気候の落ち着いた秋に入り、紅葉も見ごろが近づいています。秋ならではの自然の美しさを堪能するため、登山やハイキングに出かけることを考える人も多くなるでしょう。しかし、その場合にはしっかりと登山中に遭遇するトラブルへの対策も必要です。代表的な例が、山岳遭難です。

  • 近年増加傾向にある山岳遭難。一部の自治体では救助費用が自己負担になることも
  • 山岳保険は、野外活動中に遭難や急病・ケガなどで救助が必要となった場合に備える
  • 登山を楽しむには、天候や装備に関する適切な知識と、万一の備えが肝心

山岳遭難は年間2,000件以上発生している

警察庁の「令和3年における山岳遭難の概況」によると、平成25年以降山岳遭難は毎年2,000件以上発生しています。令和3年は2,635件と、平成30年に次いで発生件数が多くなっていました。

【図表1】山岳遭難の発生件数
山岳事故の発生件数
出所:警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」を基に作成

また、令和3年のデータでは、遭難者3,075人のうち1,440人と、半数近くは負傷・死亡などのトラブルに見舞われています。

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【図表2】令和3年の遭難者状況
山岳事故の概況
出所:警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」を基に作成

登山やハイキングに出かけるのであれば、こうしたリスクへの対策が必須と言えるでしょう。

高額になる可能性のある遭難救助費用などを補償する山岳保険

山岳遭難が発生した場合、救助のためにヘリコプターや救助隊が出動することも多いようです。警察や消防の出動するヘリは原則無償とされていますが、埼玉県など一部の自治体では特定の山岳地域で救助を受けた場合に手数料の納付が必要となりました。
また、民間の事業者が捜索・救助活動に携わった場合、人件費や交通費、ヘリコプター運航費用など、様々な費用が遭難者の自己負担となります。

遭難をしてケガなどを負った場合、入院などの療養が必要になり、その期間の収入低減も懸念されます。その上に遭難救助費用の支払いも発生するとなると、大きな負担となってしまう可能性があります。
そうしたケースに備えるのが、山岳保険です。

山岳保険は、登山やハイキングなどの野外活動中に遭難や急病・ケガなどで救助が必要となった場合に備える保険です。主に、捜索・救助にかかった費用を、一定の上限額の範囲内まで補償します。また、捜索・救助費用以外にも、かばんやカメラなどの携行品が壊れたり盗まれたりした場合や、ケガで入院や通院をした場合の費用を補償するものもあります。

【図表3】山岳保険の一例
保険会社・団体名 保険商品 概要
ABC少額短期保険 レスキュー費用保険 道迷いや病気など、遭難原因を問わず捜索・救助費用が補償される。
山岳寄付基金 やまきふ共済会 登山計画書の提出をすると、国内すべての遭難事故の補償上限額が1000万円になる。
モンベル(AIG損害保険) 山岳保険(傷害総合保険) 3つのプランからニーズに合わせて補償内容を選択でき、後遺障害なども補償される。
PayPayほけん ちょこっと保険 山大好きプラン 3タイプの補償セットが用意されており、月額保険料が330円~。

保険料が月払いのものと年払いのものがあります。たとえば登山の頻度がそれほど高くないのであれば月額タイプで当該月だけ補償を備える、趣味などで頻繁に登山をするのであれば年間補償を確保しておけば、都度保険に申し込みの手間を省く、などの使い分けができそうです。

遭難を防ぐための行動を心がけることも大切

遭難した場合の費用に備える保険についてご紹介しましたが、遭難を防ぐための対策も大切です。警察庁では、「山岳遭難の多くは、天候に関する不適切な判断や、不十分な装備で体力的に無理な計画を立てるなど」が原因で発生していると指摘しており、以下のポイントに注意するよう呼びかけています。

  • 的確な登山計画と万全な装備品等の準備
  • 登山計画書・登山届の提出
  • 道迷い防止
  • 滑落・転落防止
  • 的確な状況判断

出典:警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」より抜粋

特に単独で登山やハイキングをする場合、周囲にいつからいつまで行く予定なのかを知ってもらっておくことも大切です。安全に登山やハイキングを楽しむために、しっかりとした準備と知識を備え、もしもの時にはどういった行動を取るかも、あらかじめ登山仲間や家族などと話し合っておけると良いでしょう。

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