為替相場の動きが激しくなっています。アメリカの利上げで、ドル高の流れは今後もしばらく続くかもしれません。そんな為替のトレンドを味方にして利益を狙えるのがFX(外国為替証拠金取引)です。ここではFXを始める前にぜひ知っておきたい、FXの基本的な知識や心得をお伝えします。

  • FXで得られる利益には「為替差益」と「スワップポイント」の2つがある
  • FXが怖いというイメージの原因は「レバレッジ」。低いレバレッジなら怖くない
  • 外貨預金より有利なFX。通貨ペアの特徴を知り、口座選びも慎重に行いたい

FXの利益は「為替差益」と「スワップポイント」

そもそもFXとはForeign Exchengeの略で、日本語では「外国為替」と訳されますが、日本で一般にFXといえば、「外国為替証拠金取引」という投資手法を指します。国内では2000年頃から個人向けのFXサービスが始まり、利用者を着々と増やしてきました。

FXでは、まず「ドル/円」「ユーロ/円」などの通貨ペアを選んで、その通貨ペアに「買い」もしくは「売り」の注文を出すところから取引が始まります。ドル/円を買い持ちしている場合は、為替レートが130円から135円の円安ドル高になったら、為替差益の5円分が利益となります。130円から125円の円高ドル安になれば、為替差損の5円分が投資家の損失となります。

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【図表1】FXの為替差益のイメージ
FXの為替差益のイメージ

逆に、ドル/円を売り持ちしている人にとっては、円高ドル安のときに利益が出て、円安ドル高では損失を抱えることになります。このように、FXでは為替相場がどちらの方向に動いても、為替差益による利益を狙えることが大きな特徴です。

FXで得られる利益には、為替差益のほかに「スワップポイント」もあります。スワップポイントは預金における利息に相当するもので、通貨ペアの金利差で決まります。ドル/円の「買い」の場合は、米ドルの金利から日本円の金利を引いた分がスワップポイントとなります。ドルの金利はこのところ上昇傾向で、円は今もゼロ金利が続いているので、ドル/円の買い持ちではスワップポイントの獲得が期待できます。

【図表2】通貨ペアの金利差とスワップポイント
通貨ペアの金利差とスワップポイント

一方、ドル/円の「売り」の場合は金利差が逆になるため、現状ではスワップポイントがマイナスとなり、損失が積み上がっていくことになります。スワップポイントで利益を狙うには、高金利通貨と低金利通貨の通貨ペアを選んだうえで、高金利通貨を「買い」(低金利通貨を「売り」)で持つ必要があります。

FXが「怖い」と言われるのはなぜ?

FXが「怖い」と思われてしまう2つの理由

FXはよく「危険」「怖い」というイメージで語られます。米ドルやユーロなど先進国通貨の為替レートの値動きは一般的に株価指数より小さく、為替そのもののリスクは決して大きくないはずですが、なぜFXはハイリスク・ハイリターンだと言われるのでしょうか?

それは、FXの「レバレッジ」という仕組みによるものです。FXでは「証拠金」と呼ばれるお金をFX会社の口座に入金すると、最大で証拠金の25倍のお金を取引できます。つまり、口座に1万円入金すれば、25万円分の取引ができるというわけです。証拠金の金額と、実際に取引する金額の比率を「レバレッジ」といいます。

レバレッジが25倍であれば、通貨ペアの為替差益が1%であっても、25%もの利益が得られます。逆に、為替差損が1%なら損失も25%です。為替レートは1日で1%以上動くことも珍しくないので、1日で1万円が1万2500円になることもあれば、逆に7500円になってしまうこともあるのです。

FXで大きな損失を出してしまうのは、その多くがレバレッジを高くしすぎたことが要因です。適切なレバレッジで取引すれば、FXは決して怖いものではありません。

FXが外貨預金よりすぐれている点は?

FXと外貨預金の違いは? 徹底比較5番勝負!

外貨への投資でFXとよく比べられるのが外貨預金です。投資という観点では、FXは以下の点で外貨預金より有利といえます。

優位点① 手数料が安い

FXも外貨預金も、買い値と売り値の差額(スプレッド)が投資家にとってのコスト(金融機関やFX会社の利益)となります。このスプレッドはFXの方が外貨預金よりはるかに小さく、為替差益での利益を狙いやすいのがFXのメリットです。

優位点② 円高でも為替差益を狙える

たとえばドル預金であれば、円安ドル高で利益が出て、円高ドル安では損失が発生します。その逆はありえません。一方、FXではドル/円の通貨ペアを「売り」で持つことで、円高ドル安でも利益を狙うことができます。

優位点③ レバレッジを使える

レバレッジの仕組みにより、投資元本より大きなお金で取引できるため、少ない資金で効率的に稼ぐことができます。ただし、失敗すれば損失も大きくなるので、投資する際には注意が必要です。

FXではどんな通貨を取引できる?

どれを選ぶ? FXの通貨ペアごとの特徴を解説

FXでは米ドルやユーロ、英ポンド、オーストラリアドルといった先進国通貨のほか、南アフリカランドやトルコリラなどの新興国通貨も取引できます。

通貨によって、値動きの特性やスワップポイントが異なります。先進国通貨の中でも米ドルは値動きが比較的安定しており、英ポンドはやや値動きが大きいのが特徴です。

新興国通貨は金利が高く、スワップポイントを期待できますが、値動きは先進国通貨より大きく、通貨によっては国自体が経済的に不安定なために、為替レートが長期的に低迷してしまうこともあります。新興国通貨は上級者向けといえるでしょう。

FXの口座を選ぶ基準は?

スプレッド? 通貨ペアの多さ? FX口座の選び方

これからFXを始めようと考えている人にとって、口座開設は大きなハードルかもしれません。FX専業の会社もあれば、ネット証券のFXもあり、どれを選んでいいか迷ってしまいます。

FX会社を選ぶ際は、以下のポイントに注目してみるといいでしょう。

①スプレッド……買い値と売り値の差額が小さいか?
②最低取引単位……少額で始められるか?
③通貨ペアの多さ……取引したい通貨があるか?
④スワップポイント……同じ通貨でも他社より高いか?
⑤取引ツール……アプリが使いやすいか? デモトレードができるか?
⑥約定力……為替相場が急変したときも注文が成立しやすいか?

FX初心者は「ドル/円」から始めてみよう

FXの口座を開いたら、まずは日本人にとって最も身近な通貨ペアである「ドル/円」で取引を始めて、FXに慣れていくといいでしょう。注文の方法も「指値」「逆指値」などいろいろあるので、うまく使いこなせるようになるまでは少額で取引するのがおすすめです。

為替の値動きを表すチャートの見方をマスターすれば、予測の精度が高くなって利益を狙いやすくなるかもしれません。さらにはチャートなどさまざまなデータをもとに未来の値動きを予測する「テクニカル分析」という手法もあります。もちろん、世の中の景気や金利などの経済動向をチェックすることも大切です。

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