株価などの上昇、下落に関わらず、どのような相場環境においても利益を追求するヘッジファンド。プロ向けの商品と思われがちですが、実は個人が投資できるヘッジファンドもあります。本記事では、ヘッジファンドの基本情報とともに、個人が投資する方法を紹介します。
- ヘッジファンドは限られた人に募集をかけて運用を行う私募ファンド
- 相場が下落する局面でも利益を追求する「絶対収益追求」が特徴
- 優れたヘッジファンドは口コミで広がる傾向。興味があればFPなどに相談を
公募投信と異なりヘッジファンドは私募
一般的に銀行や証券会社などで販売されている投資信託は「公募投信」と呼ばれ、公に募集されている金融商品となります。一方、ヘッジファンドは限られた人に募集をかけて運用を行う「私募」ファンドです。
従来、私募ファンドは機関投資家と呼ばれるプロの大口投資家や、一部の富裕層を中心に利用されてきました。理由のひとつは、ヘッジファンドを含む多くの私募ファンドは、広く資金を募って残高が大きくなりすぎると機動的な運用が難しくなり、投資家から期待される利益を上げにくくなるからです。しかし、最近では一定の条件を満たすことで、一般人が投資できるヘッジファンドも増えてきています。
相場の上げ下げに関係なく利益を追求
ヘッジファンドの特徴は、相場が下落する局面でも利益を追求する点にあります。
通常、公募投信のほとんどは、相場の上昇局面でなければ利益が得られません。なぜならば、株式などを購入することで値上がりを期待する商品だからです。
それに対し、ヘッジファンドは先物取引や信用取引を活用して、空売りなどを行います。通常の株式投資は「買って、値上がりしたら売る」という手順で利益を狙いますが、空売りはその逆で、「売り」から入って後で購入しなおす手法です。「売って、値下がりしたら買う」という手順なので、空売りした資産が下落すればするほど利益が大きくなります。
ヘッジファンドは空売りを積極的に行うことで、相場の下落局面でも利益を狙っていくのです。どのような相場環境においても利益を出す手法のことを「絶対収益追求」と呼びます。
一方、公募投信のほとんどが「相対収益追求」になっています。相対収益追求とは公募の投資信託が設定したベンチマークとの連動や、ベンチマークを上回る成果を目指すことです。ベンチマークには、国内株式であればTOPIXのような、市場平均を表す指標がよく選ばれます。
例えば、日経平均株価をベンチマークとし、日経平均を上回るパフォーマンスを出すことを目指す投資信託の場合、その投資信託の価格が下がって損失が発生したとしても、日経平均株価を上回るパフォーマンスが出ているのであれば、投資信託の運用は成功していることになります。
なお、ヘッジファンドの報酬体系は、公募投信と異なります。通常の公募投信は、購入時の手数料と保有期間中の残高に応じた手数料(信託報酬)を支払うことが一般的です。ヘッジファンドの報酬体系は、収益額に応じてファンドマネージャーに支払われる成功報酬タイプがほとんど。ヘッジファンドの成果はファンドマネージャーの収入へ直結するため、本気の運用が期待できるのです。
優秀なヘッジファンドは口コミで広がる
運用成績の良いヘッジファンドは、ネットなどで大々的に募集を行わなくても、投資希望者が多く、資金が集まりやすい傾向にあります。そのため、優れたヘッジファンドはファイナンシャルアドバイザーなどの口コミで広がっていくケースが一般的です。
インターネットで検索すると、ヘッジファンドを自称する怪しいファンドも存在します。特に注意が必要なものが、リスクがないとうたっているものや、良いことしか書いていないサイトです。運用商品には必ずリスクとリターンがあり、高いリターンを得るためには高いリスクをとる必要があります。リスクなしで高いリターンを得られることはまずないと心得ておきましょう。
ヘッジファンドに興味がある人は、資産運用の専門家に相談することをおすすめします。