宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回は、「お金を貯めたくてもつい使ってしまう」と悩む若い会社員の方からの相談に対して、どうすればお金が貯まるかを考えていきます。

  • お金の貯め方は資産運用の基本。そのためには金融リテラシーが必要
  • 「借金を繰り返す」「時間にルーズ」などの習慣があるとお金が貯まらない
  • まずは働いて稼ぎ、お金を貯めるのが先。投資はそのあと。いきなり投資に走らない

国をあげて「金融リテラシー」の教育が始まる

【質問】
22歳の会社員ですが、なかなかお金が貯まっていきません。貯めたい気持ちはあるのですが色々と誘惑に負けてしまい、現実は厳しいです。ある雑誌で「財布の出し口は2つ持った方が良い」と書いていたのを思い出しました。ホントに財布を2つ持っている人はお金が貯まっているのでしょうか?

今回の相談は、まさに資産運用の基本の基本、「お金を貯める方法」です。貯めるといっても「iDeCo、NISAなどで積立して貯めていきましょう」ではなくて、ある程度の年齢までに保有する資産ができるようにする考え方の手順書になります。

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相談者のように、特に若い世代では、物が欲しいという欲求と、実際にお金を使うバランスが非常に難しいと思われます。最近ようやく、他国から見て後れをとっていた「お金の知識」に対して、国をあげての教育も始まりました。「金融リテラシー」と言いますが、意味としては「お金に関する知識や情報を正しく理解し、各自の状況にあった判断ができる能力」とあります。要は、人間が生活していく中で必要なお金のスキルを身に付けましょうと言っているのです。

これまで大半の日本人は、義務教育も含めた学校ではお金について学ぶこともなく社会に出ていくことになっていましたが、高等学校を皮切りに、お金についてさまざまな観点から教育するための授業が始まりました。成年年齢も18歳に引き下がった今、若い世代もさまざまなお金の問題に直面していきますが、この社会には、法の切れ目をすり抜けるような詐欺商品などが存在しているのも否定できません。

私も高校生を対象に、奨学金制度の説明会を行っているのですが、そのマニュアルも金融リテラシーを意識したものに変更されています。今まで以上に「お金の知識」に重点を置いています。70歳まで現役で働くことを推奨され、人生100年を見据えながらの生活を考えるのであれば、金融リテラシーを身に付けなければならないのは、私たちの宿命なのかもしれません。

高校の教室
学校でお金に関する教育が始まり、若い世代の金融リテラシーの向上が期待される

お金が貯まらない人の「4つの過ち」

私がどのようにお金の知識を身につけて、生活設計をしていけたかを具体的にお話しすると、私は30代半ばまでいろいろな仕事を経験しました。ラッキーだったのは、現在の仕事が金融関連だったことにあります。そこでファイナンシャル・プランナー講座を知り、お金について一通りの知識を学んだことが始まりでした。

トラリピインタビュー

それまでは、今回の相談者と同じく、「お金を貯める」というよりは「お金を使う」に重点を置いた生活設計で何とかなるだろうと思っていました。これは私たちだけではなく、お金が貯まらない人がやっている大きな過ちです。

以下が、お金が貯まらない人がやってしまう過ちの「ワースト4」です。

①借金を繰り返す

いくら金利が低いからといって、安易にお金を借りることは絶対してはいけません。大きな買い物(家・自動車など)をするときは借りてもいいけれど、頭金なしでの借り入れはしてはいけないし、クレジットカードでの少額資金の借り入れはもっての外、論外です。ボーナスをあてにした支払いをすると、あっという間にお金はなくなります。

特に分割払いだと、毎月の高額金利に追われることになります。一度の借金が小さいことを理由に借金を繰り返すことは、金融機関が喜ぶだけです。少額決済はお金を借りない、欲しければお金が貯まってから買うのが前提です。借金の繰り返しは破滅の入口です。そうなると投資どころではありません。

まずは一切の借金をしない。もし借金していれば、整理をすることに徹します。ちなみに私は家と車の借金はありましたが、クレジットカードは持っていませんでした(今は持っています)。これも幸運だったのでしょう。

クレジットカード
クレジットカードは便利だが、借金しての買い物はできるだけ控えたい

②自分の給与手取りよりも多く使っている

そもそも、自分の使えるお金がわかっていないのは最悪です。最近は決済方法が多くなっていて、支出を把握しきれないのも理由の1つになります。

そして男性に多いと思うのですが、「妻に任せているから大丈夫」と、家計を奥様に責任転嫁して逃げる傾向があります。今後は高校家庭科で、家計管理は収入と支出のバランスが重要であるという基本を教えていくので、若い世代は理解ができていくことになると思われますが、そうでない人は早めの気づきが必要ですね。

③利用している銀行が1つしかない

使っている銀行が1つしかないと、貯金と生活費の区別がつけにくいので、「貯めるはずのお金を使ってしまった」ということが簡単に起きます。これでは貯金どころではありません。相談者も言っていた、「財布は2つ持っていた方が良い」という理由はここにあります。

財布(お金)の出どころは一か所よりも複数に分けておいた方が、区別ができるため、お金も貯まりやすくなります。私の場合、当初は投資信託口座を貯金の普通口座として使っていましたが、リスクを伴いますのでお勧めはできません。悪しからず。

④時間などにルーズ

そして最後になりますが、行動と性格も重要になってきます。「少々遅刻しても大丈夫だろう」と思っていませんか? やっていることは、コンビニで買うと高いのに「ちょっと高めだけど買ってもいいわ」というのと同じです。逆に毎日の生活の中で、ルーティンによって必ずやるべきことを決めている人などは、自己管理ができています。

今回はお金が貯まらない人について4つの過ちを掲げましたが、過ちをなくす前に、まずは働き続けて稼ぐことが先決となります。そして稼いだお金で貯める。その次に、投資する力をつけていくことにあります。間違っても、いきなり投資に走らないこと。お金の活用の原点は「お金を貯める」にあると信じています。

長い人生を乗り切るためには、自分で金融リテラシーを身につけることが重要です。これからもお金の知識を身につけていきましょう。

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