年末が近づき、来年の投資戦略を考え始めている方も多いでしょう。その際、投資非課税制度の見直しは大きなポイントとなります。今回は、NISAでの運用の見直し方法について、ファイナンシャルプランナーの恩田雅之さんが解説します。
- 投資枠に余裕があれば、各NISA口座内で投資信託や個別株の変更が可能
- 同一金融機関内で一般NISA⇔つみたてNISAを変更するには勘定変更の手続きを行う
- 金融機関の変更は2つの金融機関で手続きが必要。早めの対応を
NISA見直しの方法は大きく分けて3つ
年末が近くなり、来年の投資戦略を考え始めている方も多いかと思います。
今回は、NISAでの運用の見直し方法についてみていきます。見直しの方法は、大きく分けて3つになります。
- 利用している各NISA口座内での投資信託や個別株の銘柄変更
- 同一金融機関での一般NISAからつみたてNISAへの勘定変更、つみたてNISAから一般NISAへ勘定変更
- 現在の金融機関から他の金融機関へ変更
以下、それぞれの見直し方法についての手続き仕方や注意点についてみていきます。
各NISA口座内での投資信託や個別株の変更
各NISAには年間の投資枠が設定されています。一般NISAは年間120万円、つみたてNISAが年間40万円です。
投資枠に余裕があれば、年の途中でも新たな投資信託や銘柄の追加が可能です。その年の投資枠に余裕がない場合は、翌年の新たな投資枠を活用して銘柄の変更をすることになります。こちらの見直し方法は、金融機関との書類等での手続きがないので、時間がかからず運用の見直しを行うことができます。
注意点としては、各NISAには年間投資枠の制限があるため、現在保有している投資信託や個別株売却し新たな投資信託や個別株を購入するスイッチングには不向きである点があります。
同一金融機関内での一般NISA⇔つみたてNISAへの変更
一般NISAからつみたてNISAへの変更、つみたてNISAから一般NISAへの変更は、勘定変更を行うことによりできます。1月~9月までに勘定変更を行った場合は、当年中の勘定変更ができます。10月~12月までに行った場合は、翌年に勘定変更になります。勘定変更より年単位での変更が可能です。ですから、2021年は一般NISA、2022年はつみたてNISA、2023年は一般NISAといった運用もできます。
ただし、年によって別のタイプのNISAで運用しますので、非課税期間の確認など、口座管理が煩雑になる点に注意が必要です。
手続き方法は、勘定変更の申し込みにより郵送されてくる「非課税口座異動届出書」を提出することで変更できます。注意点としては、変更する年に変更前にNISAで買い付けを行っていた場合には、その年の変更はできない点があります。翌年の変更でも、投資信託のつみたて買付や分配金再投資をしていた場合に勘定変更ができないこともあり、この変更を行う時にはご自身が利用している金融機関によく確認してから手続きを進めるようにしましょう。
現在の金融機関から他の金融機関へ変更
NISAやつみたてNISAには、年単位で行える金融機関の変更という見直し方法もあります。これから投資したい投資信託が現在NISAで利用している金融機関のラインアップにはなく他の金融機関にある場合、銀行でNISA口座を開設したが個別株やETFへ投資したいので証券会社に変更する場合などに利用されます。
金融機関を変更するには、変更したい前年の10月1日から変更したい年の9月30日までに手続きが必要です。こちらも、勘定変更と同じように、当年の変更は1月から9月まで、翌年の変更は10月から12月までになります。ただし、変更したい年に変更前の金融機関のNISA口座で買い付けが行われていると、上記の勘定変更同様に金融機関の変更ができません。
また、金融機関変更後も以前の金融機関のNISA口座に残高は継続して保有することができますので、複数の金融機関で運用を継続することになります。注意点として、ロールオーバーは同一の金融機関の口座でしか行えないため、ロールオーバーをするにはロールオーバーを行う金融機関へ変更しておく必要がある点が挙げられます。
変更の手続きは、以下の通りです。
- 現在のNISAで利用している金融機関に「金融商品取引業者等変更届出書」を提出して「勘定廃止通知書」を受け取る
- 今後利用する金融機関に「勘定廃止通知書」と「非課税口座開設届出書」を提出する
今後利用する金融機関の口座開設をしていない場合は、先に特定口座や一般口座の口座開設が必要です。2つの金融機関で手続きが必要になるため、翌年の初めからの利用を考えている方は早めの対応が必要になります。
以上、NISAの3つの見直し方法をみてきました。