「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、誰でも手軽に不動産に投資できるJ-REITに注目してみます。

  • J-REITは投資家の資金で不動産を取得し、賃料収入をもとに分配金を払う
  • REITの投資法人は、不動産の運用で得た収入の90%超を投資主に分配する
  • REITは株式と同じ取引が可能。投資法人も債券の発行やM&Aを行う

今年でJ-REIT20周年! そもそもJ-REITとは?

2021年といえば、東京オリンピックの開催の年でしたが、J-REITが初めて上場して20周年という年でもありました。本稿では、その栄誉を称え、J-REITについて見ていくことにしたいと思います。

J-REITのJはJapanのことです。もともとREITは1960年代にアメリカで始まりました。「やっぱり、アメリカ生まれなんだ」と膝を打つ方も多いと思いますが、アメリカに遅れること40年経って、日本でも上場することになったんですね。

ラッセル・インベストメントright

REITは「Real Estate Investment Trust=上場不動産投資信託」の略です。REITは、不動産に投資する投資信託の一種ということですね。
本稿では以下、J-REITのこともREITと書きます。

REITでは投資法人という、株式会社に酷似した組織を組成します。投資家は、投資法人が発行する株券ならぬ「投資口」に投資することになります。もっとも、株券にせよ投資口にせよ電子化されていますので、REITも「証券」として手にとることはできませんが。

投資法人、すなわちREITは、投資口の発行を通じて得た資金で不動産を取得します。そして、取得した不動産から得た賃料収入を元に、投資してくれた人(=株主ならぬ投資主)の投資口の「口数」に応じて、分配金を払います。

REITは東京証券取引所に上場しているので、証券会社を通じて売買することができます。つまり、株式投資と同じ感覚で、REITに投資できます。

ラッセル・インベストメントright

先述の通り、REITは不動産の賃料収入を元に分配金を投資主に払いますので、まさに「大家さん」ですね。

東京のビル
東京都心のオフィスビルの中にも、REITの投資法人が保有しているビルがあり、投資家はREITに投資すればオフィスビルの「大家さん」になれる(写真はイメージであり、実在のJ-REITとは関係ありません)

株式会社に酷似したREITの投資法人……株式との違いは?

ところで、REIT=投資法人は、株式会社に酷似した組織だと述べました。どんなところが酷似しているかの前に、違いを述べることにしましょう。

投資法人は不動産の運用以外の事業はできません。その代わりに、得た収入(=正しくは利益)の90%超を投資主に分配することで、分配した利益には法人税を課さない、つまり分配金を損金に算入することができるのです。簿記を学ばれた方には、驚きかもしれませんが、これが株式会社とは大きく異なるREITの特徴でもあります。

【図表】REITの分配金と株式の配当金の違い
REITの分配金と株式の配当金の違い

また株式会社の決算期間は1年間ですが、REITの決算期間は、筆者の知る限り半年間です。
なお、投資法人には役員がいても、従業員がいないという点も、株式会社と大きく異なりますね。

先述の通り、REITは不動産の運用以外のことはできません。ですので、投資先(=物件)の選定や資産の管理、それに事務的なことは、すべて外部の会社に委託、アウトソーシングしています。

株式会社に酷似したREITの投資法人……株式会社と共通していることは?

例えば、株式会社は社債を発行して資金を調達することができますが、REITでも投資法人債を発行して資金調達が可能です。もちろん、REITも銀行から融資を受けることができます。

そして、最近、株式会社ではM&Aが注目されています。REITでも、敵対的買収により、スターアジア不動産投資法人がさくら総合リート投資法人を吸収合併する、という出来事がありました。つまり、REITもM&Aが可能なのです。

なお、先ほど、投資主や投資口などの専門用語を使いました。株式会社とREITの用語の比較表を以下に載せます。言葉は異なっても、それぞれの組織が酷似していることが分かります。

REIT 株式
投資法人 株式会社
投資主 株主
投資主総会 株主総会
投資口 株式
投資口価格 株価
投資証券 株券
分配金 配当金
執行役員 取締役
監督役員 監査役

また、先述の通り、REITは株式会社と同じく、東京証券取引所に上場していますので、REITも指値注文や成行注文、それに信用取引も可能です。
ですので、あまり望ましくはありませんが、日計り売買、いわゆるデイトレードも可能なのです。

まとめに代えて

一般的に「大家さん」というと、数千万円から億円単位の資金の調達が必要になるでしょう。それがREITでしたら、10万円以下で投資可能な銘柄もあります。ある意味、手軽に「大家さん」になることもできます。REITのホームページを見ると所有する不動産の一覧が載っており、物件の外観を見るのも容易ですから、株式投資に比べると、手軽なイメージがありますね。

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