宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回の相談者は、初めての株式投資で「巣ごもり銘柄」を選んだところ、株価が半減。初心者の株式投資でありがちな失敗と、失敗を挽回するための戦略を考えます。

  • コロナ禍での在宅勤務をきっかけに株式投資を始めて、失敗してしまう例がある
  • 「巣ごもり銘柄」にもバリュー銘柄、グロース銘柄があり、別のスタンスで臨む
  • グロース銘柄は「長い眼」で見ることが重要。積立投資などと併用して運用したい

ネット証券で株式投資を始める際にありがちな失敗

【質問】
いや~まいっちゃったよ! ネット証券会社でつみたてNISAをやっていて、株式投資もしてみたいと思って、つい興味本位でコロナウイルス関連の株式など初めて購入したけど、案の定というか、半分以上に値下がりして、損してしまいました。対処方法はどうすればいいんかなぁ? 株式投資ってこんなになるのですか?

前回は、投資信託でうまくいかなかった方の相談でした。今回は「株式投資」での失敗にスポットを当てて考えていきます。

一度失敗した人が、投資信託の運用で心がけたいこと

今回の相談者のように、積立投資を中心にした運用で資産を増やすために、ネット証券で投資を始める方が増えてきています。ネット証券は便利なぶん、安易にリスクに飛び込み、墓穴を掘ってしまうこともあります。
特に、新型コロナウイルスによって自宅でのリモート勤務を余儀なくされる状況では、一日中パソコンと向き合うことになるため、つみたてNISAだけでは飽き足らずに「株を買ってみたい」という誘惑にかられて、つい勤務中に取引してしまうのも仕方ないことかもしれません。

今回は、このコロナ禍の市場において、初めての株式投資で損をふくらませてしまう典型的なケースについて考えていきます。

そもそも、株式投資にはリスクはつきもので、一本調子に値上がりを続ける株式などあるわけがありません。何が起きても不思議ではなく、相談者のように投資金額が半分になることも普通に起きます。最悪の場合は会社が倒産し、株式が紙切れにもなりえることを承知ください。
ですから、株式は最大限のリスクを頭に入れたうえで余裕資金で購入しなければならないし、興味本位だけで購入すべきではないのです。

だからといって、株式運用そのものを否定するものではありません。ネット証券なら少額取引もできます。運用の考え方さえ間違えなければ、株式投資をしても問題ないと思っています。

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2つの失敗パターンの傾向と対策

ここからは私も陥ったことがある失敗談を交えながら、初めて株式を購入する方がやりがちな行いとその問題点について、2つのケースで話していきます。

①雑誌やインターネットなどで紹介されている銘柄が気になって、高値で購入してしまうケース

このケースは、株式投資の経験がある方ならどなたでも経験しているはずです。実際に株価が上昇し続けていると、つい買いたくなってしまうものです。でも、ネット証券の取引画面で株価が少し下がったタイミングをチャンスと見て、あわてて買ってはいけません。
ここはグッとこらえて、4~5日様子を見ることも重要です。まず下がりますよ(笑)。

個人投資家はデイトレーダーではないので、あせらず慎重に検討しましょう。

雑誌を読む男性
雑誌などで紹介されている銘柄は、すでに買われて高値になっているケースが多い

②巣ごもり銘柄と思って買ったけど大失敗! 下がってしまったケース

次の項で詳しく説明しますが、コロナ禍ではこのケースもあります。今の相場環境では、特に多くなるかもしれません。

失敗を避ける、あるいは失敗を挽回するためには、購入前の準備が大切です。仮に株価が下がったとしても、「やってしまったと思うか、想定していたか」で、その先の戦略も見えてきます。

銘柄選びにも関係するので、少し専門的な説明をしますが、株価が安くなっている銘柄(バリュー)と、これから成長していくであろう銘柄(グロース)とは、別のスタンスで望むようにしましょう。

コロナ禍の巣ごもり銘柄といっても、宅配、食品、ゲーム、ネット配信関連などさまざまで、バリュー銘柄もグロース銘柄もどちらもあります。
ざっくり言うと、バリュー銘柄はできれば大型株、東証1部上場銘柄を中心に取引しましょう。短期のスタンスで、「上がったらすぐ売る」という運用も可です。
マザーズなど新興市場の中小型株を含むグロース銘柄は、長期の取引スタンスで望むといいかと思います。

バリュー・グロース、それぞれの銘柄選び

バリュー銘柄だと思っても「安いと思ったけれど実は割高」な銘柄も必ずあり、それで大失敗してしまうことがあります。
そもそも大型株は、株価の変動が比較的小さい傾向にあります。株主への利益還元を重視する銘柄も多く、配当も期待できます。「誰でも知っている銘柄」であり、情報が耳に入りやすいという特徴もあります。

問題は割安かどうかをいかに見極めるかです。株価指標なども重要ですが、同業種で会社の規模も同程度の銘柄と比較することで見えてきます。特にバリュー投資では、ほかの銘柄と比べて、株価チャートがきれいな右肩上がりの上昇トレンドラインができていれば買える選択となるでしょう。

グロース銘柄については、「成長企業」を探すことになるので、投資のリスクはバリュー銘柄より格段に上がると思ってください。大失敗してしまう可能性も、バリュー銘柄より高いと考えるべきでしょう。

企業業績で選ぶ場合は、売上高、経常利益、1株利益が順調に積みあがっている銘柄で、なおかつコロナ禍によるリストラなどで一時的に利益が増えているのではなく、継続的な増収増益の企業を探すことになります。

今回の相談者が選んだ株式は、新型コロナウイルスワクチンの関連銘柄と、治療研究を行う医療系の銘柄でした。これらが成長企業にあたるかどうかは先を見ていかないとわかりませんが、バリューかグロースかで分けるならば、グロース銘柄と言えます。
グロース銘柄は、利益が出るまでに時間もかかることもあります。成長性を株価に織り込むために一時的に株価が高まることもよくあり、実際に相談者は割高で株を買ってしまったわけですが、ここからさらに大きく成長するかもしれません。「長い眼」で見ていくことが重要です。

製薬会社
コロナ禍が長引く中で、製薬など医療系の新興企業には大きな成長余地があると期待される

新興企業の中から今後成長する銘柄を探すよりも、すでに実績がある大型株を選ぶ方が、値下がりのリスクは軽減できますが、大きなキャピタルゲイン(値上がり益)という夢を追うために、グロース銘柄を少額取引で持ち続けていく選択もありだと考えています。バリュー銘柄(リスク小)と、グロース銘柄(リスク大)を上手に運用することで、全体としてバランスを保たれることになるでしょう。

投資初心者の方も、ネット証券などでつみたてNISAと株式投資(少額取引)を併用して運用していくことで、ご自身と経済との関わりが深まり、企業の応援にもなり、そして世の中や経済の動きに対して敏感になれば、自身の資産運用に対するチェック機能も強まることになるでしょう。
これで、あなたも立派な投資家になります(笑)。

次回も株式運用について考えていきます。