運用コストが高いなどの理由から、長期投資では敬遠されがちなアクティブファンド。しかし、数あるアクティブファンドの中には、コストを優に上回る好成績を収めている投資信託もあります。本記事では、アクティブファンドのメリットと資産形成への活用について解説します。

  • アクティブファンドは、指数を上回る超過収益を狙える。商品選びが大事
  • アクティブファンドは組み入れ銘柄を厳選。優良でない企業への投資を避けられる
  • 長期投資に向かない商品も。自身の投資期間に見合う運用コンセプトかを確認

投資信託は、運用手法によって大きく「アクティブファンド」と「インデックスファンド」に分類できます。つみたてNISAの対象商品の大半が、市場平均への連動を目指して運用するインデックスファンドであり、運用コストの安さで個人投資家の人気を集めています。

どっちがいいの? アクティブorインデックス比較

「資産運用は米国株や世界株のインデックスファンドだけでいい」と言う人もいますが、だからといって、必ずしもアクティブファンドがインデックスファンドより劣っているわけではありません。以下で述べるように、アクティブファンドならではのメリットもあります。

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メリット1 超過収益を狙える

アクティブファンドのメリットといえば、何よりも市場平均に対して超過収益を狙えることにあります。インデックスファンドは、国内株式ならTOPIXや日経平均株価、米国株式ならS&P500のように、特定の指数に連動するように機械的に運用されます。これに対して多くのアクティブファンドは指数を上回るリターンを目指し、人の意思が介在した運用が行われます

ファンドのコンセプトのもとに運用担当者が銘柄を厳選するため、ファンドそれぞれに個性があるのも面白いポイントです。「エネルギー関連」「国内成長株」「SDGs」など、特定のテーマに沿って銘柄を選ぶアクティブファンドもあります。

例えば、大和アセットマネジメント「iFreeActive EV」は、2019年9月から2022年8月末までの3年間で200%超のハイリターンを実現しています。これは、EV(電気自動車)というテーマ設定が時流にマッチし、好成績を実現した分かりやすい例です。

アクティブファンドは、インデックスファンドより大きな収益が狙える半面、ひとたび下落局面になると大きな損失を被るケースもあります。ロシア関連のアクティブファンドなどはウクライナ侵攻の問題によりその価値をほとんど失ってしまった商品もあり、ファンド選びが命運を分けることもあることは知っておきましょう。

メリット2 優良でない企業への投資を避けられる

インデックスファンドは指数への連動を目指すため、ファンドによっては何百、何千もの銘柄が組み入れられているものもあります。分散効果が高いことは、インデックスファンドのメリットともいえるでしょう。しかしその一方、指数に含まれているという理由だけで、業績が悪い、あるいは成長が期待しにくい企業にも投資することになります。

これに対し、アクティブファンドは運用担当者が個別銘柄を調査・分析し、優良と考えられる銘柄を厳選しています。多くのアクティブファンドでは20~50前後の銘柄に集中投資を行い、組み入れ銘柄やその割合は随時変更されます。


アクティブファンドは組み入れ銘柄を厳選。運用担当者の力量が運用成果を左右する

アクティブファンドの運用には人による手間がかかっており、その分コストが高くつきがちです。そのコストを上回る運用成果を出せているかどうかが「インデックスファンドとアクティブファンドのどちらが優秀か」の分かれ目になります。

また、アクティブファンドは一般的に銘柄を厳選しているため分散効果は低くなります。値下がりした際の影響も大きくなりやすいため、運用担当者の力量の見極めが重要です。アクティブファンドの成績をいくつか比較してみると、似たようなテーマのファンドであってもリターンに差が出ていることがあります。過去実績をしっかりリサーチして購入することが大切です。

投資する目的や期間に見合う運用コンセプトか

長期投資には手数料が低いインデックス投資が向いていると考えられがちですが、手数料の負担を優に上回るくらい高いリターンを上げてきたアクティブファンドもあることを無視してはいけません。

アクティブファンドの中でも、特定のテーマにフォーカスするファンドなどは、世の中の動きに左右されやすく、どちらかといえば短期投資向きといえます。その一方で、そもそも短期的なリターンを求めず、長期運用を前提にして将来の大きな成果を目指すファンドも存在します。例えば、アセットマネジメントOneの「未来の世界」シリーズは、長期的に成長が期待される優良企業に投資するというコンセプトのアクティブファンドです。

このように、アクティブファンドはいかなる環境においても超過収益を狙う長期投資向けのファンドから、世の中の流行を追い風にして短期的に利益を狙うファンドまで、その個性はさまざまです。アクティブファンドを選ぶ際は、自身の投資する目的や期間に見合う運用コンセプトかどうかをまずチェックすることが大切です。そのうえで資産の一部に組み入れて、資産形成に活用するのがいいでしょう。

銘柄選択で市場平均に挑むアクティブファンドの魅力

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