「4割下落」といわれても……

2018年11月の中頃、「ビットコインが暴落」というニュースが伝えられました。
ビットコインと円の交換レートは11月だけで4割以上も下落し、11月30日12時の時点でも、1ビットコイン=50万円を下回る水準で値動きしています。

【図表1】ビットコイン/円の価格推移(11月1日~29日、終値)
【図表1】ビットコイン/円の価格推移
出所:Investing.comのデータからMonJa作成

FXcoin

ところで、ビットコインなどの仮想通貨を取引していない方にとっては、「1ビットコインが50万円を切った」といわれてもそれがどれくらいのインパクトなのか、そもそもビットコインの適正価格はどのあたりなのか、ピンとこないと思います。筆者のように美術に疎い人が、世界的な名画に何千万円という値がついたといわれても実感が伴わないのと同じです。

それでも、1カ月もたたない間にモノの値段が4割も安くなるのが異常事態であることはわかっていただけるはず。普段よく食べている600円のランチが、ひさしぶりにお店を訪れたときに420円に値下がりしていたら、食べる方としてはうれしいけれど、これでお店の経営は大丈夫なのかと不安になってしまいます。

もっとも、一部の金融商品では、往々にしてこのようなことが起こります。たとえば株式であれば、会社に重大な不祥事が発覚したときなどに、株価が短期間に急落するのはわりとよく見かける光景です。

ビットコインがエベレストなら日経平均は天保山

「ビットコインの価格が4割下落する」というインパクトを、日経平均株価との比較で見てみましょう。

投信工房

【図表2】ビットコイン/円と日経平均株価の値動きの比較(1)
(2018年11月1日を100として指数化。期間は11月29日まで。日足、終値)
【図表2】ビットコイン/円と日経平均株価の値動きの比較(1)
出所:Investing.comのデータからMonJa作成

この期間は株価の動きが小さかったとはいえ、ビットコインの値動きの大きさは一目瞭然です。

しかしこれで驚くわけにはいきません。4割の値動きなど、ビットコインにとっては序の口です。ほんの1年前には、こんなに途方もない値動きを示していたのです。

【図表3】ビットコイン/円と日経平均株価の値動きの比較(2)
(2017年1月1日を100として指数化。期間は2018年11月25日まで。週足、終値)
【図表3】ビットコイン/円と日経平均株価の値動きの比較(2)
出所:Investing.comのデータからMonJa作成

2017年の安値と高値の差は、四捨五入すると30倍にも達します。1万円でビットコインを買ったら、29万円近い利益が出ることになります(ビットコインを現金化する際に利益が発生していたら税金がかかるため、実際に受け取れる利益は少なくなります)。
ところが、グラフを見てわかるとおり、価格の上昇は長続きせず、年が明けたらビットコインの価格は大きく落ち込むことになりました。

この間、日経平均株価も最大で+24%ほど上昇する場面がありました。この期間の最安値と最高値の差を取ると34.1%となり、1万円を投資したら3400円程度の利益が出る計算です。預金金利がほぼゼロ、個人向け国債の金利も年0.1%にすら満たない時期に、34%という上昇幅は決して小さくないのですが、ビットコインと比べてしまうと、まるでエベレストと天保山くらいの差に見えてしまいます(※)。

ビットコインなどの仮想通貨を投資の手段として利用する場合は、他の金融商品ではあまり見られないレベルの大きな値動きや、想定できない値動きが起こりうることを前提として、無理のない範囲で行うことが大切です。

※天保山は大阪市にある標高4.53mの山で、長らく「日本一低い山」といわれてきた。エベレストは中国とネパールの国境に位置する標高8850mの世界最高峰。その標高差は約2000倍であり、実際には上記のビットコインと日経平均の最大利益の差(約84倍)よりはるかに大きい。