「平成最後の○○」って何だか切ない

平成ももうすぐ終わってしまいます。
「平成最後の○○」というワードは、耳にタコができるぐらい世間で消費されすぎていて、もはや食傷気味ではありますが、なんとなく切ない気分になってしまうのはなぜでしょうか?

昨年、美容院へ髪を切りに行った際、担当してもらった美容師さんから、「“平成最後の夏”ってテレビでさんざん聞くから、僕てっきり、よっぽど宣伝にお金をかけた超大作の映画のタイトルかと思ってました!」と、お茶目な勘違いエピソードを聞けたほどのブームでした。
確かに名前だけ聞けば、年季の入った演技派の名俳優が勢ぞろいの歴史映画(永遠の0のようなイメージ)みたいです。

話を戻します。
私の周りの20代の人たちの間では、新元号関連の話題になると、定番の「新元号当てゲーム」が始まるのですが、そんないつものお気楽な会話の裏には、どこか切ないムードが漂っています。

新元号へ移るということは、いつかは、平成を知らない新しい世代が台頭して時代の主役が移っていくということ。
考えるまでもなく当然ですが、ミレニアル世代もいつまでも若者ではいられません。
今まで目を背け続けてきた、お金のこと、生活のこと、つまり将来全般について考えなければなりません。
年齢だけ見れば私は完全に大人ですが、最近では「本当の本当に真の大人にならなければ」と、急に成長をせかされたような義務感を覚えます。
この嫌な義務感が、20代に漂う何となく切ないムードをつくっているのではないでしょうか。

一番の心配事はやはりお金です。
気づけば景気はずっと不況で、青春時代はリーマン・ショックや超円高、石油高騰など不穏なニュースに煽られて育った20代。
真面目に働き続ければ、順当に給料やボーナスが増えていくだなんて、そんなお気楽な考えは元々持っていません。
親世代の生活レベルを送るためには、親世代以上に自助努力でお金を増やす必要があるかもしれません。

正直バブル時代がうらやましい

と、ここまで暗い話が続きましたが……。
ただ、お金が余るほどあったであろう、お気楽でイケイケなバブル時代が、実は少しうらやましくも感じています。


昭和末期から平成初期にかけて、東京ではディスコが一大ブームを巻き起こしました。バブルというと高級車やDCブランドなど「モノ消費」の派手さが語られがちですが、ディスコやスキー、海外旅行といった体験重視型の「コト消費」も旺盛でした。(MonJa編集長)

もちろん、バブル時代はお気楽なだけではなかったということは、百も承知です。
当時はブラック企業という概念がまだないので、「24時間戦えますか?」という“企業戦士”が求められていました。
さらに、今よりも多様性への関心が薄く、女性やLGBTの方たちのようなマイノリティにとっては、生き辛い時代であっただろうことは想像がつきます。
そして何より、私の大好きなスマホやWi-Fi、Netflixがない時代には、たとえタイムスリップできたとしても、もう今さら戻れません。

ですが、まさに20代をバブル世代真っただ中で過ごした、私の親の思い出話を聞く度に、現代では考えられないほどのイケイケぶりがうらやましくなるときもあります。

例えば、

・新卒の就活時には、企業から直々に採用の電話がバンバンかかってくる
(企業は人手不足で、何としてでも学生を獲得せねばという様子。あの手この手で、学生を囲い込んでいました)

・周りはみな、海外ハイブランドのバッグを当たり前のように所有していた
(「ある種、持っていないほうがおかしい、といったような同調圧力も強かった気がする」と母は語ります)

・具体的な額は言えませんが、バブル時代のボーナスは、今では考えられない超高水準の額!
(いまの20代の新人がもらうボーナス平均額の○倍!)

バブル後の混乱や、絶対的ブランド&ステータス主義のような不都合なことは、今は脇に置いておくとして、お金が嘘みたいに余るほどあふれていた時代があったなんて、ただ純粋にうらやましい!
何もしなくても、「このまま何となく経済はどんどん豊かになるから、いま散財しても何とかなるだろう」と、将来が希望に満ちていた時代があったなんて……。
(※筆者の伝聞に基づきます。もちろん当時のすべての日本人がバブルの恩恵を受けられたわけではありません)

そこで!
前置きがかなり長くなりましたが、今回は、バブル時代のお金への価値観を探るため、“バブル時代のお金にまつわる流行語”を考察していきます!
バブルを体験したことがない世代が当時の時代感、雰囲気を感じるためには、流行語をチェックするのが手っとり早いという狙いです。

それでは、見ていきましょう!

