テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず! 
連載第60回は、テレビの枠にとらわれず様々なジャンルで活躍する放送作家の村松浩介さん。

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どうやって稼ぐ?

村松浩介さんの写真
村松浩介
放送作家
日本放送作家協会会員

『放送作家はマネーの達人!?』と言うコラムなので、放送作家のお金の稼ぎ方について書いてみたいと思います。放送作家は基本的に個人事業主なので決まったやり方はありません。なので、ここに書くのはあくまで僕個人的な経験に基づくものです。それではごく私的ではありますが放送作家の稼ぎ方についてお話をしたいと思います。

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僕は放送作家として20数年間、仕事をしていますが、幸運なことにたくさんのテレビ番組に携わることができています。ジャンルは情報、バラエティ、ドキュメンタリー、ニュース、スポーツ、ドラマなどなど。その一方でテレビ番組作り以外の仕事もあります。ネット系の映像は皆さん想像の通りかもしれませんが、他にもライブステージの構成、作詞の仕事、ヴォイストレーニングの本の企画、フェスの案件、早稲田大学EXTの講師、企業PR、町おこし、厚生労働省の案件などなどに携わってきました。
アイデアのアウトプットはテレビ、ネット、音楽、イベント、本、大学、企業、省庁などと様々な形式で人々の目に触れています。

こう見るとテレビ番組作りからいただくギャラと、テレビ以外からいただくギャラがあることがわかると思います。つまり稼ぎの軸は2つあって、それが同時に走っていることでお金を得ているのですが、実はこれ、放送作家だからこそできるやり方だと思うのです。

二つの稼ぎのイメージ
放送作家の稼ぎの軸は2つ。テレビ番組作りのギャラと、テレビ以外のギャラ

それは「人を惹きつけるのか?」

放送作家は、「人を惹きつけるためにどんな要素が必要なのか?」と言うことを考え続けています。企画立案、構成会議、ナレーション書きなどなど、どのシーンでもアイデア提案のベースにあるのはこれです。「人を惹きつけるためにどんな要素が必要なのか?」をずっと考えているので、この点に関しては色々な知見が溜まってきます。で、それをまた別の番組でトライ&エラーを繰り返すので、その経験はやがて財産として溜まっていきます。そうすると今度はそれを応用して、他のジャンルの番組でもお役に立てるようなアイデアを出せるようになってくるんだと思います。

この全てに共通する「人を惹きつけるための要素」のことがわかってくれば、今度はそれをテレビと言う枠を超えて、全く違うジャンルで生かすこともできると考えています。
放送作家は「人を惹きつけるためにどんな要素が必要なのか?」を知るプロフェッショナル。だからこそテレビ番組作りはもちろん、他のジャンル、他の業界でも稼ぐことができると思うのです。

でも放送作家はテレビの職人なんだから、テレビ以外は作り方知らないでしょ!と言う反論が聞こえてきそうです。そんな声に応えるべく、テレビにおける放送作家の仕事のことをお伝えしたいと思います。
テレビでは生まれたアイデアを映像という形にしてくれるのはディレクターです。放送作家は編集もできないし、極論を言えばアイデアだけで勝負をしていきます。

そんな放送作家である僕が、これまでやってきた他業種の案件を見てみます。本作りの時は担当編集者が本にしてくれます。イベントでは舞台監督がいます。企業PRや町おこしなら企業が形にしてくれます。
つまり放送作家である僕が何をしているのかというと、相手がテレビ以外の場合でも、「人を惹きつけるためにどんな要素が必要なのか?」と言うアイデアを出しているだけです。

つまりはテレビを作る時と全く同じ仕事になります。「こういうことをやりたいのだけど、何かアイデアはないか?」というオファーを受けて、「それならこういうのはどうでしょうか?」というアイデアを出します。テレビ番組作りと全く同じです。

だからテレビ作りのこと=「人を惹きつけるためにどんな要素が必要なのか?」を考えていると、業界を超えて仕事ができるようになると思うのです。と言うことは、放送作家はテレビはもちろん、あらゆる映像作品作りはもちろん、さらには他の業界でも活動することができるので、色々な場所からお金を稼ぐことができると考えています。映像以外の分野でも、というのがポイントです。

テレビ視聴のイメージ
放送作家とは、人を惹きつけるための要素を知るプロフェッショナル

世の中には色々な業界ごとに表現のプロがいます。放送作家がそれらの人たちと組めば、放送作家のアウトプット先は無限大。色々な可能性を秘めています。車のメーカーと組めば車だって作れるし、カフェを作りたい人と組めばカフェも作れるかもしれません。

それもこれもテレビというメディアが磨き続けてきた「人を惹きつけるためのノウハウ」があればこそ。だからそこで培った財産を幅広く使うことで放送作家の可能性はもっと広がると思うのです。放送作家が活躍できる舞台は、映像だけじゃない。いや、エンタメだけじゃない。放送作家を必要としてくれる人は実は世の中にたくさんいるのかもしれません。

あなたは放送作家になったらどんな方法で稼ぎますか?

次回は日本放送作家協会 中部支部長の柳瀬元志さんへ、バトンタッチ!

是非見てください!

noteを書いています。よろしければぜひご覧ください。
https://note.com/kosukem

Noteサイト「放送作家 村松浩介」画像

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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