成功しており、設定は2009年11月とリーマン・ショックの直後ではあるものの、『ピクテ・エコディスカバリー・アロケーション・ファンド(年2回決算型)為替ヘッジなし』の2022年2月現在の設定来リターンは+221.5%と、大きな利益を出すことに成功しています。過去3年リターンも+65.1%と、今回取り上げた投資信託の中で最も高くなりました。

このほか、同ファンドには毎月決算型や為替ヘッジありのコースもあり、目的に合わせた投資が可能です。

『ピクテ・エコディスカバリー・アロケーションファンド』はSBI証券やauカブコム証券、野村證券などで購入できます。

野村環境リーダーズ戦略ファンド

野村アセットマネジメントの『野村環境リーダーズ戦略ファンド』は、2020年10月に設定された新しい投資信託です。環境問題の解決に寄与する国内外の企業に投資をするファンドで、2022年1月現在の組み入れは、アメリカの脱炭素関連の企業が中心となっています。日本のクボタも組み入れられていました。

新しいファンドですが、Bコース(為替ヘッジなし)の設定来のリターンは+24.4%、Aコース(為替ヘッジあり)は+14.1%と好調で、運用成績は良好といえるでしょう。現在の販売会社は野村證券のみですので、投資したい場合は野村證券で口座を作る必要があります。

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