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「怖がらせ教育」に意味はあるのか？

シオリーヌ　日本の性教育の問題点って、本当に「怖がらせ教育」に尽きると思うんですよね。

少しハードだなと感じる教育方法があるんですが……。それは、中絶についてお話をするときです。
学校によっては、中絶をするときのエコーの映像を見せる所があるんです。

それは一体どんな映像でしょうか？

シオリーヌ　中絶とは、子宮内で後に胎児や胎盤になっていく部分を吸引するなどといった医療処置のことです。
その医療行為を生徒たちに見せるのですが、その映像が若干リアルすぎるといいますか……。

エコー映像を見せながら”赤ちゃんが逃げようとしている”などのように、根拠のない意味づけを伝えられることがあるようなんです。
必ずしもそういう現象を伴うわけではないんです。おそらく偶然撮られた映像だとは思うのですが……。

なるほど。確かにちょっと直視しづらいかもしれません。

シオリーヌ　逃げようとしているように見える映像を見て、生徒が間違った意味づけや解釈をしてしまう可能性も否定できません。
中絶に対して偏ったイメージを持つ子が増えるのは、その子が大人になったときに選択肢を狭めることになるかもしれません。

生徒よってはトラウマになる子もいるかもしれませんね。学校側は生徒にセックスをしてほしくないと考えているんでしょうか？

シオリーヌ　そういうわけでもないとは思いますよ。でも、「学生のうちはセックスをしないほうがいい」というメッセージを与えているように感じるところはありますよね。

子どもを怖がらせてセックスをさせないように誘導するのは危険なことです。
セックスにはコミュニケーションという側面もあるんです。だから、パートナーとセックスをしたいと感じる子も多くいるでしょう。
学校や周りの大人がセックスを禁止するような教育をしていると、もし何かトラブルが起きたとしても、子どもたちは誰にも相談することができなくなってしまうかもしれません。

セックスに関して過剰に怖がらせられることのない、正しい知識を身に付けたいものです。

シオリーヌ　一般的に、学生時代はセックスへ関心が向かい始める時期でもあります。
それは自然な兆候ですし、パートナーとセックスするかどうかを決める権利は本人同士にあります。「まだ早い」と誰かが決めつけて、一方的に遠ざけさせるのもおかしな話ですよね？
怖がらせ教育で、”そもそも教えない”方針をとったとしたら……。
学生たちは、友人同士の体験談やネット情報などから、間違ったセックスの情報を信じてしまう危険性もあります。
だから、学校や医師などの外部の専門家が、セックスについて具体的な正しい知識を教える必要があると私は痛感しています。

生徒一人ひとりをとっても、性への関心や考え方、パートナーの有無など、本当に十人十色です。
いつかセックスをするとき、またはいまセックスをする特定の相手がいるならば、自分の意思でセックスについて考え、多くの選択肢から最善の方法を選び取れるようになってほしいと願っています。

よりよい性教育のために、今後どのような施策が行われればよいのでしょうか？

シオリーヌ　まず、国や学校には『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』を参考にした教育を進めてほしいと願っています。

国際基準だと、中学生までで妊娠や避妊方法、中絶、身体の生殖機能など、基本的なことはすべて教え終わっていることになっています。
高校生になると、その上で「性的合意の重要性」や「性的欲求の違い」について、さらに踏み込んだ教育を受けるます。
さらに「自分のパートナーとの関係性」も学ぶんですよ。

「性的合意」や「パートナーとの関係性」は、それが発端でセクハラやセックスレス問題も起こり得るわけですから、いかに教育の重要度が高いかを痛感します。