① 「○○くん」シリーズ


アッシーくん、メッシーくん、キープくん。
さまざまな「○○くん」シリーズが存在する、汎用性が高いこの流行語。
意味はそれぞれ以下の通り。

アッシーくん:文字通り「足」として、女性の送り迎えをする男性のこと。
本命ではなく、あくまで女性が目的地へ向かう交通手段として車を出すだけの切ない存在です。

メッシーくん:文字通り、女性に「ご飯」をおごるためだけに存在する男性のこと。こちらも残念ながら、本命ではありません。

キープくん:文字通り、女性が本命の相手以外に、念のため「キープ」しておく男性のこと。本命ではないので、女性のスケジュールが空いたときのみ、急に呼び出されることになります。


「これから、メッシーくんと会うんだよね。ちょっと遠いから、アッシーくんに連絡しようっと。あ、ちょっと待って。いま、ポケベル確認するから。うわあ。また、キープくんから連絡来てるよ~」


やはり、みなさんジャンジャンお金を使っている印象です。
女性、男性とも、交際費や娯楽費に十分お金を回せる余力があったのだと感じます。
ただ、まるでトレンディドラマに出てくるようなギラギラ感がまぶしすぎます。私としては、若干勢いに飲まれてしまうような感覚です。
バブル時代の全員が、もちろんこういう人たちではないことはもちろん承知です。
ただ、いろんな方面にお金を回せる余裕があり、その分今よりも遊び方が派手になっているのは、当然の流れだろうと思います。

ただ、現在も似たような人たちは、生息しています。
たとえばこちらのコラムや記事では、お金を消費し経済を回しまくっている、まるでバブル時代のような登場人物があふれかえっています。
「東京カレンダー」Webサイト

② 花金


「花の金曜日」の略称。
世の会社員なら、誰でも浮かれ気分になってしまう金曜日。
理由は、もちろん次の日がお休みだからです。
(サービス業の方々など、土日が休みではない方もいらっしゃいますが……)
夜更かししても、羽目をはずして遅くまで飲んでいても、次の日の心配をせず好きなだけ楽しめるのは、本当に気が楽なものです。


「今日、花金だよね? ディスコでも行かない? あ、ちょっと待って。ボディコン忘れたから、家にいったん取りに帰るから。とりあえず、アッシーくんに連絡しようっと」


金曜日の解放感は、バブル時代も現代も変わりないといえるでしょう。
やや言葉のチョイスの懐かしさを感じるものの、今でも十分使えるほど“あるある”な感覚かもしれません。

また、“花金”はついつい財布の紐も緩みがちです。
しかし、いまはバブル時代ではありません!
ほどほどの散財で、“花金”を楽しみましょう。

③ 五時から男


文字通り、終業時刻の5時を過ぎると、急に元気になるサラリーマンのこと。
彼らにとって、5時以降のプライベートな時間は、もはや一日の始まりといってもいいでしょう。
基本的に仕事時間は、夜に街へ遊びに繰り出すために体力・気力を温存しており、覇気がありません。
しかし、5時を過ぎたとたん、今までのやる気のなさが嘘のように、急に元気になって会社を飛び出すため、まるで二重人格のようです。

ちなみにこの言葉は、タレントの高田純次さんが出演した栄養ドリンク『グロンサン』のテレビCMで使用されたことから、ブームに火が付きました。
なんと、高田純次さんは、この“五時から男”で1988年の流行語大賞を受賞しました!


A:「○○部の△△さんって、いつも元気ないですけど、どこか体調悪いんですかね?」
B:「あー。△△さんは5時から男だから、全然心配いらないよ」


正直、まったく聞いたことのない言葉でした。
意味を調べて初めて、「あ~。納得」と腑に落ちました。
おそらく“五時から女”も多数いたことでしょう。

仕事時間中にやる気がないのは困り者ですが、“五時から男”さんは、ある意味オンとオフの切り替えが上手で、仕事とプライベートをきっちり分けるタイプなのではないでしょうか。
まさに、現代推奨されている「ワーク・ライフ・バランス」の先駆者かもしれません。
現代の私たちが学ぶべき点は多そうです。

「遊ぶ=外に繰り出して散財」という時代

さて、これまで3つの流行語をおさらいしてきましたが、全体的に私がバブル時代に感じた印象はこちら。

みなさん、とにかく元気!

活動的というか、疲れ知らずというか……。
お金が有り余っているという時代背景以前に、まず、「とにかく外に遊びに出て、お金を消費しよう!」という気概に圧倒されます。

現代では娯楽も多様化して、「遊ぶ=外に繰り出して散財」という概念がもはやなくなりつつあります。
例えば、スマホで目的もなくネットサーフィンをしたり、NetflixやYouTubeをながら見したり……。
仕事が終わった後、家で目的もなくダラダラするのも、もちろんリラックスできて最高に楽しいですが、なぜかたまにむなしさに襲われる人も少なくないのではないでしょうか。

ときにはバブル時代を見習って、たまには外でほどほどに散財してもいいのかもしれません。
暖かくなったら、ネットサーフィンではなくリアルサーフィンに出かけてみたり。
ほどほどの消費で、この切なさを吹き飛ばしてやりましょう!

24時間戦えますか?
栄養ドリンク『リゲイン』のテレビコマーシャルで歌われた、バブル時代を象徴する有名なフレーズ。このCMには俳優の時任三郎が出演し、CMソングも歌っていた。そのCMソングのフルコーラス版「勇気のしるし」が1989年に「牛若丸三郎太」名義でCD化され、60万枚を超える大ヒットとなったこともバブル時代らしいエピソードといえる。