つみたてNISAの対象となっている投資信託の大半が、株価指数などに連動するインデックスファンド。これに対して、市場平均を上回る成果を目指すのがアクティブファンドです。インデックスファンドが個人投資家の人気を集める中で、アクティブファンドの存在意義とは? アクティブファンドのメリットやリスク、選び方について解説します。
- 市場平均を上回る運用成果を目指して運用するのがアクティブファンド
- 投資する銘柄を厳選することで「超過収益」を狙えるのがアクティブファンドの魅力
- 優れたアクティブファンドを選ぶポイントは「騰落率」「運用方針」など
アクティブファンドとインデックスファンドの違いは?
投資信託は、運用のやり方によって「アクティブファンド」と「インデックスファンド」(または「パッシブファンド」)の2種類に分けられます。この2種類の投資信託には、どのような違いがあるのでしょうか?
違い① 運用形態
インデックスファンドは、市場全体の値動きを表す指標に値動きが連動するように運用が行われます。具体的には、日経平均株価やNYダウといった株価指数、東証REIT指数のようなそれぞれの市場の平均値を表す指数が目標とされます。
これに対して、アクティブファンドは「市場平均を上回る運用成果」を目指して運用を行います。ただし、すべてのアクティブファンドが市場平均に勝てるわけではないので、「継続的に良い成績を出し続けているアクティブファンド」を選ぶことが重要になります。
違い② 組み入れ銘柄
たとえばTOPIXへの連動を目指すインデックスファンドであれば、2000以上の銘柄に分散投資することになり、どの銘柄に投資するかは、ファンドが連動を目指す株価指数などによって自動的に決まります。
これに対して、アクティブファンドはファンドマネージャーと呼ばれる運用担当者が銘柄を厳選するため、ファンドに組み入れられる銘柄の数は数十から100銘柄程度と、一般的なインデックスファンドより少なくなります。ただし、30銘柄の米国株式で構成されるNYダウのように、指数自体の組み入れ銘柄が少ないインデックスファンドもあります。
違い③ 手数料
インデックスファンドは銘柄選択を行わないため、調査や分析のコストがかからず、信託報酬などのコストが安いことが特徴です。このコストの安さが、インデックスファンドが人気を集め、つみたてNISAの対象商品に選ばれている大きな理由です。
信託報酬が相対的に高いのがアクティブファンドです。ただし、手数料が高いから運用が非効率だという単純な話ではなく、手数料を上回るだけの運用実績を継続的に出せていれば、そのファンドはインデックスファンドより運用効率が高いことになります。
「超過収益」を狙えるのがアクティブファンドの魅力
アクティブファンドは、インデックスファンドを上回る収益や運用効率を目指して、ファンドマネージャーが銘柄を厳選します。ファンドの中には、投資対象を旬な業種やテーマに絞って、流行を追い風にして利益を狙うものもあります。
そして、アクティブファンドの中には運用会社やファンドマネージャーが狙ったとおり、市場平均を上回る超過収益を獲得しているものもあります。インデックスファンドへの投資では得られない利益を狙えるのが、アクティブファンドの最大の魅力といえるでしょう。
アクティブファンドはインデックスに勝てない?
アクティブファンドよりインデックスファンドの方が好まれる理由のひとつは手数料の違いですが、もうひとつの理由に、「アクティブファンドはインデックスファンドに勝てない」という“定説”があります。
実際にこの“定説”を裏付ける統計もあります。米国のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスが提供する「SPIVA」というデータによると、2022年9月時点で、過去10年の運用実績では全体の8割ほどのアクティブファンドが市場平均を下回っているということです。
一方で、長年にわたって市場平均を上回り、インデックスファンドより優れた運用実績を上げ続けているアクティブファンドもあります。無数にある投資信託の中から、良いアクティブファンドをどうやって見つけ出すかが、投資で成功する重要なポイントです。
アクティブファンド、どうやって選べばいい?
優れたアクティブファンドを選ぶ主なポイントは、下記の4つが挙げられます。
①騰落率・値動き
②運用方針
③手数料
④純資産総額
最重要ポイントが、①騰落率や値動きなどのファンドの運用実績です。運用実績は、運用会社のホームページで公開している運用報告書(月報など)で確認できます。基準価額のグラフを見て、そのファンドが指標としている指数を上回り続けていれば、優れたアクティブファンドだと判断できます。
②運用方針もぜひ確認しておきたい項目です。こちらはファンドの交付目論見書などに記載されています。運用方針に賛同できるかどうかも、ファンドを選ぶ判断基準となります。
③手数料も重要なポイントですが、株価指数などへの連動を目指すインデックスファンドと違って、アクティブファンドでは手数料が差し引かれたあとの騰落率が何よりも重要なので、手数料の低さにこだわりすぎないことも大切です。
最後に④純資産総額です。こちらもインデックスファンドと同じく、純資産総額が少ないと運用効率が悪くなり、コストは高くなる傾向があります。早期償還(ファンドの運用を終えて換金すること)の可能性も高まるため、純資産総額が少ないファンドを買う際には注意が必要です。