シオリーヌさん
堅苦しくなく全年代が学べる“性の教育コンテンツ”を普及させるために、「助産師」 かつ 「性教育YouTuberシオリーヌ」として活動中。
「性の話をもっと気楽にオープンに」というモットーのもと、YouTubeや講演、ブログなどで性教育や性の悩み、正しい知識について発信している。
全国の大学や保育園などで、実際に講師としても活躍中。人には言えない悩みなどを気軽に話し合う場を定期的に設けているほか、昨今のセクハラ問題についても声を上げている。
Twitter @shiori_mw
深刻なセックスレス問題。大切なのは価値観のすり合わせ
日本では恋人や夫婦などパートナー間のセックスレスが増えています。場合によっては、離婚にまで至るケースもあるとか。この問題について、シオリーヌさんはどうお考えですか? 初っ端からいきなりシリアスな問題ですみません!
シオリーヌ いえいえ。こういうお話をするのが私のライフワークですから。
そうですね。一般的に日本人の多くは、“性について人とコミュニケーションをとる”という行為が非常に苦手な印象が見受けられますね。
例えば、パートナー間で「今日は何が食べたい?」だとか「どこに行きたい?」だとか、そういう話は何の抵抗もなくできるんです。
ですが、どういうわけかセックスについてのテーマになると、話し合う機会はめっきり減ってしまうのが現状です。
本当は、「どういうことがしたい/したくない」だとか「今はこういう気持ちだからしたくない」と、きちんと言葉にして相手に伝えることができれば、セックスレス問題が深刻になってこじれてしまう前に、何らかの対策が打てたかもしれません。
シオリーヌさんは自身のYouTubeチャンネルで「性的同意」についても語ってらっしゃいます。セックスレス問題とも何か関連がありそうです。
シオリーヌ はい。とにかく“オープンに話しにくい”という雰囲気が「性的同意」の妨げになっている気がします。
特に問題が生じるのは、“断る”ときです。
「断ったら気まずくなるのではないか」という不安から、なかなか素直に気持ちを伝えられない。その結果、お互いに我慢して応じてしまう……。
根底にあるのは、「夫婦/カップルだから、セックスしなければならない」という強い思い込みや不安です。
最初はお互いがちょっとずつ我慢して、相手の要望を受け入れるんです。
でも、そんな性生活は長くは続きません。当然、我慢の限界は来ますよね?
そうして自然とセックスレスになっていくわけですが、究極的には離婚や別れに発展する場合もあります。
その“我慢の限界”は急に現れるものなんでしょうか?
シオリーヌ ええ。それは、表面上は急にやって来るように見えます。
相手の方は何が何だか分からず戸惑ってしまうケースも多いようです。
そこまで行ってしまう前に何か行動を起こすことが重要なんです。
どちらかが違和感を覚えている時点で、ちゃんと話し合うことができればいいですよね。
そもそも人間はみな違う生き物ですから、お互いにとってのベストは絶対に違うはずなんです。
丁度よい頻度、そしてどのくらい時間をかけるのか……。
なるほど。それこそ共働きだったりすると、お互いにスケジュールを合わせるだけでかなり大変そうです。
シオリーヌ 今の日本人はめちゃくちゃ忙しいですからね。
夜遅くまで働いて、朝早くから仕事に出かけ……。
そうなると仕事でお互い疲れている中、そもそもセックスにあまり時間をかけられないという問題もありますよね。
だからこそ、お互いの価値観を普段から対話ができるという関係性を築いていくことが大事だと思っています。
私は仕事柄、色んな方と性についてお話することがたくさんあるのですが、セックスに対する価値観って本当に十人十色なんだということを痛感させられます。
例えば、「1度始めると1~2時間くらいは続けてくれないと愛情を感じない」という人や、「サクッと30分くらいで終わってもOK」という人、また「週に1回で十分」な人もいれば「週に2~3回はないと寂しい」人もいます。なおかつ、その日の気分や体調によっても左右されるので、セックスの価値観とは本当に複雑なものなんです。
そうなると、お互いの価値観がまるっきり異なったとして、どちらか一方が我慢するのは絶対に違いますよね。
シオリーヌ まさにそうなんです。「お互いがきちんと納得した上で、異なる価値観をどこまですり合わせられるか」、これが重要なんです。
なるほど。「前向きな妥協」とも言えそうですね。