宮崎県延岡市で保険業や資産運用のアドバイスに携わる小田初光さんが、地方で暮らす生活者のリアルな視点で、お金に関するさまざまな疑問に答えます。今回のテーマも「中古マンション投資」。修繕と積立金、管理費と管理会社など、具体例をもとに重要なポイントを解説します。

  • 「積立金総額」と「大規模修繕」は重要。不動産会社に問い合わせよう
  • 共用部分の管理費も事前の確認が必要。物件管理は信頼できる管理会社に任せる
  • 購入時は価格交渉も大事。値引きを勝ち取ろう

修繕箇所が多い中古マンションは「積立金」が重要

【質問】
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前回に引き続き、中古マンション購入のアドバイスを、ある不動産会社情報(下図参照)を元にして解説していきます。
今回も、建物と賃貸状況などについて、具体的に深掘りしながら話をしていきましょう。

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前回の記事の中で、オーナーが毎月負担しなければならない積立金は「総戸数の多さで、積立金の負担率が変わってきますよ」と話しました
マンションの総戸数とともに、もうひとつ押さえていただきたいのが、その他項目欄の「積立金総額」と「大規模修繕」になります。

中古マンションになると、少なからず修繕箇所が出てきます。この修繕が大規模になると、もし積立金が十分貯まっていない場合、別途、マンション全所有者が修繕費を負担しないといけません。これでは「マンションを購入したのは良いけれど、いきなり負担のお願い?」と困惑してしまいます。利回りどころではありません。

①積立金がどのくらい貯まっているのか?
②大規模修繕の予定はないか?

この2点は、中古マンションを購入する前に絶対に押さえておく必要があります。不動産会社経由で、管理会社に確認してください。
また、修繕費の不足分を充足させるために、積立金に関する規約の改定により、マンションの、所有者が毎月支払う積立金の増額もありえますので、

③積立金を増額する予定があるか?

についても、同じく問い合わせれば、情報を仕入れることができると思います。もし、このような情報も出せない不動産会社であるならば、最初から別会社に相談したほうが賢明だと思います。

毎月支払う管理費の額と、管理会社がどこかを確認

そして、マンションの所有者にとってもうひとつの負担が「管理費」になります。上の例では、月額8,100円となっています。

管理費とは、建物を購入した後に、マンション自体を維持するために共用部分の設備、点検、清掃、共用部分の火災保険、メイン管理会社の報酬にかかる費用になります。大規模なマンションになると管理人を配置することもありますが、その場合は管理人の人件費もかかります。共用部分が大きければ、その分だけ管理費は高くなります。

上の物件情報の例では、「建物」の「管理形態」のところを見ると「全部委託管理」となっています。
全部委託管理とは、専門的・法律的なことや、クレーム対応なども含めたほとんどの管理業務を管理会社に委託する形態です。
今回の例のような中古マンションでは、初めから管理形態が全部委託方式と決められていますので基本的には安心ですが、実際に管理業務を行う管理会社がどこか、会社の評判を事前に調べておくことも必要かもしれませんね。

建物のメンテナンスや入居者募集はオーナーの責任

上述の通り、中古マンションの共用部分の管理はメイン管理会社が行ってくれますが、区分所有の建物部分の管理はすべて、オーナー自身の責任で行わなければいけません。具体的には、「建物のメンテナンス」「入居者募集」です。

入居者がいるうちは家賃収入が入ってくるからいいのですが、退去が決まったら次の入居者の募集をして、退去時には建物のメンテナンスをしなければ、空室になって家賃収入が途絶えてしまい、せっかくの不動産運用が台無しになってしまいます。
マンションの適切な運用を行うためには、自分専用の管理会社を見つけることが大切です。特に、ご自宅から遠く離れた他県の物件を運用する場合は、管理会社に委託することは当然の経費だと考えて、ケチケチしないようにしましょう。

管理費用は月額家賃の約5%が目安と思えばいいでしょう。オーナーの仕事をすべて代行してくれての金額ですから、安いものです。
前回までの記事で「実質利回り」について話しましたが、最終的には、管理費用を織り込んだうえで、どのくらいの収入になるかという計算が必要です。
管理会社といい関係が持てれば安心です。専門的なこと、法律的なことから入居者の賃貸契約まで、困ったことがあれば相談に乗ってくれるでしょう。
また、すべての業務を管理会社に代行してもらうのではなく、入居者募集や専門的な手続きなどのみを委託する方法(一部委託)もあります。

もうひとつ触れておきたいのが「サブリース契約」。これは新築物件や一棟アパートなどに多く見られる形態です。物件の部屋や一棟アパートを管理会社が一括して借り上げて、入居者に貸すという形態になります。「家賃保証」とも言われる委託方法です。
オーナーは空室リスク、滞納リスクから解放される反面、入居者がなかなか決まらない場合は家賃値下げを迫られるなど、別の大きいリスクと向き合うこととなります。最近ではサブリース契約にまつわるトラブルが増えており、テレビで特集が組まれるなど社会現象にもなっているので、不動産オーナーはデメリットも理解のうえで、サブリース会社と契約しないといけません。できれば人口減が厳しい地方物件のサブリース委託は、避けた方がいいのかなと思っています。

建物の値引き交渉は必須

今回はマンションの管理費と積立金を中心に解説しましたが、いかがだったでしょうか?
最後に重要なことがあります。建物の価格交渉についてです。今回の物件情報では、不動産会社担当者からのコメントで「価格交渉できますよ!」とありますが、コメントがなくても、価格交渉はしていきましょう。担当者の裁量にもよりますが、購入時に値引きが成功するかどうかは、後々の運用に必ず影響が出てきます。価格交渉は、少しでも値引き幅が大きくなるよう、努力してください。

次回は、不動産投資の中でもトラブルや問題が多いイメージがある「一棟アパート投資」について解説をしていきます。

(次回は6月5日を予定しています)

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