セレブ犬ハナちゃんに学ぶマネーライフ【第3話】 ルネッサンスのスーパーアイドルだった血が騒ぐ！

癒しを求めて、衝動的にワンちゃんを飼ってしまったまんが家・リコたん。柔らかな巻き毛の白い天使はどこから見てもセレブ犬。「金運をもたらす」と言われ、「ハナちゃん」と名づけて、リコたんも幸運を期待して一緒に暮らし始めたのですが、なんとまあ、白い天使の正体は凶暴な“白い悪魔”だったのです。でも、それを「飼い主に豊かなセレブ生活をもたらす人生修行なのだワン！」と、ハナちゃんは言います。いやいや、毎日、ハナちゃんに翻弄されっぱなしで、出費ばかり嵩むわ、体力消耗するわ！　何もいいことないですけど。でもセレブ犬と暮らせば、必ずやマネーライフにも変化が訪れ、心豊かで優雅なライフスタイルが待っている……はずと信じて！　さあ、今回もリコたんの修行は続きますよぉ！（あやせ理子＝絵とお話　聞き手・文＝だーま）

【第2話】犬のようち園でぴっかぴっかの一年生！

なぜ、ハナちゃんがセレブ犬なのかといえば！

こんにちワン！　ビションフリーゼのハナちゃんです。
飼い主は、まんが家のリコたん。
ハナちゃんは、主にリコたんの仕事場で暮らしています。
リコたんは、いくつかの雑誌にまんが連載を抱えてるので、アシさん（アシスタントの女性）と一緒に、締め切り直前には修羅場といって、仕事場に泊まり込んで、まんがを描く生活をしています。
締め切りが立て込むと修羅場も続き、リコたんの目は三角になり、髪の毛もおっ立って、背景に湯気がゆらゆらむらむら……。
いやはや、鬼気迫るものがありますが、そんなこと知ったこっちゃないワン！
ハナちゃんはセレブ犬です。そして、ミッションがあるんだもん！
そのミッションとは、「金運を上げるために飼い主に修行してもらう」です。
さあ、今日も、手加減しないワン！
手始めに、壁紙剝がして、畳をむしって、コンセントを引きちぎって、リコたんのスリッパを食いちぎるです！

「きゃああ！　ハナちゃん。やめてぇ！」と、リコたんは、ハナちゃんを追いかけ回すけど、これがセレブ犬の習性だから、辞められないの。
なんで？　――だからぁ、ハナちゃんが、生まれついてのセレブ犬だからですってば！

歴史にその名を残す飼い主は、高貴なセレブばかり！

というわけで、ここからは、ハナちゃんがセレブ犬なるゆえんをお話していきましょう。
ハナちゃんの犬種はビションフリーゼ。あの、おフランスで王族や貴族に愛されたという歴史があり、今もって貴重で希少な犬種なのです。

ビションフリーゼの有名な飼い主といえば、16世紀のフランス国王フランソワ1世さま。アンリ3世さま、それから、18世紀、ルイ15世さまの寵姫だったポンパドール夫人。それから、スペインでは、16世紀の国王カルロス4世さま、イタリアの名門貴族マントヴァ公フェデリーコ2世さま……などなど。

中でもフランス国王フランソワ1世さまは、レオナルド・ダ・ヴィンチ先生をイタリアから呼びよせ、お屋敷を与えて住まわせた芸術家好きのパトロンで、フレンチ・ルネッサンス様式の文化を開花させた担い手で知られる王さまです。
風光明媚なロワール河のほとりには、素敵なシャトー（お城）がたくさん建っているけど、最大規模のシャンボール城は、フランソワ1世さまが建てたお城で、総敷地面積5500万m²。内部の設計には、ダ・ヴィンチ先生のご指導があったといわれているのです。

そう！　ハナちゃんのご先祖さまは、フランス最大級の宮殿を、所狭しと駆け巡って、遊んだの！　……その記憶はハナちゃんのDNAにもちゃんと受け継がれているのだワン！
うへ！　5500万m²!!　ですと。（ベルサイユ宮殿の5倍で、パリの中心部に匹敵するんだとか！）
リコたんが、ハナちゃんのために、無駄に広いと思いながらも大奮発して借りた青山の仕事場は、55m²。ひ、ひゃくぶんのいち……じゃなくってぇ、百万分の一かい！
ちょっと想像はつかないけど、そうか、お散歩に連れて出ると、ぎええええ！　ってくらいに、リコたんの足がもつれるほど走り回るのは、もしかして青山界隈全体を自分ちのお城の庭くらいに思ってるのかしら？
神宮外苑の銀杏並木は、せいぜい中庭の回廊くらいで、絵画館も、ハナちゃんにとっては、えらくちっこいシャトーくらいにしか見えないのかも！

え？　だったら、リコたんの仕事場は？　まさか、犬小屋？
もしかして、シャンボール城の犬小屋は、もっと広かったりして。
うーん、リコたん、頑張りますぅ！
5500万m²は無理だけど、でも、シャンボール城の片鱗を匂わせるような、お部屋が借りれるように！
もしかして、ハナちゃんが、壁紙剝がしたり、畳をむしるのは、その下から高級なタペストリーや絨毯が出てくるのではないかと思ってたのかしらん？
確かに、シャンボール城のお部屋には、王家の紋章の入った最高級の絨毯が敷かれ、また壁には絵巻のような、タペストリーがかかっていたのでね。
まあ、紋章入りとはいかないまでも、なんとかペルシャ絨毯くらいは敷けるようにちと、というか結構目標高めに設定して、仕事に励むしかないわな！

おお！　良い心がけです。
現状に満足することなく、今より高い生活レベルを目標値に掲げる――それは豊かなマネーライフ向上への第一歩ですから！