現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第42回は、富士山周辺の鉄道、バスや富士急ハイランドなどのテーマパーク、リゾート運営を手がける富士急行(9010)を取り上げます。

  • 富士急行は、富士山周辺の運輸と観光の複合企業体
  • 富士急行の強みは、テーマパーク、リゾート施設による富士山麓エリアの集客力
  • 業績回復への期待で株価は年初来高値圏。上場来高値6500円を目指す展開も期待

富士急行(9010)はどんな会社?

富士急行は、富士山周辺の鉄道、バスや富士急ハイランドなどのテーマパーク、リゾート運営を手がけています。

同社は1926年に富士山麓の一帯を世界的観光地として大規模に開発するという構想に基づいて、「富士山麓電気鉄道」として創業しました。当初は乗り合い、貸切バスなどの営業から事業を開始しました。その後、山梨県の大月から富士吉田駅(現・富士山駅)までの鉄道の営業を始めました。

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その後、1961年に富士急ハイランドの前身となる「国際スケートセンター」を開業しています。また、その2年後には、富士山の標高1100メートルに大型の国際観光ホテルの「ホテルマウント富士」の事業をスタートさせ、このころから本格的に「運輸と観光の複合企業体」としての道を歩み始めました。

現在では、売上高のうち約5割がレジャー・サービス業による収入です。また、残りの約3割は鉄道、バス、タクシーの運輸事業によるものです。残りの2割の売上高は、別荘地開発などの不動産事業、建設業やミネラルウォーター製造販売などのその他事業によるものです。

また、大月駅から河口湖駅までを結ぶ鉄道運営事業者は、富士急行として知られていましたが、2022年4月から創業当時の富士山麓電気鉄道に社名を変更しています。

富士急行(9010)の強みは?

富士急行の強みは、テーマパーク、リゾート施設による富士山麓エリアの集客力です。富士急ハイランドは、2018年から入園料を無料としています。園内では定期的にヒーローショーなどのイベントを開催しているほか、「機関車トーマス」などの人気キャラクターとコラボレーションしたエリア展開なども行っています。

周辺のキャンプリゾートでは、コロナで密を避けるためアウトドアレジャーがブームとなったことからバーベキューやグランピングなども手ぶらで楽しめる施設が充実し、人気を博しています。

そのほか、富士五湖エリアではゴルフコースや遊覧船など、静岡県裾野市ではスノーパークなども運営しており、年中を通して集客が見込まれます。

富士急行(9010)の業績や株価は?

富士急行は、前期2023年3月期の業績予想を4月10日に上方修正しました。売上高が前期比22%増の429億円、営業利益が5.5倍の42億円と予想しています。決算発表は5月10日の予定です。

昨年10月からの入国制限の緩和で訪日外国人客(インバウンド)が増えており、全国旅行支援などによる旅行消費の押し上げ効果も好影響がありました。

富士山麓エリアでは、訪日外国人の間でビュースポットがSNSの話題となるなど、賑わいを見せています。

5月2日の終値は5310円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約53万円です。

富士急行(9010)の株価(2021年1月~、月足)
富士急行(9010)の株価チャート

富士山麓エリアの集客増への期待が高まる中、キャラクターとのコラボレーションによる新企画やテーマパークのアトラクションを強化しています。さがみ湖リゾートプレジャーフォレストでは、昨年人気キャラクターのすみっコぐらしによるイルミネーション企画などを実施しました。富士急ハイランドでは、昨年7月に絶叫アクティビティーのFUJIYAMAスライダーをオープンしました。

また、富士急ハイランド、富士急行線など同社のサービスを利用する方には、株主優待もお勧めです。毎年3月、9月末の株主に対して、グループの電車やバスの乗車券、テーマパークの乗り物券、ホテル、レストラン、温泉施設の割引券などを株数に応じて受け取ることができます。

業績回復への期待で株価は年初来高値圏にあります。戻り売りをこなしながら上昇トレンドが崩れなければ、2021年3月の上場来高値6500円を目指す展開も期待できそうです。

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