NISAの目的の一つである「成長資金の供給」の供給先は日本株だと考えられますが、若い方を中心に米国株を購入しているというニュースなどをみると目的から外れた動きをしている印象です。今回は、個人投資家が日本の個別株に投資しづらい要因としてある「単元株」と、その要因を解消する方法の一つである「株式分割」についてみていきます。

  • 2018年10月1日以降、株式取引は全国の証券取引所で100株単位に統一
  • 株価が高くなりすぎると個人投資家は購入しにくい。その問題を株価分割が解消
  • 企業側は株主総会などのコストが増え、個人投資家にとっては端株が発生することも

若い個人投資家は米国株を選ぶ傾向も

金融庁は2014年にスタートしたNISA(一般NISA)の目的として「家計の安定的な資産形成の支援」と「成長資金の供給」を挙げています。

「家計の安定的な資産形成の支援」については2019年に話題となった「老後資金2000万円」を契機として資産形成に関心を持つ人が増え、若い方を中心につみたてNISAを利用する人が増えていますので、目的の沿った動きをしています。

もう一つの目的である「成長資金の供給」の供給先は日本株だと考えられますが、若い方を中心に米国株を購入しているというニュースなどをみると目的から外れた動きをしている印象もあります。

今回は、個人投資家が日本の個別株に投資しづらい要因としてある「単元株」とその要因を解消する方法の一つである「株式分割」についてみていきます

2018年10月1日以降、単元株は100株単位に統一

単元株とは、株式を売買する時の最低取引単位株数のことです。以前は、1000株単位、500株単位、100株単位、1株単位など会社により最低取引単位が異なっていましたが、2018年10月1日以降は全国の証券取引所で100株単位に統一されました。

ですから、通常の株取引で証券会社に注文を出すときは最低100株単位となり、その倍数で売買する株数を決めなければならないことになります。

例えば、

株価1,000円の場合の売買金額は10万円*(1,000円×100株)
株価10,000円の場合は売買金額が100万円*(10,000円×100株)
株価50,000円の場合は売買金額が500万円*(50,000円×100株)
*売買手数料含まず

となります。

個人投資家にとっては、株価が高い銘柄を購入するにはかなり大きな資金が必要になります。

株価分割が行われると個人投資家は購入しやすくなる

売買単位が100株という単元株のルールがある中で、高い株価の企業が個人投資家に自社の株式を購入してもらいやすくする方法の一つとして「株式分割」があります。

株式分割は既に発行済みの株式を分割して株数を増やす方法です。

仮に1:2の株式分割が行われますと100株保有していた投資家は、分割後は200株保有することになります。ただし、分割前の株価で株数が増えるわけではなく、理論的には分割後の株価は2分の1になります。

トヨタ自動車(7203)が2021年9月末に1:5の分割を行ったときは、分割前28日の株価が10,385円、分割後29日の株価は2,052円とほぼ理論値に近い株価になりました。

株価分割を行うことで約100万円必要だった購入資金が約20万円と小さくなり、個人投資家の方も購入しやすくなりました。

株式分割が繰り返されると複利効果の恩恵

株式分割を行うメリットを企業サイドからみると、株価が高くなりすぎて個人投資家が購入しづらくなっている状況を解消する点と株主や株数が増えることによって流動性が増す点などがあります。

投資家サイドのメリットとして、株数が増えることにより配当金が増えることが期待できます。また、保有している企業の株価が値上がった時に一部を売却し利益確保するなど投資戦略の選択肢も増えます

急成長している企業の場合、分割後の株価が上昇し分割前の水準までもどることが期待できます。なかには期間をおいて株式分割を繰り返す企業もあります。

例えば、最初100株保有していた企業が1:2の株式分割を繰り返しますと200株、400株、800株、1600株、3200株と複利の効果で株数が急激に増えていきます。

株式分割を繰り返していくと最初の分割前の株価に戻ることは難しくなりますが、保有株数が急激に増えることによる資産の増加を期待することができます。

株式分割にはデメリットもある

株式分割の企業サイドのデメリットは、株主が増えることによる株主総会などのコストが増えることが挙げられます。

投資家サイドからみると、株式分割の比率(1:1.2とか1:1.5)によっては単位株未満の端株が発生することが挙げられます。単元未満株を売却する場合は、買取請求制度を利用して証券会社に請求することになり、売却価格は買取請求した日の終値になります。

以上、単元株と株式分割についてみてきました。

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