人気の米国REITに比べ玄人好みな印象を受ける欧州REITですが、価格がコロナ前の水準まで戻りきっていない今だからこそ購入のチャンスかもしれません。本記事では、欧州REITに投資できる4つのファンドを詳しく解説していきます。アクティブファンドもインデックスファンドも網羅していますので、ファンド探しの参考にしてください。
いまだコロナ前の水準に戻らない欧州のREIT
このところ米国REIT(不動産投資信託)が急速に回復しはじめていますが、欧州REITは再度上昇基調にはあるものの、米国に比べるとやや値戻りのスピードが鈍いことは否めません。欧州のREIT指数やそれに連動する投信の基準価額は、まだコロナ前まで戻りきっていないというのが実際のところです。
それでも欧州ではコロナワクチンの接種が進んだことで徐々に経済活動が正常に戻りつつあり、不動産市場は今後も堅調に回復していくことが見込まれています。
以下、欧州REITに投資する国内の投資信託を紹介していきますので、ぜひファンド選びの参考にしてください。
欧州REITを主な投資対象とする投資信託は4本
選べないほど多くの投資信託が設定されている米国REITとは対照的に、欧州REITを対象にした投資信託は限定的です。日本の金融機関で購入できる投資信託は4本しかありません。
4本それぞれ個性がある銘柄のため、違いを詳しく読み解いてみたいと思います。
(データは2021年8月末時点。各運用会社の月次レポート、交付目論見書をもとにMonJa作成)
ワールド・リート・セレクション(欧州)
欧州REITをメインにして運用されている、アクティブ型の投資信託です。主な投資対象国はフランス、イギリス、オランダ、ベルギー、ドイツ、イタリア、アイルランド、スペインなどで、欧州の幅広い不動産にバランスよく投資しています。
同ファンドを取り扱う金融機関は、今のところ証券会社が中心となっています。
投資信託名 | ワールド・リート・セレクション(欧州) |
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運用会社名 | 岡三アセットマネジメント |
純資産総額 | 8.2億円 |
過去1年リターン | 39.40% |
過去3年リターン | 4.51% |
信託報酬(税込み) | 1.65% |
三菱UFJ 欧豪リートファンド(毎月決算型)
こちらもアクティブ型の投資信託ですが、現時点ではヨーロッパ各国REITの割合が60%、オーストラリアREITの割合が40%を基本としており、オーストラリアREITにも多く投資しているため、純粋な欧州REITではありません。
取り扱い金融機関は、2021年9月末時点では三菱UFJ信託銀行(インターネット専用)とSBI証券、楽天証券の3社です。
投資信託名 | 三菱UFJ 欧豪リートファンド(毎月決算型) |
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運用会社名 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産総額 | 26.02億円 |
過去1年リターン | 37.3% |
過去3年リターン | 9.5% |
信託報酬(税込み) | 0.99% |
eMAXIS 欧州リートインデックス
欧州REITの代表的な指数である「S&PヨーロッパREITインデックス」への連動を目指すインデックスファンドです。現時点で購入できる欧州REITの投資信託の中では唯一のインデックスファンドになります。信託報酬の安さは、インデックスファンドならではのものといえるでしょう。
現在は主要ネット専業証券や、MUFGグループの金融機関などで購入できます。
投資信託名 | eMAXIS 欧州リートインデックス |
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運用会社名 | 三菱UFJ国際投信 |
純資産総額 | 5.70億円 |
過去1年リターン | 40.5% |
過去3年リターン | 2.1% |
信託報酬(税込み) | 0.66% |
3つの財布 欧州リートファンド
主要投資対象は欧州のREIT、不動産株式、建設関連株式など、REIT以外の不動産関連株式の組入割合が非常に高いため、純粋な欧州REITファンドではありません。一方で、REITだけでなく3つの軸に分散投資しているという意味では、REIT一本に絞るリスクが分散されているともいえるでしょう。
投資先の国別構成比では、2021年7月末時点ではフランス、ドイツ、スペイン、アイルランドの順となっています。
なお「全日本スポーツ応援ファンド」という愛称がつけられていますが、当ファンドの信託報酬の一部は日本のスポーツ振興のために役立てられることとなっています。
同ファンドを取り扱う金融機関は、2021年9月末時点では安藤証券のみとなっています。
投資信託名 | 3つの財布 欧州リートファンド (愛称:全日本スポーツ応援ファンド) |
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運用会社名 | カレラアセットマネジメント |
純資産総額 | 51.91億円 |
過去1年リターン | 18.30% |
過去3年リターン | -3.30% |
信託報酬(税込み) | 実質1.948%程度 |
直近の運用実績で選ぶなら『三菱UFJ 欧豪リートファンド(毎月決算型)』
紹介した4つの銘柄のうち、運用実績に最も安定感があったのは『三菱UFJ 欧豪リートファンド(毎月決算型)』でした。過去1年ではほかのファンドを下回っていましたが、過去3年のリターンの高さに信託報酬を含めて考えると、現時点では『欧豪リートファンド』に軍配が上がりそうです。
手数料の安さで選ぶならインデックスファンド
手数料の安さでいけばインデックスファンドにかなうものはありません。欧州REITの市場平均への連動を目指すインデックスファンドの『eMAXIS 欧州リートインデックス』は、過去1年リターンでは4本の中で最も高くなっており、信託報酬の低さがその一因となりました。