レポート提供:イーストスプリング・インベストメンツ(2019年8月23日)

インドネシア中央銀行(BI)は、8月21-22日に開催された金融政策決定会合で、政策金利の指標である7日物リバースレポ金利を0.25%引き下げ5.50%としました。BIは7月に約2年ぶりとなる利下げを行ったことから市場の大多数は金利の据え置きを予想しており予想外の利下げとなりました。今回の金融政策の内容と今後の見通しについてご説明します。

【図表1】政策金利と10年国債利回りの推移(2017年1月2日~2019年8月22日)

政策金利と10年国債利回りの推移
出所:Bloomberg L.P. のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成

経済成長を促進するための先手を打った措置

ペリーBI総裁は、会合後の会見で、「今回の利下げはインドネシア経済を金融面からサポートするため」と述べました。BIは、インフレ率は今後も低位で安定的に推移すると予測しており、世界経済が減速する中でも、インドネシアの金融資産は相対的に安定的に推移していることから緩和余地が生まれたとし、利下げは「将来の経済成長を促進するための先手を打った措置」であるとしています。こうした状況に加え、7月末に米連邦準備理事会(FRB)が金融緩和に転じたことや、アジア各国で金融緩和の動きが見られること、通貨ルピアが安定的に推移していることを背景に、2カ月連続の利下げに踏み切ったものとみられます。

経済成長については、5日に発表された4-6月期の実質GDP成長率は前年同期比で+5.05%と、政府目標を下回っており、成長に鈍化がみられるほか、経常赤字も対GDP比3%を超える水準に拡大しています。BIは2019年のGDP成長率の見通しについては5.0-5.4%の中間点を下回る水準としていますが、今回の利下げの様に金融政策面で機動的な政策を打ち出すことで、政府とともに景気刺激策を推し進めていきたいという姿勢がうかがえます。

【図表2】インドネシアルピア(対円、対米ドル)の推移
(2017年1月2日~2019年8月22日)

インドネシアルピア(対円、対米ドル)の推移
出所:Bloomberg L.P.のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成
対円は100ルピア、対米ドルは10,000ルピア当たりの推移

【図表3】ジャカルタ総合指数の推移(2017年1月3日~2019年8月22日)

ジャカルタ総合指数の推移
出所:Bloomberg L.P. のデータに基づきイーストスプリング・インベストメンツ作成

2020年予算案

ジョコ大統領は16日、2020年の予算案を国会に提出しました。2020年のGDP成長率の目標は据置きの5.3%としています。また、財政赤字の対GDP比率は1.8%に抑え、財政規律を維持する一方で、首都移転プロジェクトやインフラ投資を継続させることで経済成長を支えていく姿勢を示しています。特にインフラ支出予算は前年より増加しており、10月から始まる政権2期目でもインフラ開発を推し進めていく考えです。今回の予算では特に「人材の質の強化」が掲げられ、教育関係の予算として、1期目の最初の予算案となった2015年比約3割増を拠出し、貧困層の就学支援や産業人材育成などに取り組むとしています。

今後の見通し

FRBは市場が期待するほど積極的に利下げを行わない可能性もありますが、米国の金利上昇を要因とした新興国通貨の下落リスクが後退したことから、新興国に金融緩和の余地が生まれています。BIは会合後の会見で、経済成長を促進するために緩和的な政策を維持する必要性を強調しています。当社では、BIはさらに0.5%の利下げを行うと予想していますが、利下げにより通貨が大きく下落する可能性は低いとみています。一方で、インドネシア債券については強気の見方を維持しています。

また、16日に正式表明された首都移転計画では、インドネシア経済の長年の課題となっているジャワ島への人口・産業の一極集中が是正され、新たな経済発展にプラスとなることが期待されています。

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