将来の教育費やマイホームの購入費用、老後資金を貯めるために、長期の資産形成に向いているつみたてNISAを利用して投資信託を購入している方も多いのではないでしょうか。つみたてNISAは、家計の状況などに応じて毎月の積立金額を変更することが可能です。そこで今回は、つみたてNISAの金額変更について解説します。
- つみたてNISAは、年間40万円以内なら積立金額はいつでも自由に変えられる
- 現金が必要になったときは投資信託を解約せず、まずは積立金額を減らす
- 市場環境が変わったら、つみたてNISAの商品ごとの積立金額を変更してみる
毎年40万円以内なら、積立金額はいつでも変更可能
つみたてNISAとは、年間40万円まで非課税で投資ができる国の制度です。購入した投資信託を非課税で運用できる期間は最長20年と、一般NISAよりも長く設定されているため、長期の資産形成に向いている制度といえるでしょう。
つみたてNISAの投資信託は販売手数料がゼロで、長期の積立・分散投資に向いていると金融庁が認めたものしか対象になっていません。運用経験がほとんどない、投資初心者でも使いやすい制度といえるでしょう。
また、つみたてNISAは、年間40万円の範囲内であれば、毎月(もしくは毎週・毎日)の積立金額を自由に変更できる点も魅力の一つです。上限の40万円に近い金額で積立投資を継続すれば、より効果的な資産形成につながることは間違いありませんが、毎日の生活を苦しくしてまで、積み立てる金額を大きくする必要はないでしょう。
同じく投資の利益が非課税となる制度として、iDeCo(個人型確定拠出年金)があります。iDeCoは最大で65歳まで非課税で投資できるため、年齢によってはつみたてNISAよりも長期間非課税で運用することが可能です。また、iDeCoは掛け金が全額所得控除の対象となるなど、つみたてNISAにはないメリットもあります。
ただし、iDeCoは掛け金の変更が年に一度しかできないほか、拠出した金額は原則60歳まで引き出せないなど、年金制度ならではのデメリットもあるので注意が必要です。つみたてNISAとiDeCo、それぞれの制度のメリットとデメリットを把握して利用するようにしましょう。
つみたてNISAではどのようなタイミングで積立金額の変更を検討すべきなのか、解説していきます。
金額変更のタイミング1 現金が必要になったとき
つみたてNISAでは長期間にわたって投資を続けるため、運用中にまとまった現金が必要になるケースもあるでしょう。現金が必要になるケースとしては、結婚・出産・マイホームの購入、病気やケガなどが考えられます。
現金が必要になったときは、すでに購入した投資信託の解約を考える前に、投資する金額を減らすことがおすすめです。
例えば、毎月2万円を積み立てているのであれば、毎月1万円に変更することで、生活に少し余裕が生まれます。完全に積み立てをやめてしまう手もありますが、積立投資は定期的に投資をすることで、投資信託の購入単価を平均的に安くできる効果が期待できます。投資を継続しなければ積立投資のメリットが得られないため、少しの金額でも継続するほうがよいでしょう。
積み立てる金額を減らしてもお金が足りない場合は、今まで投資をして積み立てた投資信託を解約することも可能です。ただし、解約して利益が出るか損失となってしまうかは相場によります。お金が必要になる可能性があることが前もってわかっている場合は、あらかじめ複数の投資信託に分散して投資をしておき、利益が出ているものから中心に解約を検討してみてもよいでしょう。
金額変更のタイミング2 市場環境が変わったとき
市場環境が変わったときも、積み立て投資の金額変更を検討するタイミングです。つみたてNISAで購入できる投資信託には、景気変動の影響を大きく受ける株式を中心に組み入れているファンドや、景気変動と逆の値動きをしやすい債券中心のファンドなど、さまざまな投資信託があります。
長期的に景気が悪化していくことが見込まれる局面では、株式の比率を減らし、債券の割合を増やすことで、資金を守れる可能性が高まります。逆に、将来景気が回復することを見込んで、株価が低迷しているときにあえて株式の比率を増やす方法もあるかもしれません。
景気の局面によって、投資信託ごとの積み立て金額を変更することで、より大きな利益を得られる可能性が広がります。
大切なのは「売らずに積立投資を続けること」
つみたてNISAで一番大切なことは、できるだけ売らずに投資を続けることです。投資で得られた利益が20年間非課税になることが、つみたてNISAの最大のメリットです。途中で売却してしまえば、そのメリットを捨てることになります。
積立投資は、相場が下落する局面でも投資を継続することが、長期的には利益につながるといわれています。長期の資産形成を行うためには、一時的に積み立てる金額を減額することはあっても、投資をやめず、解約もできるだけ避けたほうがよいでしょう。