株式や投資信託、FXなどに投資するタイミングや銘柄を考える際には、値動きを表すチャートが参考になります。「上がっている」「下がっている」という単純な値動き以外で、チャートをどう読み解けばいいのかわからない投資初心者の方も少なくないでしょう。今回は、チャートの見方や動きのパターンなどについて解説します。
- チャートが読めるようになれば、「売り時」「買い時」の判断の参考になる
- チャートの読み方は、まず基本的なローソク足や移動平均線を理解する
- チャートのトレンドを予測する「反転型」「保ち合い型」も知っておこう
チャートとは何か?
投資情報サイトなどで目にする「チャート」とは、株価や株価指数、為替レート、投資信託の基準価額などの一定期間の値動きを表したグラフのことです。チャートの中には1日や1週間といった短いスパンの値動きを示すものや、5年、10年、30年など長いスパンを表したものなどがあります。
チャートは過去から現在の値動きを連続して確認できるため、過去のある時点と比べて現状の価格が高い水準なのか低い水準にあるのか、上昇傾向にあるのか下落傾向にあるのかなど、相場のトレンドを確認することが可能です。
また、株価や為替、投資信託の基準価額などのほかにも、最近話題になっている米国債の利回りなど、数値が変動するものであれば、なんでもチャートとして表現することができます。チャートの見方や使い方を知ることで、保有資産の買い時や売り時をより的確に判断できるかもしれません。習得しておいて損はないでしょう。
株価チャートの基本~まずはローソク足を知る
株価チャートを見る際に、真っ先に覚えておきたいのがローソク足です。ローソク足は江戸時代の米(コメ)商人によって発案された日本発祥のチャートといわれており、今では欧米でも使われることがあります。
ローソク足は下図のように初値、終値、高値、安値の4つの値で構成されています。陰線は下落して相場が終了した場合、陽線は相場が上昇して終了した場合です。日本では、下図のように陽線を白・陰線を黒、または陽線を赤・陰線を青や緑で示すのが通例です(欧米では陽線を緑、陰線を赤で表し、日本とは逆となります)。
胴体部分が長いローソク足は、陰線の場合では初値から終値が大きく下がったケース、陽線の場合は、初値から終値まで大きく上昇したケースを示します。胴体が長いチャートが続くのは、相場に勢いがあることを表しています。胴体が長い陰線が連続する場面では、下落方向で相場に勢いがあると推測できるため、今後も下落トレンドが続く可能性があります。
チャートを見る際に、ローソク足とともに理解しておきたいものが、移動平均線です。移動平均線とは、たとえば過去10日分の株価を平均した値を、1日ごとに算出してつないだ線のことです。週足(しゅうあし。1週間ごとの値動きを示したチャート)であれば5週平均や13週平均、26週平均、52週平均など、さまざまな期間の移動平均線が使われます。
移動平均線を見ることで、現在のトレンドがわかりやすくなるでしょう。株価の上昇時は移動平均線よりも上で株価は推移し、株価の下落時には移動平均線よりも下を推移します。
また短期、中期、長期の移動平均線が同じ方向を向いている際は、強いトレンドがあるということがわかります。
実際に株価チャートを見てみよう!
それでは実際に株価チャートで日経平均のチャートを見てみましょう。
移動平均線を見る際に知っておきたいのが、ゴールデンクロスとデッドクロスです。ゴールデンクロスとは、短期移動平均線が長期移動平均線を上に突き抜ける場合のことで、デッドクロスはその逆です。
デッドクロスを見ていただくと、短期移動平均線が長期移動平均線の下に突き抜けています。これが発生すると、相場の下落局面が強くなり、相場は下落しやすいといわれています。
逆にゴールデンクロスを見ていただくと、短期移動平均線が長期移動平均線を上に突き抜けています。このような状況が発生すると相場が上昇しやすいといわれています。
上昇トレンドを見ていただくと3つの移動平均線が同じ方向を向いていることがわかります。3つの移動平均線が同じ方向を向いている場合は強いトレンドがあるということです。
FXチャートについても知っておこう!
次に、FXのチャートについても確認しておきましょう。FXのチャートは為替の値動きをチャートにしています。ローソク足や移動平均線など、基本的には株価と同様のチャートを使い、見方は同じですが、FXでは株価チャート以上に相場の方向性を確認することが重要になります。
下値を結んだラインを支持線、上値を結んだラインを抵抗線と呼びます。支持線を下回った場合や、抵抗線を上に抜けた場合は注意が必要です。下回った場合は、相場が崩れることが予想され、反対に上に抜けた場合は、さらなる高値を試す展開になりそうです。
知っておきたいFXチャートのパターンとは?
FXのチャートのパターンでは反転型と保ち合い型があります。
反転型とは下図のように、支持線や抵抗線を突き抜ける場合です。支持線を下に突き抜ける場合は下落トレンドになりますが、反転すれば抵抗線を上に突き抜けた場合は上昇トレンドとなります。
一方、保ち合い型とは、現在のトレンドが継続していくチャートの例です。抵抗線が同じラインで支持線が徐々に切りあがっている場合は上昇トレンド、抵抗線が徐々に切り下がって支持線が同じラインの場合は、下降トレンドが継続する可能性が高いでしょう。
まとめ
値動きのあるすべての資産は、チャートで値動きの推移を表すことができます。チャートの読み方を身に付ければ、現在のトレンドを把握し、将来の値動きを予測する上で役に立つ場合もあるでしょう。上記で紹介した移動平均線やパターン分析のほかにも、チャートを利用したさまざまな分析手法があります。
ただし、チャート分析は必ずしも未来の値動きを正確に予測できるわけではありません。株価や為替などはさまざまな要素によって価格が動くため、くれぐれもチャートだけに頼らないことが肝心です。
チャートについてひととおり学んだあとは、チャートを活用してさらに高度な値動きの予測を行う「テクニカル分析」についても知っておくといいかもしれません。テクニカル分析についてはこちらの記事で解説していますので、ぜひ参考にしてください。