テレビのコマーシャルや雑誌の広告などで「ロボアドバイザー」という言葉を目にしたことがある方は多いと思います。「誰でも簡単に資産運用を始められる」ということですが、実際にどのような仕組みなのでしょうか?
めんどうな手続きや難しい投資判断を自動化
ロボアドバイザーのサービスは、文字どおり「ロボットが資産運用のアドバイスをしてくれる」というもの。具体的には、銀行や証券会社のホームページの画面で5~10個程度の簡単な質問に答えると、その人に合った金融商品や運用プランを自動的にアドバイスしてくれるというサービスです。近年では、そのアドバイスに沿って実際の投資まで行える「投資一任型」と呼ばれるサービスも増えています。
投資一任型のロボアドバイザーを選ぶメリットは、以下の点が挙げられます。
・口座開設の手続きの多くが、スマホやパソコンだけで行える(一部の書類は郵送が必要)
・初心者にとって最も難しい金融商品選びを、ロボアドバイザーが自動で行う
・簡単な質問を通じて、ユーザーに合っていると考えられる商品を選んでくれる
・市場環境が変動したとき、資産配分を自動的に最適化してくれる
・運用実績や途中経過などを、スマホなどでいつでも手軽に確認できる
従来の証券口座ではめんどうな手続きや難しい投資判断を自分で行わなければならないところ、その多くを自動でやってくれることが、ロボアドバイザーの最大のメリットといえます。
運用成果が手数料に見合うかは未知数
ただ、いくら投資一任型のロボアドバイザーが便利とはいえ、資産運用において最も大切な運用実績が伴わなければ、せっかくの魅力も宝の持ち腐れとなってしまいます。
現状でロボアドバイザーの各社の運用実績は、各社のホームページやユーザーの声をざっと眺めてみると、おおむね調子は悪くないようです。
とはいえ、多くのロボアドバイザーのサービスはこの2~3年で立ち上げられ、この間は米国を筆頭に株式市場の調子が比較的よかったため、投資で利益を出しやすい環境だったことは考慮すべきでしょう。
問題は、株式市場が下り坂に差しかかったときです。
ロボアドバイザーの仕組みでは、株式市場の調子が悪くなってきたら株式を売却して、不況に強い債券の割合を増やす方向で資産配分の調整を行うことになっています。その仕組みがどのくらい有効に働くかは、実際にそのような市場環境になってみないとわからないため、今の段階ではなんともいえません。ひとついえるのは、不況になるとロボアドバイザーごとの実力差が出やすくなるということです。
投資一任型のロボアドバイザーの多くは、運用手数料として年1%程度の手数料を取っています。つまり投資で年1%の利益が出てようやく収支はプラスマイナスゼロであり、1%を超える利益を出さなければ利用者の収益にはなりません。
景気が悪化し、株価が下がっていくような環境でも、手数料を上回る利益を出し続けられるのか。プラスの収益が無理でも、マイナスを最小限に食い止めることができるのかどうか。現時点では未知数ですが、そう遠くない未来に結果は出るはずです。ロボアドバイザーを選ぶのは、その答えが出てからでも遅くないのかもしれません。