投資初心者向きの投資方法を挙げるとすれば積立投資でしょう。積立投資は、少額から始められ、高値掴みのリスクを避けられるなど、投資に失敗しにくい効果を期待できるため、初心者にうれしい仕組みなのです。本記事では、積立投資の注意点と成功のコツを簡単にまとめました。 ポイントをおさえて、乱高下が続く相場を乗り切っていきましょう。
- 少額から始められるので初心者にも最適な積立投資
- 積立投資は10年後、20年後にいつの間にか資産が増えていることを目指す
- 積立投資にも弱点はある。上昇相場が継続すると効果を発揮しにくい
「資産形成の王道」積立投資とは?
積立投資とは、毎月(毎週や毎日でももちろん可)、決まった金額で投資信託などの金融商品を積み立てていく投資方法です。積立投資は、毎月1万円なら1万円で、その金額で買える口数分だけの商品を購入します。そのため、同じ金額を積み立てていても毎月買える量(口数)が変動することが特徴です。
投資で一番効果的なのは安いときに買って高いときに売ることです。しかし、いつが安値でいつが高値なのかは専門家でも完全に読み切ることはできません。
積立投資は、特定の金融商品を一度に買うのではなく、長期にわたって少しずつ購入していくため、すごく高値で購入したり、購入した途端に暴落して、投資資金を全額ずっと塩漬けにしてしまう……といった極端な値動きのリスクを下げられると考えられます。
さらに高値のときに無理してたくさん買わない半面、安値のときにはたくさんの口数を購入できます。結果的に平均購入単価を割安な水準にすることができると考えられています。このように定期的に同じ金額を投資することで、平均購入単価と投資リスクを下げる投資方法は「ドルコスト平均法」と呼ばれます。「一発で大当たり」ということがない代わりに、初心者でも比較的低リスクで安定的に資産を成長させられる方法と考えられているのです。
つみたてNISAやiDeCoでもこの積立投資の仕組みが採用されており、近年では、個人の資産形成の王道といえる投資手法として定着しています。
積立投資のメリット
改めて積立投資のメリットを整理してみましょう。まず、少額からでも始められるという点があります。投資はまとまった資金がないとできないと思い込んでいる人もいますが、最近ではポイントを使った積み立てや、毎月数百円~1,000円からの投信積立など、積立貯金と同じような感覚で始めることも可能です。
積立投資の対象で代表的なものといえば、投資信託でしょう。複数の投資信託を活用したいという人でも、少額から複数の投資信託に分散投資することもできます。つみたてNISAやiDeCoといった制度を使わずに、自力で積み立ててもいいでしょう。もちろん、個別株を積み立てることもできます。昨今では、数百円で個別株投資が実現する証券会社もあります。
積立投資を長く続けていると、いつのまにか資産が積み上がっている可能性が高いのもメリットです。貯金と違って、運用成果が期待でき、さらに雪だるま式に資産が増える複利効果で成長していくからです。積立投資を始めて10年、20年たつと、気付けばまとまった資産になっていたという話も少なくありません。
積立投資のメリットの誤解
積立投資は安いときにたくさん、高いときには少なく購入する仕組みです。ドルコスト平均法によって平均購入単価が抑えられる点がメリットの一つだと考えられています。
とはいえ、ドルコスト平均法は万能ではありません。一般的にドルコスト平均法は下落局面が継続した後、大きく上昇するような局面、もしくは上昇と下落を繰り返すような相場で有利だといわれています。下落局面では商品を安くたくさん買えるので、いずれ株価が上がってきたときに大きな利益を得られるからです。
ただし、株価がずっと上昇している局面では逆に損をする可能性があり注意が必要です。一方的な上昇局面だと高値で買い続けることになり、平均購入価格が上昇していきます。こうなると、少し株価が下落しただけで含み損を抱えてしまう可能性もあるのです。
ドルコスト平均法はあくまでも下げ相場でたくさん口数を買うことを前提とした考え方で、過信は禁物です。積立投資は誰でも取り組みやすい方法ですが、万能ではないことは知っておきましょう。
積立投資で重要なのはとにかく続けること
積立投資でやってしまいがちな失敗は、下落局面で積立をやめてしまうことです。運用を始めたばかりの人は、元本割れすると怖くなって積立をやめがちですが、下落局面こそ安値でたくさんの口数を購入できるチャンスです。ですから、安値のときに投資をやめてしまったり、売却してしまったりするのは最悪のパターンです。不安になる気持ちも分かりますが、下落局面は「安値で大量に仕入れられる絶好のチャンス」と思い、辛抱強く乗り越えましょう。
特にコロナショックが始まってから積立投資を始めた人は、2021年末ぐらいまでずっと上昇局面が続いていましたが、足元では世界各国の株価指数が次々と弱気相場入りしています。もしかしたら、すでに含み損を抱えてしまっている人もいるでしょう。しかし、値下がりしている今は、安値で仕入れるチャンスかもしれません。とにかく10年、20年先を見据えて、目先の値動きに惑わされず、コツコツ続けることで結果はついてくるはずです。