身近に親族がいない「おひとりさま」も決してひとりで生きているわけではなく、いろいろな人の支えがあって毎日を生きています。自分を支えてくれた「身近な他人」にお礼として財産を分け与えたいと思ったとき、贈与税はどうなるのでしょうか?

  • 贈与は年間110万円までなら贈与税はかからない。親族間でも他人間でも同じ
  • 不動産の贈与でも非課税枠は同じだが、評価方法や固定資産税などの問題がある
  • 贈与税の非課税枠を廃止する動きもあるが、少なくとも2022年中は大丈夫

贈与税の110万円の非課税枠は他人間でも使える

親族が遠くにいるおひとりさまでも、日常生活の中でお世話になっている方、もしもの時に頼れるご近所さんなど、血縁関係はなくても身近な他人様がいらっしゃると心強いですね。

そんな普段お世話になっている方に、何らかの形でお礼がしたい。遠くにいて顔も見たこともない相続人ではなく、顔見知りで自分を大切にしてくれている方に少しでも財産分与がしたい。そんな時、どうしたら税金を払わずにお礼をすることができるのでしょうか?

「財産を差し上げたいけれど、そこに税金が発生するならもったいない」
「税金を払ってまで贈与をしたくない」

こんなふうに考えて、お礼としての贈与をすることにためらってしまう方もいるかもしれません。
そんな場合には、贈与税の非課税枠110万円を利用しましょう。

人にモノやお金を差し上げる行為を「贈与」と言いますが、この財産の移転に関してかかる税金が贈与税です。そしてこの贈与税は暦年ごとに計算されます。つまり贈与を行った日の属する1月1日から12月31日までの1年間に贈与を受けた財産の合計額により、財産をもらった人が税金を課税されるわけです。財産を与えた側には税金はかかりません。

非課税枠とは、贈与を受けた人がその同じ年中にもらった財産の合計額が110万円以下であれば税金がかからないということです。
一般には贈与は子どもなど親族が対象の場合が多く、他人に財産を分けることは少ないため、贈与税の110万円の非課税枠は親族間の贈与の場合しか使えないと考えている方も多いと思いますが、この非課税枠は他人間の贈与でも使えます。

贈与税の計算と税率(暦年課税)(国税庁)

贈与税の非課税枠がなくなる?

現金ではなく不動産の贈与はどうなるの?とお感じになった方もいらっしゃるかと思いますが、不動産の贈与でも110万円の非課税枠そのものは使えます。

ただし、不動産の場合はその財産の「評価方法」という問題があります。また、不動産は贈与後その財産をもらった方に対して、登記のための「登録免許税」や「不動産取得税」という別の税金が課税されるうえ、その後も毎年「固定資産税」がかかります。気軽に贈与しやすい、もらいやすい財産はやはり現金でしょう。

現金
不動産の贈与でも非課税枠を使えるが、贈与後のことを考えたらやはり現金の方が扱いやすい

しかしこの110万円の非課税枠、数年内には改正でなくなるという噂を聞きますが、令和3年12月に閣議決定された「令和4年税制改正大綱」では具体的な非課税枠廃止の日程について書かれていませんので、とりあえず令和4年(2022年)中は大丈夫です。

余談ですが、昔、税理士事務所に勤務していた時代に、顧客だった銀座のクラブの従業員さんが常連のお客様から8千万円いただいたという話を聞きました。バブルの頃で、その時代の贈与税の非課税枠は60万円でしたが、「税金払ってもいいから誰か私に8千万円くれないかしら」などとヨコシマな妄想をしたことがありました。

バブルが終焉して不景気時代に入った時、お金持ち高齢者層から若年層への速やかな財産移転を加速をさせるために非課税枠が60万円から110万円に引き上げられたのですが、税法の立法趣旨は時代背景とともに変化し、今は広げた非課税枠をゼロにするべきと言われる時代です。

もし、親族ではないお世話になっている方に少しでもお金でお礼をしたいとお考えの方は、令和4年中の贈与をお考え下さい。

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