過去の記事でも解説しましたが、老後に受け取る年金額は2年連続で引き下げが決まるなど、将来のお金に関して不安を感じるニュースを耳にすることも増えています。そうした中、老後の備えとして個人年金保険の活用を考える方もいるかもしれません。今回は、個人年金保険の概要を解説していきます。

  • 個人年金保険とは、公的年金に上乗せする私的年金のひとつ
  • 受取方法には大きく、確定年金・終身年金・有期年金がある
  • 積立方法には大きく、定額・変額・外貨建てなどがある

老後に備える個人年金保険の保障内容と種類

個人年金保険とは、公的年金に上乗せで給付を受け取るための私的年金のひとつです。保険料払込期間が終わった後、契約時に定めた5年や10年などの一定期間、年金を受け取れるのが一般的な保障内容です。

個人年金保険は、大きく受取方法と積立方法で種類が分かれます。

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【受取方法の種類】

  • 確定年金:一定期間中、受取人の生死にかかわらず年金を受け取れる。
  • 終身年金:受取人が生存中、一生涯年金を受け取れる。
  • 有期年金:一定期間中、かつ受取人が生存中、年金を受け取れる。受取人が死亡した時点、あるいは一定期間が終了すると年金の受取は終了する。

※終身・有期年金には一定期間中受取人の生死にかかわらず年金を受け取れる保証期間付きのものもある

【積立方法の種類】

  • 定額年金:契約時に将来の受取年金額が確定する。
  • 変額年金:株式や投資信託などにより運用を行い、運用成績によって受取額が上下する。
  • 円建て:保険料の払込や年金の受取を円で行う一般的なもの。
  • 外貨建て:保険料の払込や年金の受取を米ドル・豪ドル・ユーロなどの外貨で行うもの。為替レートの変動によって受取額が上下する。
■個人年金保険の一例
保険会社 保険商品 概要
三井住友海上
あいおい生命
&LIFE
個人年金保険
確定年金(支払期間5年・10年・
15年)と10年保証期間付終身年
金を選択できる
明治安田生命 年金かけはし 保険料払込期間中の死亡給付金
は既払込保険料と同額に抑え、
年金額を多く設計している
ソニー生命 変額個人
年金保険
運用パターンを8種類のタイプか
ら複数選択することができる

※ここでは保険商品の概要を説明しています。商品によっては元本割れのリスクもありますので、保険会社のウェブサイトやパンフレットなどを必ずご確認ください

正しい保険選びは公的保険制度を知ることから

個人年金保険を検討する際に知っておきたいポイント

老後の生活費などを備えるために活用できる個人年金保険ですが、事前に知っておきたいポイントもいくつかあります。

変額年金や外貨建ての場合、運用成績や為替レートによって受取額が変動します。受取額が増えることも期待できますが、反対に払込保険料よりも受取額が少なくなる元本割れが発生する可能性もあります。また、為替手数料や契約・解約時費用など、一般的な生命保険商品ではかからない費用の負担が発生するものもありますので、忘れずに確認しておきたいところです。

受け取った年金は、所得税や住民税、贈与税などがかかります(受取人が誰か、また受取金額によって異なります)。一方で、条件を満たしていれば生命保険料控除の対象となりますので、支払った保険料に応じて一定の所得控除を受けられます。

銀行預金とは違い、支払った保険料を途中で引き出すことなどはできません。その分、強制的に貯蓄を行うことができるので、貯蓄が苦手という人にはメリットにもなり得るでしょう。

老後資金のイメージ
保険は途中で引き出せないからこそ、資金を貯めることができる

ニーズに合わせて備え方の選択をするのが重要

老後の生活費への備えは、個人年金保険以外にも方法はあります。たとえば、同じ生命保険でいえば、死亡保障を備える終身保険にも、貯蓄性があります。

会社で財形貯蓄制度が利用できるのであれば、それを利用して積み立てをする方法もあります。また、私的年金のひとつである個人型確定拠出型年金(iDeCo)も、税制上の優遇措置もあるため、チェックしてみると良いでしょう。

何のためにどれくらい備えたいかを考えながら、自分のニーズと家計状況に合わせて方法を選択してみてくださいね。

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