2021年8月16日にはNYダウが史上最高値となる3万5625ドルをつけました。昨年からの株高は、コロナ下で行った各国の金融緩和政策が起点となっており、今後アメリカの金融政策が引き締めに動いたときには、市場は大きな調整局面を迎えることも懸念されています。個人投資家は来るべき調整局面にどう対処すればよいのでしょうか?具体的な方法を考えてみましょう。

  • 足元の株高はそう遠くない将来に大きな調整局面を迎えるはず
  • 暴落に備えるにはキャッシュ比率を高めておくことが重要
  • 最悪の打ち手は、下落相場で積立投資をやめてしまうこと

コロナ相場は「オワコン」。来るべき暴落に備えよう

2020年3月のコロナショックでは、世界中の株式市場が大きく下落しました。しかし、各国が迅速に金融緩和に動いたこともあり、振り返ってみれば、コロナショック以前を上回るV字回復を果たしました。株高は、2021年になってからも続き、2月には1990年8月以来、約30年ぶりに日経平均株価が3万円台を回復しました。7月にはNYダウが史上初めて3万5000ドルをつけるなど、株高はいまだ継続しています。

しかし、歴史を振り返ってみると、株式市場は上がったり下がったりを繰り返すもの。特にコロナショックのように暴落から急激に上昇した相場は、実体経済以上に株価が上昇している可能性が高く、どこかで必ず調整局面、つまり下落する時期を迎えるでしょう。今回もそう遠くない将来に、世界の株式市場が大きな調整局面を迎える可能性があります。

コロナが収束し、経済が正常化に向かえば、各国の中央銀行は国債の買い入れの縮小や、政策金利を上げるなど、金融緩和は引き締めに動きます。この際に株式市場に大きな影響が出るのは免れないでしょう。いずれやってくると思われる株式市場の暴落にどのように備えればよいか、賢い方法を紹介していきましょう。

対策①~キャッシュ(現金)の割合を増やす

暴落が起きる前にキャッシュ(現金)の割合を増やしておくことが得策です。株価が高いうちにいったん利益確定して、今持っている株式や投資信託などを整理してもいいかもしれません。株価の下落が始まってすぐに売り抜けられればそれほど影響はないかもしれませんが、暴落がいつ起きるかは誰にもわかりません。それならば、まだ株価が高値圏にあるうちに、全部でなくてもいいので、ある程度売却しておくというのも考え方の一つです。

保有株式をどれくらい売却するか、またはキャッシュの比率をどれくらいにするかは、人それぞれ異なるので一概にはいえません。ただし、資金に余裕があれば、安値のタイミングで再度株式を買いつけることもできます。戦略的にキャッシュ比率を多めにしておいてもいいでしょう。

キャッシュポジションを増やす
暴落に備えるには、戦略的にキャッシュポジションを高めておくのもアリ

対策②~暴落で「上昇する」銘柄を買っておく

市場が下落局面になると価格が上がる金融商品があるのをご存知でしょうか。例えば、東京証券取引所に上昇するETFの中でも「インバース型」と呼ばれるものがこれに該当します。

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レバレッジ型・インバース型ETF銘柄一覧(日本取引所グループ)

インバースとは「逆」という意味で、連動する株価指数が上昇すると、インバース型ETFの価格が下がり、指数が下落すると価格が上がる設計です。下落局面で現物株や通常のETFを買い持ちしていても収益はでませんが、インバース型ETFの特徴は、下落すれば利益が出て、なかには2倍のレバレッジをかけられるETFもあります(ダブルインバース型)。
株式市場の下落が見込まれるけど、手持ちの株式を手放したくないといった場合には、暴落が始まる前にインバース型商品を仕込んでおけば、含み益と含み損が相殺されて、暴落によるダメージを軽減できる可能性があります。

投資信託にも、「ベア型」と呼ばれる同様の仕組みの金融商品があります。

下げ相場で利益を狙う投資① ベア型ファンド

株取引の上級者なら信用取引で儲けることも可能でしょう。価格が下落する前に空売りして暴落後に買い戻せば利益が期待できます。ただし、信用取引には、専用口座の開設が必要ですし、保証金や証拠金を積む必要があります。保証金が不足すると追加で保証金を預ける必要がある(=追証)など、ハイリスクで上級者向けの取引といえます。したがって、初心者が価格下落局面でも利益を出すなら、リスクが限定されているインバース型ETFやベア型の投資信託のほうがいいかもしれません。

暴落時にやりがちな最悪の打ち手は?

暴落時に初心者がやりがちな失敗が、積立投資をやめることです。
積立投資は毎月同じ額を購入していくため、価格下落時は「安くたくさん買うチャンス」です。投資信託の価格が下がると不安に感じる気持ちは分かりますが、下落局面で淡々と積み立てを続けるのが積立投資で成功するコツだと認識しておきましょう。

価格下落時の積立投資についてはこちらの記事をご覧ください。

つみたてNISAで損切りはダメ! そのワケは?

積立投資でなくても、暴落時は株のバーゲンセールといえます。明らかに売られ過ぎの株式や、長期的には上昇が見込まれる銘柄であれば、お得に仕込む絶好のチャンスです。

株のバーゲンセール
暴落時は株のバーゲンセール。お得に仕込むチャンスでもある

株式投資で成功する人は、暴落時の対応が上手な人といっても過言ではありません。株価が下がったからといって落ち込まず、チャンスと捉えることが投資で成功する秘訣といえるかもしれません。