2023年末に一般NISAの投資期間(運用期間は2027年末まで)が終了し、2024年から新NISAがスタートします。今回は、一般NISAと新NISAの仕組みとロールオーバーを活用して新NISAの投資枠を増やす方法についてみていきます。

*この記事は、金融庁が2020年2月3日に発表した「新しいNISA制度の概要と改正の狙い」を参考に執筆しています。

  • 新NISAを利用するにはルールがあり、原則として最初に1階部分への投資が必要
  • 新NISAの投資枠は1階部分が20万円、2階部分が102万円で、合計122万円
  • 一般NISAの残高が122万円を超えていても、新NISAへ全額ロールオーバー可能

一般NISAは2014年にスタートした少額投資非課税制度

一般NISAは2014年にスタートした少額投資非課税制度です。非課税期間は5年間で、5年を過ぎるとロールオーバーを行うことで5年間運用期間を延長することができます。

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一般NISAの年間の投資枠は120万円が上限です。また、120万円の投資枠をその年に使い切れない場合の次年度への繰り越しはできません。投資対象は上場株式や株式投資信託などで、個別の債券やREIT(不動産投資信託)への投資はできません。

新NISAは2024年にスタート

2024年にスタートする新NISAは、投資枠が2つに分かれ、それぞれ「1階部分」「2階部分」と呼ばれています。

1階部分で投資できる商品は、つみたてNISA対象の株式投資信託などです。2階部分は、上場株式と株式投資信託などですが、高レバレッジ投資信託や個別株の整理銘柄、管理銘柄などの商品は対象から除外されています。

投資枠は1階部分が20万円、2階部分が102万円となります。合計122万円と一般NISAより2万円投資枠が増えています。投資可能期間は2024年~2028年までの5年間です。非課税期間は、2024年~2032年です。

新NISAを利用するにはルールがあり、原則として最初に1階部分への投資が必要になります。また、1階部分の投資枠20万円を全て利用する必要はなく1階部分を利用していれば、2階部分を利用することができます。ただし、一般NISAを利用した人や上場株式等の投資経験のある人は、例外的に1階部分を利用せずに2階部分のみの利用が可能です。

それぞれのNISAのイメージ

新NISAの投資枠を増やす方法

ここまでみてきたように、一般NISAの投資枠は年間120万円、新NISAの投資枠は1階部分、2階部分含めて122万円になりますが、2023年に非課税期間が終了する一般NISAから新NISAへロールオーバーすることができます

一般NISAから新NISAへのロールオーバーのイメージ

記事の冒頭で紹介した「新しいNISA制度の概要と改正の狙い」のよくある質問と回答(2)には下記のような記載があります。少し長くなりますがその部分を引用します。

以下、引用部分を示します(太字は執筆者による加工)。

(2)現行の一般・ジュニアNISAの取扱い ── 現行の一般NISAを利用している人が、24年以降に引き続き新NISAを利用しようとした場合、一回清算・現金化してから新NISAを利用することになるのか。

現行の一般NISAを利用されている方については、5年間の非課税期間終了時において、新NISAにロールオーバーをすることが可能だ(時価ベース)。その際に、2階部分から枠を先に利用していくことになるが、仮に102万円を超える金額をロールオーバーするときは、1階部分の枠も利用することに留意する必要がある。 また、1階部分を費消しても、なお、ロールオーバーする金額がある場合は、その金額全体をロールオーバーすることができる(例えば 150万円をロールオーバーする場合、2階部分と1階部分を使いきることになるが、150万円全額を新NISAの2階部分に入れることができる)

上記の回答から、一般NISAから新NISAへロールオーバーすれば新NISAの投資枠610万円(122万円×5年間)を増やすことが可能であることがわかります。ただし、新NISAへのロールオーバー時点での一般NISAの残高が122万円を超えている必要があります。

また、新NISAへのロールオーバー時点で一般NISAの残高が122万円を超えることができず、仮に80万円だった場合としても2階部分が22万円(102万円-80万円)と1階部分の20万円の投資枠を利用することはできます。

上記の点から、新NISAでの投資を考えられている方は、2024年を待たずに一般NISAから運用をスタートしてみるのも一案です。

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