個人投資家が投資できる対象のうち、株式や債券は比較的少額で買えますが、現物の不動産を購入するには大きな金額が必要となるため、一部の資産家しか手を出せませんでした。しかし近年、不動産を小口証券化して購入できるREIT(リート)と呼ばれる金融商品が生まれ、一般の投資家でも不動産に投資できるようになりました。今回はREITに投資するインデックスファンドについてわかりやすく解説します。

  • REITとは不動産を小口化した金融商品。日本のREITは4万円台から買える
  • REIT指数への連動を目指すインデックスファンドで、世界の不動産に投資できる
  • 日本・先進国・米国・欧州・豪州・新興国のREITインデックスファンドを紹介

住宅やオフィスビルのオーナーになれるREIT

REITとは不動産を小口化して出資を募る金融商品です。投資対象となる不動産は住宅、オフィスビル、物流施設などさまざまです。国内市場に上場しているREIT(J-REIT)は株式と同じように、証券会社で売買できます。

通常ならマンションやショッピングセンターといった大型の不動産を購入するためには、最低でも数億円の資金が必要になりますが、小口証券化して多くの出資者を募ることで、1人当たりの出資額を小さくできます。2022年9月時点で、最も投資口価格が安いJ-REITは4万円台で買えます。

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不動産投資の魅力は安定的な賃料収入が期待できることです。ただし、投資対象となる不動産の種類によってREITの値動きやの分配金傾向は異なります。たとえば、オフィスビルや商業施設に投資するREITは景気の影響を受けやすくなります。一方、住宅関連のREITは景気の影響を受けにくく、収益性が安定している点が特徴です。

REITはアメリカで生まれた金融商品で、市場規模もアメリカが世界最大となっています。日本のJ-REITは約17兆円と、世界第2位の規模まで成長しました。

REITは景気の影響をある程度受けるものの、株式や債券とは異なる値動きをすることも多いため、REITを分散投資の一環として持っておいてもよいでしょう。

Jリートは資産運用初心者におススメの金融商品

REIT指数への連動を目指すインデックスファンド

REITは動かない財産である不動産であるため、株式以上に投資対象の国や地域が重要になります。

トラリピインタビュー

国や地域のREIT市場の平均値を示すものがREIT指数です。日本であれば東証REIT指数、アメリカであればS&P米国REIT指数が代表的なREITの指数です。そして、日経平均株価など各国の株価指数に連動するインデックス型の投資信託(インデックスファンド)があるように、国や地域のREIT指数に連動するように設定されているインデックスファンドもあります。

REIT指数に連動するインデックスファンドに投資をすることで、日本やアメリカ、ヨーロッパといったさまざまな国や地域の住宅、オフィス、商業施設などの不動産に投資ができます。

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手軽に不動産に投資できる主なインデックスファンド

主なREITインデックスファンドを、国や地域別に解説していきます。

地域 ファンド名 1年
騰落率
3年
騰落率
純資産
総額
信託報酬
(年率・税込み)
運用会社
日本 eMAXIS Slim
国内リートインデックス
-1.7% 112.3億円 0.187% 三菱UFJ国際投信
MHAM J-REIT
インデックスファンド
(毎月決算型)
愛称:ビルオーナー
-2.1% 8.0% 933.6億円 0.715% アセットマネジメント
One
先進国 eMAXIS Slim
先進国リートインデックス
11.0% 196.9億円 0.22% 三菱UFJ国際投信
たわらノーロード
先進国リート
<為替ヘッジあり>
-11.7% 0.8% 5.45億円 0.385% アセットマネジメント
One
米国 SMT 米国REIT
インデックス・オープン
12.8% 38.4% 2.55億円 0.605% 三井住友トラスト・
アセットマネジメント
USリート・インデックス・
ファンド(為替ヘッジなし/
毎月分配型)
13.7% 42.1% 2.96億円 0.6875% 大和アセット
マネジメント
欧州 eMAXIS
欧州リートインデックス
-12.1% 6.0% 3.71億円 0.66% 三菱UFJ国際投信
豪州 eMAXIS
豪州リートインデックス
5.7% 22.5% 7.72億円 0.66% 三菱UFJ国際投信
新興国 eMAXIS
新興国リートインデックス
16.7% 2.7% 31.23億円 0.66% 三菱UFJ国際投信

データは2022年8月31日時点

国内REIT(J-REIT)

日本国内のREITについて、2つのファンドをご紹介します。

1つ目が「eMAXIS Slim 国内リートインデックス」です。このファンドは購入時の手数料が0円で、信託報酬が国内REITファンドの中で最安となっています。コストを抑えて投資したい方におすすめのファンドです。

2つ目が「MHAM J-REITインデックスファンド(毎月決算型)愛称:ビルオーナー」です。このファンドは毎月分配型となっており、分配金を受け取りたい方にはおすすめのファンドです。ただし、購入時手数料や信託報酬などコストは高めなので注意しましょう。

先進国REIT

次に先進国REITについてご紹介します。先進国REITとは米国、日本、欧州や豪州など、さまざまな地域のREITに投資をするファンドです。

1つ目が「eMAXIS Slim 先進国リートインデックス」です。国内REITでもご紹介した、eMAXIS Slimシリーズのファンドで、同種の投資信託の中で信託報酬が最安となっています。

2つ目が「たわらノーロード 先進国リート<為替ヘッジあり>」です。こちらのファンドは先進国のREITに投資をするファンドですが、為替ヘッジがあるため、為替の影響を受けづらくなっています。円高で為替差損が発生するリスクを避けながら、不動産の収益を狙いたい方におすすめです。

ただし、直近の運用実績は急激に進行した円安の影響を受けて、為替ヘッジありのファンドは騰落率が大幅なマイナスとなっています。

米国REIT

REIT発祥の地でもある米国のREITについても2つ紹介します。

1つ目が「SMT 米国REITインデックス・オープン」です。多くの販売会社で取り扱いがあり、信託報酬も比較的安く設定されています。

2つ目が「USリート・インデックス・ファンド(為替ヘッジなし/毎月分配型)」です。
こちらのファンドは毎月分配型となっていますので、分配金を求める方におすすめです。ただし、2025年9月に償還予定のため、長期投資をしたい方は注意しましょう。

ちなみに、上記2本のファンドは連動を目指す指数が異なっているために、同じ米国REITのファンドでありながら運用実績は『USリート・インデックス・ファンド』が上回っています。

欧州・オーストラリアREIT

欧州や豪州のREITに投資をするファンドについても紹介します。

欧州のREITに投資をするファンドが「eMAXIS 欧州リートインデックス」です。このファンドは「S&PヨーロッパREITインデックス」という指数への連動を目指しています。投資先が国内株や米国株に偏っていて、欧州関連の資産に投資をしていない方は、分散投資の一環として組み入れてみてもよいでしょう。

豪州のREITに投資をしている代表的なファンドが「eMAXIS 豪州リートインデックス」で、オーストラリアのREITに投資をするファンドの中では最も信託報酬が安いファンドのひとつです。

新興国REIT

最後に新興国のREITに投資をするファンドを紹介します。

eMAXIS 新興国リートインデックス」は比較的多くの販売会社で扱っているファンドです。新興国REITは新興国株式と同じく高い成長力が期待できるものの、短期的な値動きも大きい傾向があるため、リスクには注意しましょう。

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