資産運用に慣れないうちはなんとなく難しいイメージがある株式投資。「興味はあるけれども、どの銘柄を選べばいいのかよく分からない」。そんな人は、1つのキーワードをヒントに銘柄を探していくという取り組みやすい方法があります。本連載では「健康経営」をキーワードに、具体的な銘柄も含めて紹介していきます。

  • 2019年の健康経営銘柄は27業種36銘柄。
  • 従業員の健康管理でやる気アップ! 内定辞退率も減る。
  • 収益性や安定性に優れた、優良株式銘柄の発見も。

健康経営銘柄、健康経営優良法人って何?

「健康経営銘柄」とは、健康経営に戦略的に取り組んでいる一部上場企業のことで、経済産業省と東京証券取引所が共同で選定しています。健康経営銘柄の認定作業は毎年行われ、3月上旬にどの企業が認定されるかが決まり、選ばれた企業一覧は経済産業省のHPで見ることができます。

2019年に健康経営銘柄に選ばれた企業は、食料品では味の素株式会社、医薬品では塩野義製薬株式会社、サービス業では株式会社ディー・エヌ・エーなど、名前を聞けば分かるような会社が多いです。少し多いですが、全36銘柄を見てみましょう。

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「健康経営銘柄2019」選定企業(27業種36銘柄、業種順)

業種 企業名
水産・農林業 日本水産株式会社
建設業 西松建設株式会社
食料品 味の素株式会社
繊維製品 株式会社ワコールホールディングス
パルプ・紙 大王製紙株式会社
化学 花王株式会社
医薬品 塩野義製薬株式会社
石油・石炭製品 JXTGホールディングス株式会社
ゴム製品 バンドー化学株式会社
ガラス・土石製品 TOTO株式会社
非鉄金属 古河電気工業株式会社
機械 株式会社ディスコ
電気機器 コニカミノルタ株式会社
ブラザー工業株式会社
オムロン株式会社
株式会社堀場製作所
キヤノン株式会社
輸送用機器 株式会社デンソー
精密機器 テルモ株式会社
その他製品 株式会社アシックス
電気・ガス業 中部電力株式会社
陸運業 東京急行電鉄株式会社
情報・通信業 ヤフー株式会社
株式会社KSK
SCSK株式会社
卸売業 キヤノンマーケティングジャパン株式会社
小売業 株式会社丸井グループ
銀行業 株式会社広島銀行
株式会社みずほフィナンシャルグループ
証券、商品
先物取引業
株式会社大和証券グループ本社
保険業 SOMPOホールディングス株式会社
MS&ADインシュアランスグループ
ホールディングス株式会社
東京海上ホールディングス株式会社
その他金融業 リコーリース株式会社
不動産業 フジ住宅株式会社
サービス業 株式会社ディー・エヌ・エー

出所:経済産業省HPよりMonJa作成

また、「健康経営優良法人」は健康経営銘柄に似ていますが、こちらも健康経営に取り組む企業を認定する経済産業省の制度です。認定を受けるのに上場企業である必要はなく、認定する企業数に上限がないことなどが特徴となっています。

どうして企業が「健康経営」に取り組むようになったのか?その効果は?

企業が従業員の健康管理に取り組むと、従業員の活力向上をもたらし、結果的に業績向上や企業の価値向上が期待できると考えられています。「健康経営」とは、経営的視点を持ちながら戦略的にこれらを実践することをいいます。

トラリピインタビュー

実際に、健康経営に取り組んだ多くの企業には、内定後の辞退率が減る、健康経営に取り組む企業としてメディアの取材を受けるといった具体的な効果が出ている上に、投資家からも中長期的な成長が見込まれる企業として評価される傾向にあります。

三菱UFJモルガンスタンレー証券によると、健康経営銘柄はボラティリティ(価格の変動幅)が低く、PER(企業の収益力からみた株価が割安か割高か判断する数値)が割安であるとの調査結果もあります。健康経営は従業員にも企業にも投資家にも良い連鎖反応を発生させるものとして、無視することはできない経営策の1つとなっています。

健康経営に関連する事業をチェックすれば、お宝銘柄を発見できる可能性も

企業が健康経営を実施するには、福利厚生代行会社を利用する、スポーツ健康関連向けの管理ソフトを導入する、社員食堂のメニューを変える、専門トレーナーを付けるなど色々な方法があります。自社で賄えない部分は他社に委託したり、健康器具など物を購入したりすることもありますので、健康経営から派生する関連企業も株式投資の対象として注目です。

また、経済産業省で日本式の健康経営をアジアに展開していくことを検討している現状なども踏まえると、健康経営関連銘柄はこれからまだまだ伸びしろのあるカテゴリーと言えます。具体的な健康経営関連事業銘柄については、また後々ご紹介していきます。

お勧めする理由が色々ある健康経営優良法人「日立ハイテクノロジーズ」

健康経営優良法人の注目銘柄として、まずは「日立ハイテクノロジーズ(8036)」をご紹介します。同社は、分析装置、電子顕微鏡、医用機器、産業・ITシステムなどに取り組む一部上場企業。21年2月に半導体製造装置の新工場を茨城県に竣工する予定となっており、最先端品を量産する体制を整えているところです。

株主の構成として51%を日立製作所が持ち、自社社員持ち株会も全体の1%の割合で存在しています。

日立ハイテクノロジーズ 株主構成
日立ハイテクノロジーズ株主構成
※国内法人・その他 52.63%のうち、51.73%は日立製作所
出所:日立ハイテクノロジーズHPよりMonJa作成

収益性や安定性といった面が特に同業他社に比べると優れており、長期投資で考えるとなかなかの優良株式銘柄かと思います。実は、これから株式投資を始めようと思われる方にとって、知っておくと銘柄選択にも役立つ日立ハイテクノロジーズについての話がありますので、次回、ご紹介します。

(次回は11月16日を予定しています)

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